岩波文庫
虚栄の市〈1〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 434p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003222713
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

出版社内容情報

19世紀初頭,ロンドン.上昇志向のベッキーと淑やかなアミーリアが女学校を終え世間へ踏み出す.大英帝国の上層社会,そこは物欲・肉欲・俗物根性うずまく〈虚栄の市〉.植民地経営とナポレオン戦争を背景に浮沈する,貴族,有産階級の人生模様.作者自身の挿絵でいろどるサッカリーの最高傑作.まっさらの新訳でお目見え!

内容説明

一九世紀初頭ロンドン。烈女ベッキーと淑女アミーリアが女学校を去る。渡る世間は物欲肉欲・俗物根性犇く「虚栄の市」。貴族や有産階級の姿を鏡にさらす英国版『戦争と平和』。作者の挿絵、筋運び、語り口―心憎いまで第一級のクラシック・エンタテインメント。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

204
19世紀初頭のロンドンを舞台にした物語で ある。好対照な二人のお嬢さんを通して、 当時の英国の風景が軽快に描かれる。 シャープ嬢の 逞しい生き様が 頼もしい。 これから 何をしてくれるのか?少し楽しみな 予感がする、第1巻だった。2018/05/07

のっち♬

116
舞台は19世紀ロンドンの富裕層社会。「主人公のいない小説」という副題がついているがレベッカとアミーリアは全編の中心人物であり、物語は二人を起点に広がってゆく。優しく繊細なアミーリアに対して美貌と才気を持ったレベッカはかなり魅力的に描かれており、卑しい生まれながら周囲を手玉にとって世間の荒波を華麗に渡っていくこの逞しさは悪女じみていてもどこか憎めない面がある。それは「世間から酷い扱いを受ける人は、えてしてそういう扱いを受けるに相応しい人である」という見解を持った著者のあっけらかんとした筆致がなせる技だろう。2018/03/31

NAO

61
誰もが愛さずにはいられない心優しい大金持ちの娘アミーリアと、貧しかったがゆえに露骨なまでに野心家の美女ベッキー。虚栄と悪徳にまみれた世界で二人の少女がどんなふうに成長していくのかが描かれていく。まだ1巻目で手練手管はあまりに露骨で未熟だが、着々と自分の欲望に向かって進んでいくベッキー。一方、誰もが愛さずにはいられないと書かれながら、なぜかあまりぱっとしないアミーリア。露悪的な登場人物が多いのがなかなかシニカルだが、そんな中ちょっとバカっぽくは見えても誠実で友達思いのドビンが良い味を出している。2016/12/22

syota

40
[G1000]19世紀英国でディケンズと並ぶ人気作家だったサッカリーの代表作。全4巻の長編だが、第1巻から話は軽妙で波乱万丈、すいすい読める。このリーダビリティの良さは、ディケンズとも共通する美質だろう。一方、社会の底辺で苦しむ貧民に対する態度は対照的。世間の不公正や偽善を暴き庶民を温かく描いたディケンズに対し、サッカリーは身分の上下に関わらず常に皮肉な視線を投げかける。孤児の描き方でも、本巻での主役レベッカに対する突き放した描写を例えばオリバー・ツイストと比較すれば、違いは明白だ。(続く)2019/07/12

mm

31
タイトルから陰鬱なやつを想像していましたが、大外れのエンタメ。19世紀初頭のイギリスで、アル中の画家を父とし踊り子を母とするエリート階級からは程遠い生まれながら、美貌と頭の回転の速さと巧みな嘘を武器として使いこなすベッキーは、さてさてどこまで成り上がっていくのか⁇というお話。この当時、当然金がものいう社会になってますが、やはり爵位がないと。。金にへつらい、欲望に流され、見せかけの栄華につられる人間のあさましさを虚栄の市と表現しているようです。まずは軍人で遊び人かつ金持ちのおばさん付お坊ちゃんをゲット。2020/03/24

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