内容説明
一七世紀ヨーロッパにおける風景画の出現は、美術史のなかでどのような意味を持つのだろうか。絵画の画面から人物が消えてゆくプロセスを、古代ローマの壁画から、中世末期の壁画・板絵・写本画・タペストリーを経て、アルトドルファーの板絵までつぶさに見ながらたどってゆくことで、「純粋な風景画」が芽生える長い道程が解き明かされる。ユニークな視点による西洋美術入門。
目次
古代ローマ
古代末期・中世初期
中世盛期
ジョットおよびアッシージのフランチェスコ伝壁画
ドゥッチオ
ロレンツェッティ
ピュセルとその工房
ピュセル以後ランブール兄弟以前のフランス
ランブール兄弟の『ベリー公の美しき時祷書』
トレントの「鷲の塔」の壁画
『タクイヌム・サニターティス
〈月暦詩〉
ランブール兄弟の『ベリー公のいとも豪華なる時祷書』
『トリノ時祷書』
ファン・アイク兄弟
〈ブルゴーニュのマリアの画家〉
パティニュール
アルトドルファー
著者等紹介
越宏一[コシコウイチ]
1942年生まれ。東京芸術大学美術学部卒業。1965‐72年ウイーン大学留学。オットー・ペヒトに師事。博士号(Dr.phil.)取得。ヨーロッパ中世美術史を専攻、現在、東京芸術大学美術学部教授。1991年フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト章受章
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夏 海
3
卒論の参考として読了 風景画の成立について述べた論文や著書が意外と少ないのはなんでなんでしょうか、、 資料として読んだけれど、とっても興味深くて面白かったです2022/01/28
Y.Yokota
0
風景画が好きかもしれないという程度の好奇心で読んだけれども色々と得るものはあった。(口絵以外は)白黒とはいえかなり豊富に図版が引用されているので、とても参考になる。人物や歴史を主題として風景はただの舞台装置であったのが、徐々に人物が風景の引き立て役になっていく過程がとても面白い。時祷書、ランブール兄弟というものも初めて知った。それにしてもファン・アイク兄弟の偉大さたるや。2016/07/18
Riko
0
図書館で借りた2010/09/20