岩波文庫
野上弥生子随筆集

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  • サイズ 文庫判/ページ数 340p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003104996
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

出版社内容情報

作家野上弥生子(一八八五―一九八五)は,夏目漱石の推薦で発表した小説「縁」で,約八○年に及ぶ文筆活動のスタートをきった.子供を見守る母親としての暖かい愛情,同時代の文人・学者達との交流,一市民として社会の動きを捉える冷徹な眼――達意の文章二五篇を編年順に収めた本書を読むと,近・現代史を目の当たりに辿る思いがする.

目次

お守の記
私信
野枝さんのこと
ふるさと
二つの皷
入学試験お伴の記
或る批評に答えて
鳴る浅間山の麓から
やまびとのたより
夏目先生の思い出〔ほか〕

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

shinano

20
ためになった随筆でした。作家は文化人であるという命題があるとするならば野上弥生子は文句なく充たしている。知識があることと教養があることの差を見た。知識人はある意味いくらでもいるが教養人はといえばなかなかいない。文化に対する見識が彼女の豊富な経験と視点を持って本質を見ていることが、事物の相対視を可能にしているのがわかる。人類、歴史と戦争、東西文化、世界動向、国内政治、教育、国民感情から家庭・個人・母親のレベルにまでしっかりと考察している。難しい問題を平易な文章で書ける本物の教養文化人です。さすがだ。2010/11/02

志原

4
年を重ねて骨の密度は下りのみ。散歩とカルシウムせんべいだよ。文にも同じく骨密度。熱気と論理的構造だよ。2015/09/27

hitsuji023

3
明治・大正・昭和を生きた作家。激動の時代を生きた人だけあって戦争に対しての記述が印象に残った。2020/01/09

Ribes triste

3
様々な著名人たちとの親交が描かれる。現代のエッセイのように、ただ自分の感情をむき出しのままに書くのではなく、理知的で論理的な整然とした文章。でもちょっとユーモラスで愛情深い。襟元きりりとした強くしなやかな格好いい女性像が見える。2015/07/24

3
ボリュームのある随筆集でした。20世紀は戦争の世紀であったのだと、思い知らされる。歴史を本で見る現代の私たちはある一点に在るが、弥生子はその時々に於いて目撃者だったのだ。「入学試験お供の記」のような母としての弥生子も在り、世の若い人々へ向けたと言える「ローマへ旅立つ息子に」の弥生子も在り、面白い。昭和初期に教養というものがどのように捉えられていたのかを垣間見ることができる。とともに、真の教養とは何かを現代にも投げかけている。2013/06/11

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