出版社内容情報
虎.馬.犬.鶏.十二支の動物はいずれも人間と深い関わりを持ち,人類の歴史とともに成長して,説話となって私たちの生活と結びついている.これらの動物について,古今東西の典籍を渉猟し尽くした著者(一八六七―一九四一)が,年の始めに蘊蓄を傾けた結果が本書である.奔放な語り口で自在に繰り広げられる知の饗宴.(解説 宮田 登)
内容説明
柳田国男を驚嘆させた巨人熊楠が、干支の動物を俎上に古今東西の説話をふまえて語る。その知識のパノラマも壮観なら、天衣無縫の文体もまた類を見ない。上巻には虎、兎、竜、蛇、馬の各篇を収めた。
目次
虎に関する史話と伝説民俗
兎に関する民俗と伝説
田原藤太竜宮入りの話
蛇に関する民俗と伝説
馬に関する民俗と伝説
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ノコギリマン
39
再読。ゲロと知識を自由自在に出せる男、熊楠先生、サイコーです。2015/10/03
∃.狂茶党
22
竜の延長で蛇。 俗信の世界ゆえ熊楠的には境界曖昧であるような。 インドのラゴグールの呪文に、「ジェット・シン」って言葉が出てくる。昭和のプロレスラー、タイガー・ジェット・シンはこれに関係するのかな。日本ではヒールだったが、母国では正統派レスラーだったはず。 出典でなんとかゼ・ブーズーってのがよく出てくるけど、これはVOODOOのことだろうか。 日本神話などに出てくる、陰を突き死ぬってのは堕胎に失敗してのことではないかってのは、目から鱗。 日本では今でも堕胎の主流は野蛮な掻爬法を用いてる。2023/05/29
中年サラリーマン
11
文字数あたりの知識の詰め込み指数がべらぼうに高い本!2013/10/17
やま
10
とにかく話題が多く、1ページを読むのにこんなに時間がかかる本は他にないと思う。ダンテの神曲どころではない。虎から苔の話になったり、兎からずるいことの話になったりと話題が尽きず、再読してまた新たな発見をすることだろう。熊楠は一度読んだら絶対忘れないと言う記憶の持ち主だと言う話だが、さもあらん。世界のあらゆる所の逸話も混ぜられ、唖然とするばかりである。2015/07/17
テツ
10
南方熊楠がいわゆる十二支の動物たちに関する蘊蓄を並べただけの本……なのだけれど、異常な情報量に飲み込まれてしまい手軽に通勤途中に読むような感じでは読めない。まだ自分で文献を実際に読み込む形でしか情報収集が出来ない時代にこれだけの知識を有していた南方熊楠は、アホみたいな感想だけれど凄い。動物自体に対してもそうだけれど、アニミズムに関するお話も面白かった。早めに下巻も読んでおきたい。2015/01/11