出版社内容情報
柿内園子は天王寺の技芸学校で徳光光子と知りあう.二人はやがて激しい同性愛におちいる.そして,ある事件を契機に夫の柿内も光子と…….上方言葉による女性の独白というスタイルで,女性心理の微妙な陰翳を写しとったこの長篇は,同性愛に託して人間存在の不安定性を見事に描きだしている. (解説 篠田一士)
内容説明
柿内園子は天王寺の技芸学校で徳光光子と知りあい、二人はやがて激しい同性愛におちいる。そして、ある事件を契機に夫の柿内も光子と…。上方言葉による女性の独白というスタイルで、女性心理の微妙な陰翳を写しとったこの長篇は、同性愛に託して人間存在の不安定性を見事に描き出している。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うとうと
12
裕福な若妻・園子は、趣味で通う美術学校で光子と出会い恋に落ちる。光子には男性の恋人・綿貫もいて、園子は2人に利用されていることを疑いながらも関係を続ける。夫・孝太郎の協力で綿貫を退けるが、夫は光子と関係を持つ。/ 園子と光子の同性純愛かと思ったらとんでもなく、三角関係、四角関係のドロドロ〜。誰の言うことが本当なのか疑心暗鬼になってしまう。3人の男女を狂わす光子はいわゆる魔性だけど、そもそも園子の語りに嘘はないの?特に心中の経緯を知るのは3人だけで、死人に口なし。恋多き園子のほうが実はしたたかだったりして。2024/04/09
こぐま
2
あらすじも何も読まずに読み始めたので物語の展開に驚かされた。 大阪弁にあんなに色気があるなんて思わなかったし、あらためて谷崎潤一郎の文章の魅力にとりつかれつつある。 次は細雪かな。2017/02/24
つる
0
世にも悍ましい…… 同性愛がテーマの小説だと思い読み始めたが、小説の主眼はそこに必ずしもあったわけではなく、「支配」についての強烈な物語だと思った。春琴抄などでも取り上げられたような、主従をめぐる猛々しくも美しい支配関係は読者をサドマゾ奇怪の世界観に誘う。ここに生じる興奮が自分を谷崎文学に向かわせるのではないか。2023/08/23
若
0
サドマゾ2020/05/19