岩波文庫
小出楢重随筆集

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  • サイズ 文庫判/ページ数 394p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003111512
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

出版社内容情報

大阪人特有の軽妙なユーモアと辛辣な警句に満ちた洋画家・小出楢重(一八八七‐一九三一)の名エッセイ集.身辺雑記,絵の技法等ここに収録した46篇のどれをとっても,谷崎潤一郎をして座談の名手と感嘆せしめた語り口が十二分に発揮され,尽きない魅力をもつ.妻・重子に宛てた面白さ抜群の「欧州からの手紙」を付す.楢重自筆の挿絵を多数収録.

内容説明

大阪人特有の軽妙なユーモアと辛辣な警句に満たち洋画家・小出楢重(1887‐1931)の楽しいエッセイ集。谷崎潤一郎をして座談の名手と感嘆せしめた語り口が存分に発揮された46篇の随筆を精選し、愛妻宛ての「欧州からの手紙」をくわえた。自筆の挿絵を多数収録。

目次

1 楢重雑筆
2 めでたき風景
3 大切な雰囲気
4 欧州からの手紙―愛妻重子へあてて
5 油絵新技法

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

118
これは非常にお勧め。どの随筆にも関西人らしいユーモアが感じられるのが一番の特長で、読んでいるときにくすくす笑い出したこともあった。画家としての眼の確かさに加えて、作家顔負けの文才を使って、自分の見たことや経験したことを鮮やかに文章に定着させる技量に惚れ惚れする。欧州から奥さんに送った「欧州からの手紙」では、こまやかな心遣いと愛情が感じられて、楽しい読み物だった。最後の「油絵新技法」は絵の技術を語りながら、近代日本の文明批評になっているところが素晴らしい。挿入された楢重の絵やカットを見るのも楽しかった。2015/10/25

らい

8
大阪人らしい鋭さとユーモアという前触れで読んだが、辛辣でまくしたてるような鋭さではなく、垢抜けた洒落っ気が通底していて、一々機微に触れる場面があり、面白かった。日常のエッセイも良かったのだが、後半の油絵新技法の方が特に良かった。別に私は絵を描かないが、ひとつ職業として独り立ちするために、必要な基礎工事、心構え、そういったものに対する確固たる地盤の自覚が、前半のエッセイの軽妙さとも無関係ではないように思った。「心が定まり、自分自身方向を定める資格ができた上、足を進める必要がある」よきかな。2023/05/31

AR読書記録

4
ほんになぁ、うまいなぁ。漫談を聞くような、あるいは、もし漫才師であったなら、「○○やあるかいな」みたいなたとえの引き出しが無限でつっこみに向きそう、いや飄々としたしゃべりのうちに場をすっかり独特の世界にひきこんでしまいそうだからぼけがいいか、とか考えてしまう。その感性を育てたのが大阪の街、文化、歴史というのはよくわかるし、また、子どもの楢重に「落日を指して、それ見なはれ、大きかろうがな、じっと見てるとキリキリ舞おうがなといった」というお父さんの存在も、すてきだ。2016/07/31

門前照二

4
「一部分というものは奇怪にして気味のよくないものである。人間の一部分である処の指が一本もし道路に落ちていたとしたら、われわれは青くなる。テーブルの上に眼玉が一個置き忘れてあったとしたら、われわれは気絶するかも知れない……」(「グロテスク」より) 柴田宵曲の『妖異博物館』を読んで知った。軽妙洒脱、よどみのない達意の文章である。画家として、また市井の人として、何気ない一言一言に鋭い感性が光っている。まさしく観察の天才といえよう。 2010/06/25

トシ子

2
ユーモアのある人だなぁ。読みながらクスクス笑ってしまいました。2016/04/03

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