出版社内容情報
現代におけるレトリックの復興はめざましい．言語のもつ創造性のもっとも明瞭な表現である〈生きた隠喩〉が，言語・記号活動の本質を捉えうるところに，レトリックの新しい意義が見出されるからである．本書は，アリストテレスから現代に至るレトリック理論に，言語と創造力との観点から新しい光をあて，その機能と構造を明らかにする．
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
singoito2
10
犯罪者は創造的芸術家だが探偵は退屈な批評家に過ぎない、とブラウン神父は批判されてしまうのです。ゴルギアスの巧みな弁論をソクラテスは人々を欺罔する詐術と批判するのです。では、隠喩を駆使する創造的で発見的な詩人と体系的な概念を用いて思弁的思索を追求する哲学者のどちらを信頼すべきか。最悪なのは両方に心惹かれながら、両方を否定すること、むしろ両方の斜面を登り詰めた高みに達すること、という本だと読みました。言語と解釈にはその可能性がある、と。2023/07/18
