出版社内容情報
普遍的な徳目が書いてある? 昔の日本人のモラルを支えた? すべてウソです。教育勅語の理念とは何か。社会に、アジアに何をもたらしたのか。教育史研究の成果を結集して、その急所を解説する。一冊で論点がわかる必携の書。
内容説明
1948年、教育勅語は公教育から排除された。それは教育勅語のうたう理念と、勅語がもたらした現実が、自由と民主を掲げる戦後社会に根本的に馴染まないからだ。道徳教育を荒廃・形骸化させ、「不敬」だらけの抑圧社会を生み、アジアに大きな歪みをもたらした教育勅語の歴史を描く、必携のハンドブック。
目次
第1章 教育勅語の構造と解釈
第2章 不敬と殉職―学校で何が起こっていたのか
第3章 教育勅語と植民地支配
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Aya Murakami
91
読メと本が好き!のユーザーさん情報で知った本。他館取り寄せの図書館本で読みました。 上からの押し付けという形以上に生徒や地元新聞からの圧力で教育勅語が強制される事例が怖いと感じました。そういえば地元の君が代騒動でも親が騒いでいましたし…。2018/10/22
oldman獺祭魚翁
51
今話題になっている「教育勅語」この文の何がいけないのか? これをきちんと理解するために読んでみました。今こういう輩を放っておくと後々とんでもない社会が出来てしまうかも知れません。 いささか難しい文ですが、キチンと理解しなければいけませんね。うわべの解釈に惑わされる事無く、正しい理解をしましょう。そして自由に発言できる社会を護りましょう。2018/10/13
ゆう。
38
安倍政権と同調する政治家たちは、教育勅語にも良い部分があると主張します。本当にそうなのか。本著は教育勅語には何が書かれていて、どのような歴史的経過を得て廃止にいたったのかをわかりやすく述べています。現在の憲法と教育基本法と矛盾し、天皇のために命をも差し出すことを美徳としたのため廃止されたわけですが、今日の学校教育においても日の丸・君が代で処分される先生がいることを考えると、国家主義的・復古主義的な側面が教育現場に大きな影を落としているなかで教育勅語復活の狙いをしっかりとみないといけないと思いました。2018/11/03
ブルーツ・リー
4
戦前の歴史を考えると、確かに教育勅語を学校教育に使うのは無理だろうなあ、と思う。 自分はある程度、教育勅語の歴史を知っているから、この本を読んでも新たなショックは無いが、恐らく現代の多くの人にとって、御真影を守るために焼死。は、あり得ないものと映るだろう。 一方で、その道徳性に関しては、戦後の、特に、現代の人が全く忘れてしまった価値観もあり、そういうものを大切にしたい人が、教育勅語を使えないかと言うのだと思われる。 教育勅語に拘らない形で、何とか道徳の再編はできないか。現代は道徳の底が抜けている。2023/10/05
ぺろりん
3
第1章に登場する井上哲次郎なる人物、内村鑑三不敬事件に際してキリスト教を攻撃。 大正デモクラシーの時期に国民道徳論を展開するも、三種の神器が喪失されたという歴史記述をしたことが不敬に問われて公職を辞任。 日和見的な性格がうかがえる。 ただ権威的に振る舞いたいだけ。 ブーメラン。2017/12/11