岩波文庫
千載和歌集

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  • サイズ 文庫判/ページ数 368p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003013212
  • NDC分類 911.135
  • Cコード C0192

出版社内容情報

平家都落ちの際,平忠度は藤原俊成に,新しい勅撰集に一首なりと選ばれれば生涯の面目と,歌集一巻を託して西へ去ったという話はよく知られている.忠度の歌は読人しらずの一首として本歌集に採られた.全歌一二八八首.幽艶さの中に静かな寂しさを湛え,その抒情性は次の『新古今和歌集』のさきがけとなった.文治四年成立.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

358
序にいう。「かみ正暦のころほひより下文治の今に至るまでの倭歌を撰らび奉るべき仰せごと」―すなわち、この間の「ふたももち餘り」(200年強)を指定したのは後鳥羽院であった。正暦は一条朝でありまさに王朝の最盛期、そして文治は当代である。このことの意味するものは、すなわち王朝和歌の盛期から衰退期を網羅することである。和泉式部や紫式部等の王朝歌人、そしてもう一方では定家や式子内親王、円位(西行)といった新風の中世歌人たちがいた。もっとも、彼らは未だ本領を発揮するには至っていないが。すなわち、千載集は最後の綺羅を⇒2020/05/30

しゅてふぁん

47
平安末期に編集された勅撰和歌集。撰者は藤原俊成。一条朝からの和歌が収められており、赤染衛門、和泉式部、公任や実方といった王朝歌人の和歌も楽しめる。こういった和歌集を読んでいると、この歌いいな、またこの人の歌だ!というのがよくある。今回は崇徳院と讃岐。あと円位法師(西行)もよかったな。たとえ名のある歌人でも、惹かれない人には惹かれない。人の感性や好みはそれぞれで面白いなと思う。崇徳院が下命した‘詞花和歌集’は読んでみよう。『さみだれに花たちばなのかをる夜は月澄む秋もさもあらばあれ/崇徳院/176』2018/10/12

syaori

41
本書は王朝和歌の掉尾を飾る集と位置づけられることが多いようですが、序に「過ぎにける方も年久しく、今行く先もはるかにとどまらんため」とあるように、これまでだけでなく、歌のこれからの姿も見据えた、『新古今』へとつながる優美な一冊となっているように思います。撰者は藤原俊成。平家都落ちの1183年に後白河院の院宣が下り、義経自害に先立つ1188年奏覧という戦乱の世に成立した本書は、読み人知らずとして入撰する平家の公達のほか、崇徳帝や源頼政などの歌が全体を包む可憐な輝きに影を添え、独特の余韻を残すように感じました。2018/04/03

松本直哉

26
古今集が春(朝)、源氏物語が夏(昼)とすれば千載集は夕暮(秋)。貴族文化の凋落する季節の、過ぎし栄華への愛惜に満ちている。秋の夕暮の時代精神を端的に表現したのが俊成の「鶉なくなり深草の里」だった。恋歌においても、叶わぬ恋や恋の終りなど、秋の夕暮的な短調の歌が目立つ。保元平治源平の争乱、地震や火事や飢饉、都には餓死者の屍臭が漂っていた暗黒の世相を映し出す歌は見当たらない。見えていなかったのか、見ようとしなかったか。ペストから目をそらすためのデカメロンのような気晴らしに過ぎなかったのだろうか。2020/06/11

双海(ふたみ)

24
本は基本的に買いますが、歌集はとりわけ買って手元に置いておきたいですね。私はそう思います。2014/05/23

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