岩波文庫緑53-1
木下杢太郎詩集

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  • サイズ 文庫判/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003105313
  • Cコード C0171

感想・レビュー

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新地学@児童書病発動中

116
耽美的な詩風で知られる木下杢太郎の詩選集。旧仮名遣いのままで詩が収録されているところが良い。詩の典雅な雰囲気が損なわれることなく、読者に伝わってくる。どの詩も洗練されて美しい。詩の行間から近代人の憂いが滲み出てくるところに共感できる。はっとするような色彩感覚の持ち主で、詩の中に鮮やかな色を溶け込ませるところが巧みだと感じた。「凝として居るけだるさに/当もなく見入れば白き食卓の/磁の花瓶にほのぼのと薄紅の牡丹の花。/珈琲、珈琲、苦い珈琲」(「珈琲」より)。 2016/09/25

HANA

58
耽美的な詩風で知られる詩人の詩集。冒頭の「天草組」から、白秋もかくやという異国情緒と言葉の美しさにしてやられる。名高い「食後の歌」もいいのだが、個人的には「綠金暮春調」に惹かれた。衒学的ともいえる言葉の海に沈んでいるうちに、退廃と憂愁の気配に覆われる様はこれぞ詩の妙と恐れ入らされる。全編旧字体で構成されている所も、この詩人の魅力をさらに深めている様。「ゆるやかに、薄暮のほの白き大水盤に/さららめく、きららめく、暮春の鬱憂よ。/その律やや濁り、緑金の水沫かかれば、/今日もまたいと重くうち湿り、空気淀みぬ。」2019/06/07

あきあかね

21
 詩人には自分の季節というものがあるのではないだろうか。木下杢太郎の場合はそれは初夏。五月を愛し、その情景を詩に留めた。 「さう云う五月が街に来た。 八百屋は八百屋で枇杷の走り 一寸とお晝の献立は 茄子のしぎ焼き、胡瓜もみ」(『五月の頌歌』) 薫風吹き抜ける五月晴れの中の軽やかなリズムの詩もいいけれど、しっとり花々を濡らす雨の静けさ、雨に烟る麗しい色彩に魅了される。 「五月の雨に桐の花のうす紫、そのあまき薫ただよひ」「雨のいろ利休鼠の銀なして しとしとうす紅き煉瓦をひたし」(『五月の微雨』)⇒2022/10/29

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