出版社内容情報
ひとつも出口のない絶望の中に沈んでいた生来の盲人が,厩番,鐘撞き,巡礼などと接して民衆の喜びや悲しみを知り,己の魂の開眼を自覚してゆく――主人公の生誕から音楽家としての成功の日までを描いたこの物語は,高い芸術性,美しい調和性,豊かな抒情性にあふれ,しかもそこに人間への深い愛情と不屈の精神を宿している.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
11
裕福な家に生まれながら盲目であるピョートル。彼が初めて春の世界の音などを知覚して情報処理不可能でひきつけを起こしてからは隔絶されますが彼が音楽を見出すことで世界を知覚していったのが印象的なのは母に訪れた音楽を尋ねて付き添って貰うものの母がいると来ないと言った場面です。その時に彼は「神様」と出会ったのではないのでしょうか。やがて周囲の目や恵まれた環境に苦しむも彼を想って泣いてくれて寄り添ってくれるエヴェリーナがいて本当に良かったです。ラストに瞼が熱くなってしまいました。隠れた名作じゃないかと私は思います2012/10/04