岩波文庫
町人貴族 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 163p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003251263
  • NDC分類 952
  • Cコード C0198

出版社内容情報

大金持のジュールダンは,貴族の仲間入りをしたいと日々ダンスや音楽の勉強に怠りない.あろうことか娘も貴族でなければ嫁にやらぬといいだす始末.モリエールは,ジュールダンが,貴族のしたたかなやり方に手もなくやられてしまうのを揶揄しながら,人間としての共感が彼に湧いてくるのを,笑わせつつ納得させてしまうのである.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

129
モリエールを代表する喜劇の1つ。1670年にルイ14世や貴族、廷臣たちを前にシャンボール離宮で初演された。太陽王と呼ばれたルイ14世だから、まさにブルボン王朝の全盛期だ。貴族にあこがれる町人を面白おかしく描いているが、その一方で見方を変えれば、作者のモリエールは、新興のブルジョワ階級がすでに興隆しつつあったことをも捕らえていたということだ。およそ100年後にはフランス革命が起こっている。また、トルコのエキゾティズムなど、モーツアルトの『後宮からの逃走』にもそっくりなのだが、これにも100年先んじている。2014/04/26

のっち♬

118
貴族に憧れて社会的昇進を試みる町人を周囲が唆し、彼の娘の恋愛を成就結婚させようとする。性格喜劇に歌と踊りが挿入される"コメディ・バレー"。下品で見栄っ張りなブルジョワ、自惚れた俗っぽい貴族、更には異文化トルコ人まで風刺するという1670年当時のフランスの時代性を強く感じさせる。主役ジュールダン氏の放つ精彩は作者自身が演じる前提で錬成されたのも頷ける。劣等感が醸し出す仄かな哀愁も絶妙で交わされる台詞一つ一つから指示の身振り手振りをいきいきとイメージさせる。骨の髄まで演劇人な円熟作家による視覚効果抜群の作品。2023/09/28

Willie the Wildcat

57
中身を伴わない”器”作りに没頭。気づくと裸の王様状態も、悲壮感ではなくどこか温かみ。収まるところに収まった感のある”オチ”にも安堵感。階級・格差社会への物心両面での葛藤。昔の話・・・と笑えない点は、少なからずシニカル。ドゴール氏が反転攻勢に向けて帰国した際の愛書。単にモリエール独特のユーモアを楽しんだのみならず、主人公をヒトラーに置き換え、自らの士気を高めていたのかもしれないなどと邪推。(笑)なお、巻末の作品背景の解説は、本著理解・深堀りにもれなく一助。2017/07/02

藤月はな(灯れ松明の火)

14
貴族への憧れから付け焼刃且つ知ったかぶりの知識で応じるために講師からも馬鹿にされ、周りからは「馬鹿じゃなかろうか」と白い目で見られる主人公。しかも高い買い物もしてしまうし、自分の娘も意に添わせようとする世間によくいる見栄ぱりな男の典型的な阿呆ぶり。しかし、最後の後に知ったらギャフンというような結末はお見事でした^^2012/07/12

フリウリ

9
シェイクスピアより約60年後に生まれたモリエール。本書は、喜劇と踊りの融合でコメディバレエというジャンルに分類されるそうで、セリフのテンポもよく、何度も笑わされました。結末は、トルコ人に扮した登場人物らがデタラメな言葉を使って、貴族になりたい町人ジュールダン氏をだますのですが、明治41年に日本で初上演されたときの翻訳が、あとがきにのっています。あとがきは短いものですが、初演時はジュールダン氏をモリエール本人が演じたとか、教えられることが多かったです。82024/03/24

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