出版社内容情報
ユーカラはアイヌ民族に口承されてきた歌謡形式による叙事詩.本冊には,アイヌの汎神論的な信仰を反映したさまざまな神々(雀,熊,風,日等)がみずから述べ歌う形式をもつ神謡(カムイ・ユーカラ)18編と人間の英雄をヒーローとする英雄詞曲(ユーカラ)の代表作「虎杖丸の曲」を収録する.
内容説明
アイヌ民族に口承されてきた歌謡形式による叙事詩。代表作「虎杖丸の曲」と神謡からの一八篇を収録する。
目次
神々のユーカラ(ハンチキキー(雀神酒宴説話)
サンタトリパイナ(月中童子説話)
ヅスナバヌ(角鮫の懲らさるゝ話)
アシュシュン アシュシュン(蛇體の懲らさるゝ話)
ハンロッカ(砂むぐり鳥の神罰の話) ほか)
英雄のユーカラ(虎杖丸の曲)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Nemorální lid
7
アイヌの『書かれざる文学』(解 p.10)は『文学以前の文学』(解 p.10)の通りで、ここから宗教や哲学などが分化するのだろうと言う最も原始的な立ち位置に当著はある。アイヌの中では相依り相立つ間柄の存在である神と人は密接な結びつきがある以上、人間臭い神が登場する。それらの特徴を踏まえると、とても原始日本のアニミズム信仰に似ていて面白い。文字のないアイヌ民族が口承で延々と継いできた『歴史であり、法典でもあり、否聖経でさえもある』(解 p.10)信仰の原点こそ、普遍的にアイヌを貫く魂的なものなのだろう。2018/12/14
うた
4
古文調の韻文がとても心地よく響く。動物神やアイヌの英雄たちの歌。昔話に節をつけたようで、口のなかでころころと言葉が転がり、物語が進んでいく。それほど大きな物語ではないのだけれど、表現されている自然が常に変わり、動き続けている様が、文字通り“自然に”表現されている。2014/11/29
katashin86
2
アイヌ独特の多神教はとても面白く、もっと知りたいと思わせるだけの魅力がある。「旧土人保護法」やら「文化振興法」なる法律がどうとかいう前に、アイヌ文化とはどのようなものか知らないことにはどうにもならない。2014/03/18
テッテレこだち
1
おもしろかった。文語訳のリズムがいい。2011/07/19
きくちいいこ
1
リズムがそのまま伝わるのはよい。 うたと言葉の間を考える。2011/03/01