エクソフォニー―母語の外へ出る旅

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 188p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000222662
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0095

出版社内容情報

ドイツ語の,また日本語の作家として旺盛な創作活動を展開する著者が,言語の越境という自らの文学の本質的テーマに真正面から切り込んだ革新的エッセイ集.(エクソフォニーとはドイツ語で母語の外に出た状態一般を指す.)

内容説明

自分を包んでいる(縛っている)母語の響きからちょっと外に出てみると、どんな音楽が聞こえはじめるのか。母語の外に出ることにより、言語表現の可能性と不可能性という問題に果敢に迫る、境域の作家多和田葉子の革新的書き下ろしエッセイ集。

目次

第1部 母語の外へ出る旅(ダカール―エクソフォニーは常識;ベルリン―植民地の呪縛;ロサンジェルス―言語のあいだの詩的な峡谷;パリ―一つの言語は一つの言語ではない ほか)
第2部 実践編―ドイツ語の冒険(空間の世話をする人;ただのちっぽけな言葉;嘘つきの言葉;単語の中に隠された手足や内臓の話 ほか)

著者等紹介

多和田葉子[タワダヨウコ]
1960年、東京生まれ。高校時代、第二外国語として、ドイツ語を習い始める。早稲田大学第一文学部ロシア文学科卒業。ハンブルク大学修士課程、チューリッヒ大学博士課程修了。文学博士(専門はドイツ文学)。1982年よりハンブルク在住。1991年、「かかとを失くして」で第34回群像新人文学賞を受賞、1993年、「犬婿入り」で第108回芥川賞を受賞。1994年にはハンブルク市からレッシング奨励賞を、また1996年にはドイツ語での文学活動に対してバイエルン州芸術アカデミーからシャミッソー文学賞を授与される。2000年、『ヒナギクのお茶の場合』で泉鏡花賞、2002年、『球形時間』でBunkamuraドゥマゴ文学賞、2003年、『容疑者の夜行列車』で伊藤整文学賞を受賞するなど、日本語の作家として、またドイツ語の作家として旺盛な創作活動を展開している
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

チェ・ブンブン

19
いかに、別の言語特有の韻を翻訳するか、外来語を母国語の良さを利用して翻訳するかが分かる本。「献灯使」で異常に、「翻訳」に拘ったワケ、翻訳の基準が分かり、レポートが書きやすくなった。2015/04/26

James Hayashi

16
興味のあった著者のエッセイ的な作品。エクソフォニーとはドイツ語で,母語の外に出た状態一般を指す.ドイツに暮らしドイツ語で書物を出す著者が世界の各地に招かれ旅をし、言語に関する思いを綴られている。2015/11/19

Ecriture

9
母語の外へ出るエクソフォニーの概念は、なぜ外国語で書くのか、ではなく、なぜ日本語でしか書かないことを選んでいるのかという疑問に向き合うことになる。そもそも個人の内にも複数の言語の折衝があるとき、一つの言語の外へ出ないこと自体が不可能であろう。(主に)日本語・ロシア語・英語・ドイツ語の枕木を次々と通過する旅人多和田葉子は、ときに「くだらないダジャレ」と批判されることがあっても、強い信念と怒りをもって言葉の揺らぎを見つめ続ける。小説家のエッセイの中では最高クラスの作品でしょう。2013/02/14

ががが

8
「外国語を知らない者は母語を知らない」というゲーテの格言がある。エクソフォニーとは自分の母語から出ていくこと。いわば自分の慣れ親しんでいた言葉を外から眺めて見えてくる世界がそこには開けている。20年以上ドイツで創作活動をしている著者には日本語とドイツ語を行ったり来たりすることで培われた独特な言語観がある。特におもしろいのが、言葉を「形式(音・文字)」と「意味」に切り離して考えないことだ。言語はコミュニケーションの手段に過ぎないと言われることがあるが、言語にあるもっと神秘的な力を模索しているのかもしれない。2022/10/07

かずりん

6
「エクソフォーニー」初めて聞く言葉だが、今では寝ても覚めても頭の中でこだまし 時にはメロディーがついて口から溢れる。水村美苗の「日本語が亡びるとき」の言語、翻訳に纏わるエピソードがフワッと浮かぶ。言葉としては訳せるけど境界を越えたいのではなく境界の住人になりたいと。なんとスリリングな物言いなのか。エクソフォニー、母語の外に出ることは外国語が耳に馴染み新しいシンフォニーに耳を傾けるようなものだ。二カ国語の間の狭間そのものが大切だと言う。読み進めるのもままならぬくらい言語の波に飲み込まれている自分に気付く。2023/02/19

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/519167
  • ご注意事項