出版社内容情報
庶民が使う暦に載せられた面白くてためになる短いお話――カレンダーゲシヒテン(暦話)とよばれるこのような読み物の中でもヘーベル(一七六〇―一八二六)の手になるそれはとりわけ広くドイツの人々に愛されてきた.笑話・逸話・人情話・とんち話等々,深い人間性とユーモアにあふれた彼の小話から珠玉の五八篇を集める.
内容説明
庶民がつかう暦に載せられた面白くてためになる短いお話―カレンダーゲシヒテン(暦話)とよばれるこのような読み物の中でもヘーベル(1760‐1826)の手になるそれはとりわけ広くドイツの人々に愛されてきた。笑話・逸話・人情話・とんち話等々、深い人間性とユーモアにあふれた彼の小話から珠玉の58篇を集める。
目次
ヘルスフェルトの司令官と歩兵たち
三つの願い
東洋であった心にとどむべき話
安い昼めし
名裁判官
うずら
雨さまざま
歯医者
道案内
歩哨中の結婚〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
25
1808-15,19年原作。一度にかかえて持ち去れるだけの財産しか持たぬ貧しい者も、何台もの荷車でもまだ足りないお金持ちも、掠奪される悲しみは同じ(10頁)。量の多寡ではないようだ。ひとは得意の時にあっては、おごり高ぶったり、名もなき貧しい人々に対して不親切であったり、侮辱したりしてはならない。自分の仇に石を懐に復讐心を胸に持ち続けてはならない(21頁)。一番いい雨は畑や葡萄山を潤して、収穫の恵みをもたらしてくれる雨(32頁)。2015/04/17
RED FOX
12
「ロシア軍とトルコ軍の間で戦われた、この間の海戦における二人の水夫の運命程珍しいものは滅多にない…」1804年ドイツ南西部のカレンダーの人気コラム。当時の世相、善行、悪行、科学、奇譚などが200年後の日本で読める不思議さ。2020/09/16
mahiro
11
当時の生活や風俗を感じさせる小話集だった。ナポレオン侵攻などフランスと国境を接しフランス領になったりした地方の人々の話は敵対し合うばかりではなくその時々をやり過ごす民衆の知恵や人情が感じられた。『あるイギリス人の数奇な運命』ロンドンの最悪な治安、いい加減な裁判にいい加減な絞首刑(絞首された若者がこっそり助け出されアメリカに逃げる)などを知った。ロシアに定住しながら捕虜となった同胞のために尽力する『ベンザの仕立屋』ドイツ人にとってロシアはアジアだったのか・・『思いがけぬ再会』の純愛も良かった。2018/01/14
藤月はな(灯れ松明の火)
11
「雨さまざま」、「モグラ」では奇怪な自然現象や間違った常識を科学的に論証しているのが興味深かったです。幼い頃、童話集で読んだ「三つの願い」やホフマンの「ファールーンの鉱山」の元ネタかもしれない「思いがけぬ再会」が収録されていて驚きました。2011/11/19
sigismund
8
ためになる、のかどうかはわからないが、一話一話が短く面白いので空き時間にサクッと読めるのが魅力的。頓智のきいた小話『一番楽な死刑』やきついブラックジョークが何とも言えない読後感をもたらす『恐ろしい事件が卑しい肉屋の犬によってあばかれた次第』、久生十蘭の『白雪姫』を彷彿とさせる『思いがけぬ再会』など話の内容はバラエティに富む。2016/01/29