出版社内容情報
ギリシア悲劇は詩形式の文芸である.清朗の春,新作が上演された.余りにも人間的な,余りにも現代的なギリシア古典文芸の精華に新たな息吹を与えることを願い,全篇を新訳,脚注・解説を付し,夢を託す陶器の破片のように凛と美しい「断片」をも集成して刊行する.ここにいるのは,他でもない,私たちなのである.
目次
アンドロマケー
ヘカベー
ヒケティデス―嘆願する女たち
ヘーラクレース
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
風に吹かれて
20
『アンドロマケー』、『ヘカべー』、『ヒケティデス‐嘆願する女たち‐』、『へーラクレース』の四編収録。 自分の血筋のものに国をつがせるために前妻と前妻が生んだ子を殺そうとする王姫や戦争で息子を亡くした母親たちの悲しみ、あるいは様々な助力を得ながら苦難から生き延びる女性など、文字どおり劇的に進行する悲劇。読んでいて、こういう劇を誰が鑑賞していたのだろうと疑問に思った。 →2023/03/21
fseigojp
17
ラシーヌのアンドロマックはエウリピデスのアンドロマケとヘカベの合本となっている2017/05/16
kokekko
1
「アンドロマケー」「ヘカベー」「嘆願する女たち」「ヘーラクレース」の四本。一番よみごたえがあったのは最後のヘラクレスの子殺しの話。大の男がいたいけな子どもを殺すシーンの描写の生々しさ。古代ギリシアの文化風物の勉強としても読める。そして忘れがちだがこれは全部韻文で書かれているわけで、ここまでちゃんと意味が通って読めるのに、さらにもうひとひねり原典にはあるんだよなと思うと途方もない気分になる。意味はわからなくても、韻律にのった音読をいつか聞いてみたい。2020/02/06