出版社内容情報
近代日本人の精神的支柱でありつづけた漱石の文業は，今も強く私たちにはたらきかけてくる力を持っています．先の見えない閉塞感にとらわれがちな今，漱石から学ぶべきものは決して少なくありません．1993年に刊行を開始した新しい『漱石全集』をより充実させ，ここに再刊します．
目次
漢詩（鴻台 二首；即時 二首；『七草集』評より 九首；『木屑録』より 十四首 ほか）
漢文（観菊花偶記；『七草集』評；居移気説；東海道興津紀行 ほか）
未定稿
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
風に吹かれて
15
漱石の英語力は漢文力があればこそ、とも思う。漢文を読む力がない私は本書の訳注と読み下し文を読みながら、そもそもの漢詩はちらりと眺める。情景を想えば水墨画の如し。そして孤独だったり達観だったり追憶だったり情感ももちろん込められている。 見たこともない漢字も少なくなく、いつどうやって漢詩をよめるほど漢字の世界も自身の世界に取り込んでしまえたのだろう。 子規が漱石の漢詩を絶賛しているが、そんな子規が漱石と同じ時代に生きていたということも凄いことだと思う。 2019/12/23
