岩波文庫
浮生六記 - 浮生夢のごとし

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  • サイズ 文庫判/ページ数 270p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003202418
  • NDC分類 923.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

沈復(しんふく)は清朝・乾隆時代の人(一七六三―?).わずらわしい封建的な家族関係にがんじがらめにされながらも,作者は世にもうるわしい夫婦の純愛をはぐくみ貫いた.片時も忘れえぬ亡妻への追憶を縦糸に,山水と詩画を愛する画家気質を横糸として織りなされたこの自伝小説は,切々と読者の胸に迫ってくる.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

18
各巻は、解説によると、結婚の幸福、趣味の生活、不遇に泣く、旅は楽し、琉球遊記、永生の道を求めてから成る(259頁~)。蘇州の風俗として、婦女子は仲秋節(旧暦8月15日)の晩には金持の家でも貧乏人の家でも、みな外に出て、組を作って遊びまわり、そのことを走月亮という(41頁~)。貧しい読書人の家は間数が少ない上に人数ばかり多いから、よろしくわが郷里の太平船の艫(とも)の配置に倣って、さらに適当に工夫を加えて 置き換えるべきである(84頁)。2014/07/27

tsu55

15
清朝時代の無名の読書人が自身の半生を淡々と綴ったもの。 花を愛し、木々を愛し、画を愛し、旅を愛す。不遇な時にも夫婦仲睦まじく暮らす。なんて素敵な生き方なんだろう。 若い時にこの自伝を読んでいたら、退屈な本だと言って打ち捨てていたかもしれないが、前期高齢者と呼ばれるこの年になってからこの本に出合えたことは幸せだったと思う。2019/12/18

屋根裏部屋のふくろう🦉

10
清朝時代の人(素人)が自分の半生を顧みて悲喜ありのままに書き綴った回想文。 あまり中国文学を知らないので良い加減なことは言えないが、こういう回想文的な作品は中国においてはなかったのではないだらふか。妻芸(うん)との婚姻から結婚生活、そして彼女の死、惜別の情など淡々と描かれる。読んでいてふと感じたことだが、この淡々と語られる文体が中勘助の『銀の匙』を思い出させた。 2019/08/19

たけはる

5
『巻一 閨房記楽』愛妻との日々をつづったこの章が、いちばんほのぼのして気に入りました(ゆえに、『巻三 坎坷記愁』がいっそう切なくなる)。「芸が人々と話でもしているところへ私がはいってゆくと、彼女は必ずすぐに立ちあがって、その身体を横にずらせる。と、私はそのわきにちょこなんと腰をおろして二人並ぶのであった。」のくだりなど、「なんだこのかわいい夫婦ー!」と叫んでしまったほど。当時の文化風俗を覗き見できるのもありがたい。2017/12/16

シュナ

2
清代の士大夫の自伝で、18世紀中国のリアルな暮らしを、美しかったであろう当時の蘇州の風光を背景に覗き見る楽しさがある。生活よりも風趣に心惹かれる作者の感性に共感を覚えつつ、とりわけ巻一につづられる最愛の妻との睦まじいやり取りの思い出の数々まるで物語のようにかわいらしくて美しくて、作者じしんの遠い日の思い出であることを考え合わせるといっそう愛おしさを覚えずにいない。自分はいつかこんな風に優しく細やかに妻との思い出を振り返って書き綴れるだろうか。そうであればいい。2023/02/15

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