岩波文庫
ユーディット/他一篇

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  • サイズ 文庫判/ページ数 192p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003242025
  • Cコード C0198

出版社内容情報

敵軍に包囲されたベトゥリヤ市の危難を救うために,美女ユーディットは神の啓示によって敵将ホロフェルネスを倒そうと単身敵陣に赴くが,彼女はその男らしい豪快さに心をひかれる.彼女は貞操とひきかえに彼を倒すが,それは同胞愛からではなく,みずから心惹かれた欲情に対する自己中心的な報復にすぎなかったのである.挿絵・カット=トーマス・テオドール・ハイネ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ehirano1

80
劇作ということで納得。皮肉と悲劇が上手く描かれていました。ミイラ取りがミイラになった、と言えなくもない?2019/06/08

NAO

69
旧約聖書外伝『ユディト記』のユダヤを救った聖女ユーディットの話だが、神の託宣を受けた聖女としてではなく、近代的な、自ら思考し、自らで判断し、自ら行動する女性として描かれている。救うべき町の男たちはあまりにも不甲斐なく、業を煮やして単身敵陣に乗り込んだら、最も憎むべき敵将ホロフェルネスが、誰より強く自分が理想とする男らしさに溢れていた、という皮肉。「どうか自分が石女であるように祈ってくれ」というラストの言葉は、その子を愛してしまいそうだという不安からか。2018/06/11

evifrei

20
『ユーディット』と『ミケランジェロ』の2篇を収める。特に表題作の『ユーディット』が面白く、旧漢字の戯曲という著作ながら、一気に読めた。異教徒の敵軍に包囲された市の危難を救うため、美女ユーディットは敵将ホロフェルネスの寝首をかくという計画を実行に移すが、ホロフェルネスを前にした時に初めて『彼は真の男だ』と心の中で叫んでしまった事、貞操を侵害されると同時に肉欲に目覚めてしまった事の復讐心から彼を斬首する。聖書のユーディット譚がモデルだが、英雄という枠を通り越した一人の生きる女性としてのユーディットが描かれる。2020/05/06

きりぱい

19
聖書を材にした劇作。暴君的なホロフェルネスに都市を包囲され、意気地のない市民と、求愛するくせに彼女の要求を直ちに果そうとしない男に焦れ、敵将の元へ乗り込む美女ユーディット。市民を守る大義だったはずが、目当てのものを奪う動機は、欲情を知った罪の意識への復讐と変わり・・。ファムファタルというよりユダヤを救う勇敢な女性。そして女にとっては心の晴れない勝利。もう1篇は、ホラース描く「ヴァチカンにおけるラファエロとミケランジェロ」が機縁となった作品だそうで、美術家たちの鼻を明かすミケランジェロが面白い。2013/03/12

KUMAGAI NAOCO

3
ヘッベルの処女作。旧約聖書外典で敵将ホロフェルネスの寝首をかいた女傑として度々カラヴァッジョとかクリムトとか西洋画のモチーフとして描かれている彼女を、祖国と敵国の間で揺れ動く一人の女として表してる。自分の国が攻め滅ぼされそうになってるのに神の祟りだ罰だと言う男達と対象的に、侍女1人だけ連れて敵陣に乗り込むユーディットは、ホロフェルネスの猛々しさや男らしさにクラっとしそうになる。首を落とした後も、敵の子供が産まれない事を祈るという壮絶な作品。怖いけど面白かった。2022/08/15

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