岩波文庫<br> 波

岩波文庫

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  • サイズ 文庫判/ページ数 399p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784003105818
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0300

出版社内容情報

昭和3年東京・大阪両「朝日新聞」に連載された.「妻」「子」「父」の3部からなる.小学校教師見並行介は教え子のきぬ子と結婚したが,妻の不貞に悩まされ,さらに生まれた子供への疑惑にさいなまれる.この深刻な悩みを越えて人類愛に生きようと努力する主人公の姿に,作者の理想主義的人生哲学をうかがうことができる.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

へくとぱすかる

42
すごく端正な文体とドラマチックな展開。読み始めから全く飽きさせなかった。ありがちではあるが、結婚や不倫、子育てなど、いつの時代も変わらない問題を取り上げ、直球勝負な、小説の見本だと思わせる作品。主人公はまじめだが優柔不断っぽく、最善をつくしたつもりでも、思うようにはならない。タイトルの意味がラスト10ページ近くで明かされ、なるほどそういう意味だったのか、と。2017/05/14

まりこ

7
恋愛、教職、子供、色んな事があるが、行介がいい人で哲学的に色んな事を考える。時代も昭和初期の古さ、貧しさと豊かさがいい感じ。会話が良い。自分の子供でないかもしれない苦悩から、子供は社会の子供という思いにたどり着く。2017/05/01

Yumi Ozaki

6
DNAなんてなかった昔は母親でさえ子供の父親が誰なのかさだかでない場合があった。子供が本当にかわいそうだし、父親も・・・。読みやすい文体でストーリーもおもしろかったです。2021/07/10

本野 杜蔵

6
家族とは…ふと考えさせられる小説です。2014/04/29

Lieu

4
この作家は道学先生だと誤解していたが、思えばシュニッツラーの訳者である。だまされたと思って読んでみたら非常に面白かった。最初の方、貧しい教え子を何とか救ってあげようとするくだりは白樺派臭がするのだが、そこからの展開が劇的である。亡き妻の産んだ子は、本当に自分の子なのだろうかという疑心暗鬼に苦悶しながら生きる。主人公は、インテリで、いかにも学校教師らしくはあるのだが、女への弱さやずるさのようなものがあり、中々憎めない。そして女たちがなかなか魅力的である。2020/02/17

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