出版社内容情報
マラルメとともに象徴詩風を確立した詩人ヴェルレエヌ(一八四四―九六).「秋の日のヴィオロンの……」の歌い出しで始まる「秋の歌」や「都に雨の降るごとく」など,形式にとらわれない自由な言葉で,自らの愛情や悔恨を歌った彼の代表作五四篇を収録した.巻末には訳者による詳細な解題と年譜を付した.
感想・レビュー
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הזם
2
「君が美のみぞ 我が望み(p128)」日本語一行の美しさ、翻訳一業の偉大さ。この美しさがわからぬ者には一生不要、この美しさがわかる者にはなんとしても読んでもらいたい。そんな詩篇。amazonで一円で手に入ることが俄かに信じられない。2014/03/03
miyuki
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「都に雨の降るごとく」。全体的に訳が秀逸です。堀口大學の『月下の一群』でヴェルレエヌは読んでいたけれども、この訳のほうが私には心に響いた。訳者というものの重要さをはじめて体感した詩集だった。ところどころ上田敏の訳を持ってきているので、ヴェルレエヌの名訳詩集としてかなり意識された編集になっているはずである。頁のところどころ載っている当時の画家などたちの簡単な絵も、おしゃれでとてもいい。
龍國竣/リュウゴク
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ヴェルレーヌと言えば堀口大學の訳が知られているが、鈴木信太郎訳を鑑賞。ランボーに対する銃撃事件のみならず、傷害やその未遂を度々起こした血の気の多い詩人。その情感豊かな波が、理知的な訳者の手によって制御されているかのようだ。実際、訳者も手に負えないとする。2013/01/31