岩波文庫
女房学校 - 他二篇 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 233p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003251218
  • NDC分類 952
  • Cコード C0198

出版社内容情報

「女は無智ならば貞淑なり」と信ずる中年男が,おぼこ娘を無垢のままに育て上げて妻にしようとするが,娘は青年の手に奪い去られる.自然は人間の意志より強い,という作者の意図が喜劇の衣をまとって見事に展開してゆく.発表当時猛烈な物議をかもしたため『女房学校是非』『ヴェルサイユ即興』を書いて答えた.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

のっち♬

110
表題作は17世紀の重要な社会問題だった女性教育及び自由主義擁護のために作者が投げつけた爆弾。演劇的効果よりも対話に重点が置かれた作風。自然な恋愛感情を尊重する哲理は簡明で力強いが、凄まじい嫉妬と絶望を見せるアルノルフにも夫婦関係に悩む作者の影を感じる。批判への反論として書かれた『女房学校是非』『ヴェルサイユ即興』では、自由意志に対する彼の情熱が創作活動と密接に絡んでいたことがよくわかる。表現や理論といった体裁よりも内面的表現や観客の喜びで本質を問う熱弁には喜劇役者としても名を馳せたプライドが重なっている。2022/07/07

藤月はな(灯れ松明の火)

77
私、「女を自分好みに仕立て上げる」系の物語は大嫌いなのですが、これは胸がスカッとしましたよ。残りの二篇はメタ的な作品。なんだか、モリエール自身の「聞いてよ~、これ、作んの大変だったのに観客は下品だって言うんだぜ~。結構、画期的だと思うんだけどね」というボヤキが垣間見えるよう(笑)「女房学校是非」なんかは『源氏物語』の「帚木」みたいですが、男性達だけでなく、女性達がアニュエスの無垢さに苦言を呈しているのが面白いですね。何時の世も無邪気すぎる女は他の女をイラっとさせるものなのね。だが、クリーム饅頭の破壊力よ。2018/12/03

蛇の婿

15
初モリエール。クリーム饅頭ってフランス語でなんて言うんだろうww 『女房学校是非』と『ヴェルサイユ即興劇』での連呼で爆笑。肝心の『女房学校』はアルノルフに同情すべき点が多々あり面白さは多少理解できるものの苦笑いに留まりましたw これアルノルフがアニェスに惚れてなかったら悪党ザマミロと笑えたかもしれないんですけどこの辺はフランス人と日本人との感性の違いなんですかねぇ…もっとも、読了時点で上演された舞台はまだ見ていないのでこれに演出が加わるとどうなるのか楽しみではありますw2016/07/24

フリウリ

8
「女房学校」への批判を受けての、「女房学校是非」と「ヴェルサイユ即興」。「ヴェルサイユ即興」は、モリエールとその劇団俳優らが実名で登場し、演劇の稽古が進まない演劇を行うという趣向。現実と虚構が混在して曖昧化する仕掛けは、いつの時代でも、観客をくすぐると思います。モリエール作品の、笑いがあって軽やか、かつ辛辣で、「意味」が二重三重に反転・拡散するさまは、ホントに素晴らしいと思いました! 102024/04/02

Schuhschnabel

5
モリエール8作目。「女房学校」と、それに対する批判を題材にした「女房学校是非」「ヴェルサイユ即興」が収められている。たしかに下品なところはあるし、それをわざと無垢な女に言わせているのは意地が悪いと思うが、まあ面白ければいいじゃんと思ってしまう自分がいる。2018/07/19

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