岩波文庫<br> 省〔ケン〕録

岩波文庫
省〔ケン〕録

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  • サイズ 文庫判/ページ数 131p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003301418
  • NDC分類 121.55
  • Cコード C0131

出版社内容情報

佐久間象山(1811‐1864)は幕末の儒学者であるが,蘭学・兵学にも通じていた.鎖国論に対して開国論,すなわち西洋事情の把握と文明摂取の必要を早くから主張した.「省〓録」とは,あやまちを省みる記録の意で,獄中における感懐を後にまとめたものである.著作の少ない象山の人と思想を知る上に重要な文書である.解説=植手通有

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

13
84頁までで決着をつけないと、それ以降は漢文のレ点などないので、厳しい本である。冒頭解説が植手通有氏。象山氏は信州松代出身(4頁)。朱子学。あやまちをかえりみる記録(8頁)という意味。私も随分と反省せねばならんが、未来志向でいかねば。活字は大き目にせよ、口語訳はない。弘化4(1847)年、善光寺大地震があったようだ(23-24頁)。「學と治とはみな以て敏ならざるべからず」(26頁)。今日読んだ中国の四字熟語の「学習」の意味をまた思い出しておきたい。後半の歌はひらがなで助かる。地名以外はひらがなとは初めて。2014/01/20

2
佐久間象山の数少ない著作にして代表作。彼の思想や人物像が凝縮して表れている。奇兵隊的な着想、文王の徳も結局は力、俗儒批判といった非常に進歩的かつ現実主義的な思想が随所に見てとれる。敏の一字が最も印象的。佐久間象山の運動によって下田港が横浜に移ったというのはとても驚いた。兵学に関する献策はどれも正鵠を射たものだと思う。当然吉田松陰の政治観と共通している部分が多いが、やはり佐久間象山は慎重派である。松陰曰く「吾が師平象山は経術深粋なり、尤も心を時務に留む」2021/07/05

Ucchy

1
佐久間象山の所感録。西洋列強が日本に迫ってくることに非常に強い危機感を持っていたことが伝わってくる。一刻も早く西洋に学び、特に科学技術を取り入れて防衛力を強化することが必要と述べる。幕府中枢に度々意見具申しても容れられず、幕政の旧態依然に憤慨する。ペリー来航の時は7日間徹夜で江戸警備を指揮したとかのエピソードも面白い。江戸時代はのんびりしてそうだけど、国の中枢はいつの時代でも忙しいのかなと思った。牢獄に入れられてもむしろ心身が鍛えられてプラスだと述べるなど超前向き思考の人だと思った。2016/08/07

山崎 邦規

0
佐久間象山が世の中を憂慮し警句を発している本である。幕末の動乱にあって、日本が転落していく危機感を切実に持っていたことから、政治活動を推し進め、顛末は逮捕勾留されるに至ったが、憂国の情はますます深くなっていったようである。今で言うと、こんな風に激しい人は少なくなったが、佐久間象山の言葉自体には我々に訴える力がまだあって、やり方は違えど、公共のために身を労する志は学ぶべきだろうと共感を寄せるところがある。2024/02/11

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