岩波文庫
無名作家の日記 他九篇

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  • サイズ 文庫判/ページ数 213p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784003106327
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

大正年間に書かれた現代物の傑作10篇を収める.なかでも,作者自身をモデルにした無名作家富井の,すぐれた才能を持つ文学仲間山野(芥川竜之介),桑田(久米正雄)らへの嫉妬や焦燥の念を冷徹に描いた文壇的出世作「無名作家の日記」は菊池寛(1888‐1948)の人生および芸術に対する態度を示し,その人と文学を知る上に重要な作品である.解説=河盛好蔵

内容説明

当時売り出し中の芥川竜之介らをモデルにしたと見られ、世評の高かった表題作のほか、菊池寛の善意と多面的な才能が生んだ「現代もの」短篇集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ホームズ

18
どの短編も面白かった。なんだか分からないけど物語に引き込まれていく感じがしてドンドン読んでいけてしまった。『身投げ救助業』『死者を嗤ふ』『慎ましき配偶』『無名作家の日記』などが気に入った(笑)前に時代小説集の方も読んだけど菊池寛とは相性が良いようだ(笑)もっと読んでみたいな~(笑)2013/03/22

陰翳rising sun

12
菊池寛の現代物の傑作選。テーマ小説の白眉で各々の主題は異なれどもキラリと輝く名作揃い。同輩の芥川龍之介の影に隠れ勝ちであるが、氏あってこその芥川であることを忘れてはいけない。主題の普遍性は森鴎外の歴史物に通じる。「見投げ救助業」は人の不幸を楽しむ者への因果。「大島が出来る日」は優しさが胸に込み上げてくる。「死者を嗤ふ」は土左衛門という非日常に歓喜する群衆への批判、延いては自省。「ある抗議書」は殺人犯が洗礼によって救われることへの遺族感情のやり場の無さ。「勝負事」は放蕩者の末路だが終わり方が秀逸で心温まる。2020/08/09

6
★★★☆☆(ある意味では当時の文学界の中心的存在でありながら、何処か意識的に避けていた菊池寛に手を伸ばす。広津和郎の視点(年月のあしおと)で見る菊池寛と、河盛好蔵氏(作家の友情)による菊池の評論が興味深かったことも大きい。私小説から通俗小説へ進む菊池の文学的評価はともかく、菊池は多方面に活躍した人物である。文藝春秋、劇作家協会・小説家協会設立、芥川・直木賞設立、大映・・。マント事件を経て、芥川・久米らとの第3.4次新思潮発行あたりの若き作家達の芽吹き花咲く時代(誕生)はとても引き込まれる。) 2013/08/30

Ribes triste

3
読んでいて、時代とともに変遷していく菊池寛も感じ取れるような短編集でした。「無名作家の日記」に驚く。攻撃的で感情のうごめくままに書かれている感じが、今までの菊池寛のイメージとは違っていて鮮烈でした。2015/12/03

入江

2
「慎ましき配偶」を聴了。隠れているが、これは名作でした! 両親は3人姉妹を長女だけ余計に可愛がる。長女からすれば、どうもおかしい。次第に自分の器量が悪いと気づく。それも相当悪いと。外見に翻弄されるお話。2015/02/24

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