出版社内容情報
大拙の英文著作の中で,初期を代表する作品.この書により,初めて大乗仏教が西洋に本格的に紹介された.M.ウェーバーを始め,欧米の学者の仏教研究のための基礎文献とされた.初の翻訳.
内容説明
大乗仏教の意義とその理想を、西洋キリスト教社会に知らしめるために、アメリカ滞在時代の37歳の大拙が、満身の宗教的情熱と気概をもって執筆した作品。世界的仏教思想家大拙の誕生を鮮烈に告げたデビュー作であり、大拙の英文著作中の代表作の一つである。20世紀の西洋社会の仏教観に、大きな影響を与えたことでも知られる。
目次
序論
仏教の一般的特性
大乗仏教の歴史的性格
思索的大乗仏教(実践と思索;知識の分類 ほか)
実践的仏教(法身;三身説(仏教の三位一体説) ほか)
付録 大乗賛歌
著者等紹介
佐々木閑[ササキシズカ]
1956年生。京都大学工学部工業化学科卒。京都大学文学部哲学科卒。花園大学文学部教授。インド仏教学、仏教史専攻
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感想・レビュー
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マウンテンゴリラ
3
非常に解りやすい大乗仏教の解説書として読んだが、訳者のあとがきを読んで少々驚いた。それは、概論と呼ぶには厳密さを欠いていることや、(当時における)最新の大乗仏教研究の成果を横断的に捉えていないことなど、学会レベルでの評価が決して高いものではなかったということであった。そして、それを大拙自身がある程度認めていたということも、更なる驚きであった。それではこの著作の価値は何処にあるのか。それは、大乗仏教概論という枠を越えた、大拙自身の大乗仏教論としての価値にあったということだろうか。→(2)2016/12/29