岩波文庫
中勘助随筆集

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  • サイズ 文庫判/ページ数 262p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003105160
  • NDC分類 914.6

出版社内容情報

『銀の匙』で漱石に認められて世に出た中勘助は,つねに文壇の外にあって時流をこえた独自の文学をきずいていった.「詩をつくることより詩を生活することに忙しかった」というその生涯の営みをそのままに物語るのが,日記体で綴られた数々の随筆作品である.「妹の死」「夏目先生と私」「母の死」など十一篇を精選.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Willie the Wildcat

67
『編集者 漱石』で引用されていた『夏目先生と私』。最後の数行に溢れる感謝の念と 死を悼む心。木曜会とは”別枠”の間柄。「面の皮が厚い!」か、粋だなぁ。埃や鼻など数々の癖を含め、氏の自然体が脳裏に浮かぶ。『妹の死』、『小品4つ』、『氷を割る』の静けさに潜む姉妹への熱い想い。雪と 折り紙、そして朝顔。『母の死』も同様。”反哺”か。深いなぁ、日本語。 対照的な『遺品』。『天の橋立』でも触れられている兄との確執も、死の床につく兄との筆談が救い。家族。思わず噴き出したのが『胆石』の”仙人”の件。 爪じゃないだろ~。2019/01/24

こばまり

51
生病老死の苦しみをしみじみと感じる。「妹の死」「夏目先生と私」だけでも十分に読む価値がある。勘助の家庭環境に俄然興味湧く。2018/12/03

shinano

21
このひとの随筆は好きだ。日記のようでもあり状況描写に勘助独特のかなを多用した柔らかみと、そのすっと胸に染む哀惜がたまらなく、勘助の気持ちがわたしの心に残り、勘助の心を量る読み方になって進んでいくことに違和感がなくなってしまう。これまでにも読んだことのある作品もあるのだが、また涙鼻にさせられた「妹の死」「氷を割る」、他の漱石門下生とは一味二味も違う勘助の文学観から見た漱石(の文学)観や漱石という教育者と人間味が読めてまた楽しめた「夏目先生と私」、とても微笑ましい一品「猫の親子」、勘助随筆を堪能できる。2012/03/12

ワッピー

19
「妹の死」「小品四つ」「夏目先生と私」「貝桶」「母の死」「氷を割る」「胆石」「遺品」「猫の親子」「独り碁」「天の橋立」を収録。家族の病苦、愛する妹と母親の死、嫂の看病、自分自身の闘病、長年関係の悪かった兄の看病といった労苦と戦い続けてきた作品群の中で、「猫の親子」では、ほほえましい下僕ぶりを発揮していてほっとします。このように中勘助を再読しているのは、「犬」が発端になったのですが、この本の解説では「島守」は「犬」と同じ精神で書かれたもの、とありました。まだ理解できません。中勘助を巡る旅はまだ続きそうです。2019/06/11

Ted

10
'85年刊。「夏目先生と私」を寅彦の「夏目漱石先生の追憶」と比較して読むと弟子によって印象が異なり面白い。「身だしなみに気をつけている割には風采が上がらなかった」とか「『猫』は始めの百頁で飽きた」とか、目立たない存在と言われた弟子にしては随分と言いたい放題である。変人漱石から「君も相当な変人だね」と言われただけあって、崇拝派の弟子が描いた漱石像に比べてかなり異質だが、逆に等身大の人間臭い漱石を感じることができる。勘助の極端な粗食に呆れ健康を心配した漱石が五十で死に、心配された方は八十まで生きたのも面白い。2012/05/02

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