岩波文庫
金槐和歌集 (改版)

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 311p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003010310
  • NDC分類 911.148
  • Cコード C0192

出版社内容情報

鎌倉三代将軍源実朝の歌集であり,金槐とは鎌倉右大臣であった実朝自身をいう.当時の新古今調全盛時代にあって,この薄幸な青年詩人は,現実的な万葉調の歌をよみ新しい美的感覚によって自らの感情を豊かに歌いだした.校訂者は歌人としての源実朝研究に力をつくしたアララギの巨匠斎藤茂吉である.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

388
実朝はわずか12歳で3代将軍の地位に就き、弱冠28歳の正月に鶴岡八幡宮で頼家の子公暁に暗殺された。まさに政治と和歌の世界を彗星のごとく駆け抜けて行った生涯であった。平家の公達は和歌の世界に瞬く間に馴染んでいったが、源氏もまた頼朝の歌12首が『新古今和歌集』に入集するなど、その親和性は当初からあった。ちなみに実朝の勅撰集入集歌は92首に及ぶ。さて、『金槐和歌集』だが、賀茂真淵が実朝を称揚したことなどから「万葉ぶり」などと評されたりもするが、私は実朝は『古今和歌集』に最も親近性を持っていたのではないかと思う。2021/06/06

壱萬弐仟縁

44
金槐とは実朝自身(表紙見返し)。時季としては夏部を。ホトトギスの歌が連発されている。秋に近い頃の歌もあり、今の季節、実朝ならどんな心象風景だったか、興味深い。解説によると、契沖を経て、賀茂真淵になると、貞享本の金塊集を校合(基準とする本文に照らして、本文の異同を確かめる)し、書入し、大に実朝の歌を湛えたという(266頁)。なんとなく、気になったのは、「大乗作中道観歌」で、「世の中は 鏡にうつる 影にあれや あるにもあらず なきにもあらず」(212頁)という歌。最後の方に、賀茂真淵が書いている。 2021/07/15

双海(ふたみ)

21
とりあえず勅撰和歌集やそれに準ずる歌集は集めて、読む。2015/02/22

LUNE MER

18
源実朝の歌集。古今、新古金をテキストとして藤原定家の通信教育も受けながら基本的に独学で和歌の腕を磨いたという経歴がそのまま投影されたように、教科書的な本歌取りの歌が大部分という印象。死後に定家により編纂された新勅撰和歌集に25首も採用されるなど、幕府への忖度や鎮魂の意を抜きにしても純粋に歌人として認められていたと思われる実朝だが、この歌集を読んで、これが本当の実朝の聲だ!と感じたのは鎌倉や伊豆・箱根を詠んだ歌(かなり少ない)。これらの歌こそが実朝の本意であり、この歌集の価値だと勝手に思っている。2021/07/06

belle

9
第53刷。斎藤茂吉校訂。実朝の歌ではまず「箱根路をわが越えくれば伊豆の海や沖の小島に波の寄るみゆ」と「おほ海の磯もとどろによする波われてくだけてさけて散るかも」が思い浮かぶ。そして百人一首所収の歌。「いつもかく寂しき物か」と詠んだ実朝。彼の28年を想いながら、解説にあった~歌人としてもいまだ初途にあって、殺されたと謂うべき~の一文が刺さる。2018/06/19

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/33614
  • ご注意事項