岩波文庫
土屋文明歌集

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  • サイズ 文庫判/ページ数 334p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003110515
  • NDC分類 911.168
  • Cコード C0192

出版社内容情報

左千夫門下の抒情歌人として出発した文明は,昭和初年,茂吉らと『アララギ』の編集を担う頃から,厳しいリアリズムの作風に変り,時代に対する鋭い批評眼と現実把握の確かさを以て,歌壇の第一線を歩んできた.明治四二年から昭和五八年まで七五年に及ぶ短歌より厳選された二二○○余首により,強靱な詩精神の軌跡を鳥瞰できる.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

夜間飛行

168
明治~大正の所のみ読んだ。見たままを歌うにせよ、直線的ではなく、情景を膨らませたり屈折させたりして、伝えたい思いを強く打ち出していく工夫が感じられた。《夕ぐるるちまた行く人もの言はずもの言はぬ顔にまなこ光れり》…「もの言はず」の反復により、心の中で捉え直す動きを伝え、それによって「まなこ光れり」をリアルに感じさせている。《旱(ひでり)つづく朝の曇よ病める児を伴ひていづ鶏卵(たまご)もとめに》…不安な中にも児への温かい情愛に心打たれる。この歌に続けて…《おとろへて歩まぬ吾児を抱きあげ今ひらくらむ蓮の花見す》2021/02/13

新地学@児童書病発動中

97
近代日本の代表的な歌人、土屋文明の二千二百余首。明治42年から昭和58年までの短歌を読むことで、長い時間を旅したような気持ちになった。ロマンティックな歌や華麗な歌は少なくて、重厚な雰囲気を持ったリアリズムの歌が多い。戦争中に中国に行って、かの地の人々や風景を詠んだ歌が一番心に残った。戦意を高揚させるような空虚な歌ではなく、中国の人々を同じ人間としてあたたかく描き出している。そういった歌には当然軍部に対する批判がこめられているのだろう。コメント欄へ続きます。2015/03/31

双海(ふたみ)

13
古書店で購入しました。1984年初版。パラフィン紙もきれいな状態で嬉しいです。2014/04/13

壱萬弐仟縁

7
図書館の本。無カヴァー1984年版。解説はなし。伊那「伊那の谷は冬あたたかき南向の崖下水に生ふるふゆくさ」(15頁)。木曾の花祭り「水桶にもろ伏す朴のやはらか葉聖生(あ)るるを待ちがてにする つつじ花散りてはかなし藤浪も朴の若葉も聖まつらむ」(24頁)。朴葉巻は6月の一時季、お買い求めください。鳳来寺長篠は、長篠の戦のあの新城市の。「巌よりしたたる水は幾所も玉なして苔の間にこほる」云々(99頁)。中国紀行も登場。故里をおもふ「農に堪へぬからだなりしを長らへて伝へ聞く農の友多く亡し」(225頁)。農業苦し。2013/04/17

はち

3
あまりにも長い時間を旅したような気がする。土屋文明は私の源流にいる歌人なので、おそらく何度も読み返すことになるだろう。中盤で破調の多さについていけなくなりそうだったが、文明のリズムに慣れてきたのか、最後の方はすっと入ってきた。2016/04/14

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