出版社内容情報
アジア太平洋戦争の末期,体当たり攻撃に参加して帰還しなかった兵士達.その死はいかにして記憶され,語り続けられてきたか.それを「崇高な死」と美化して良いのか.特攻隊員上原良司の軌跡を辿り,歴史教育の場で問い直す.
目次
特攻隊とは何だったのか
特攻隊員・上原良司が問いかけるもの
若者は特攻隊員の死にどう向き合うか
著者等紹介
白井厚[シライアツシ]
1930年生まれ。帝京平成大学教授、慶応義塾大学名誉教授、経済学博士。専攻は英米社会思想史
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感想・レビュー
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白義
15
岩波ブックレットなので基本的に古い左派系のノリだが、白井氏執筆の第一章は特攻隊にまつわる歴史をよくまとめている。意外なことに特攻隊という言葉が初めて公式に使われたのは、今だと艦これの雷巡御用達武器として有名な「甲標的」の潜航艇団に対して(ただし甲標的は特攻兵器ではない)で、捕虜になった一人を除き、「九軍神」として称揚されたという。その後、戦局の悪化で正式に特攻隊が生まれていき、海軍で組織した大西滝治郎は「統率の外道」と自嘲したという。連合国にも狂気と評されたが、一部では称えられたらしい2014/05/29
扉のこちら側
11
初読。特攻で亡くなった青年の遺書、兄を特攻で亡くした女性の語る「兄は海の中に落ちた。誰も殺さないで兄だけが死んだのだから、それでよかったと思います」との言葉。敵を殺さなかったことを良しとする境地に至るまでの苦しみはいかばかりだったか。2012/12/01
kotte
7
戦時中の日本における生命軽視の伝統は特攻隊という悲惨な戦術を生み出した要因の一つでしょう。本書では現代に生きる若者は特攻隊員の死にどのように向き合っていくかが書かれています。現在の平和はこの本に書かれているような犠牲の上に成り立っていることを忘れないためにも、若者世代に読んでもらいたいです。2016/12/27
がんぞ
2
どうせ、戦後教育の中で「反省」しても『戦争はいけない』とか『生命に勝る価値はない』(サヨクの場合「進歩につながらなければ」と付く。性善説=バカだから)とかになるのだろう。的中に失敗した遺族の「兄は海の中に落ちた。誰も殺さないで兄だけが死んだのだから、それでよかった」固形化、温存された米兵は艦砲射撃や機銃掃射で同胞を殺戮し、占領後はレイプしまくり「恋愛の結果」とて混血児を放置して本国帰還(サンダースホームに引取どころか面会に来た米兵皆無・まるでロシア貴族だな)したが?「どちらが勝つべきだったか?」臥薪嘗胆2016/05/05