出版社内容情報
美の錬金術師ポオ(一八〇九―四九).その美への情熱は精確無比な計算と設計にもとづいてあらゆる作品に発揮されており,読者を怪奇な幻想世界,異常心理の世界へと抗いがたく引きずり込む.ポオの作に傾倒した若きヴァレリはあの「数学的アヘン」を決して忘れることはできぬ,と言った.表題作のほかに「裏切る心臓」「盗まれた手紙」など.
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
59
「黒猫」は、ポーの独特の描写が何ともいえない独特の不気味な雰囲気を作りあげていて、内容を知った上でも、何度読んでも面白い。「モルグ街の殺人事件」の発想の奇抜さのあと、続編である「マリ・ロジェエの迷宮事件」は少し拍子抜けだが、「盗まれた手紙」は、またもポーの発想の奇抜さを見せつけられる。ポーが生きていた時代を考えると、これはもうかなりすごいことなのではないだろうか。ラストの衝撃を大事にするあまりなのか、デュパンの冗長さがちょっとだれる。 2017/01/19
里愛乍
55
初めてポーの小説を読んだのは小学生のとき。あかね書房のやつ(つくづく良書でしたね。大人になった今でも読み返したい)あの頃に読んだ小説が今の自分の基盤みたいなものですが、もっとも鮮明に覚えている作品のひとつがこの『黒猫』でした。幽霊とか呪いとかそういった現象が起こってるわけでもないのに怪奇そのもの、実に読み手の心理をついた、まさに「恐怖は脳みその中にある」を引き出された作品だったのだなぁと思います。2017/01/20
chiru
42
ポーの作品は、子供の頃に読んでいたのでストーリーは知ってる。けれど細部を忘れていたので再読してみると、文章というか文体になじめず大変でした。推理というより消去法で、真相に辿りつく論理展開は、もう少し短かくてもいいような気がする。他の短編『裏切る心臓』『盗まれた手紙』『天邪鬼』なども、おもしろかったです。★32018/01/08
アクビちゃん
41
【エドガー・アラン・ポー生誕208年記念イベント】黒猫は、読んでいて顔をしかめる事が数十回!!なんせ、うちには黒猫がいますので。徐々に精神が崩壊していき凶行を重ねる主人公に、嫌悪感しかなかったです。他の話しも、なんだか顔の皺が増えるばかりですな〜。2017/01/25
hanchyan@連戦連勝の前には必ず負けがある
40
「押すなよ押すなよ。ゼッタイ押すなよ!?」て言われるとナゼ押したくなるんだ!?というわけで、ポーです。上記の問に対して、アル中の性格破綻者ならではの論をネチネチと展開する「天邪鬼」の前段はやはり実に興味深いっす。これ知ってるか否かで「黒猫」の読み味違ってくると思うぞ。んで、本書後半に採られてる「モルグ街」「マリ・ロジェ」「手紙」について。飽くまでもあくまでも、個人的にはそんなに面白いと思わないとカミングアウト(笑)。ただ、"意外な犯人(あるいは意外な凶器、か?)""仮定と否定によるロジックの応酬"→2017/12/06