出版社内容情報
純粋経験の立場から哲学の全領域にわたって整然と組織された哲学体系.のちの西田哲学の基礎となり,かつ純粋経験によって知識・道徳・宗教の一切を基礎づけようとする強靭な思惟に貫かれた処女作.(解説=下村寅太郎)
内容説明
本書はいわゆる純粋経験の立場から哲学の全領域にわたって整然と組織された哲学体系である。のちの西田哲学の基礎となり、かつ純粋経験によって知識・道徳・宗教の一切を基礎づけようとする強靱な思惟に貫かれたこの処女作は、明治以後邦人のものした最初の哲学書と言われ、多くの人に迎えられて今日に及ぶ。
目次
第1編 純粋経験(思惟;意思;知的直観)
第2編 実在(考究の出立点;意識現象が唯一の実在である;実在の真景 ほか)
第3編 善(行為;意志の自由;価値的研究 ほか)
第4編 宗教(宗教的要求;宗教の本質;神 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kenitirokikuti
10
図書館にて。2022年に西田に関する新書がふたつほど刊行されているのに気づき、ちょっと手にした。これはワイド版岩波文庫3『善の研究』1991年1月第1版。解題・下村寅太郎である。特に注などはない。現行の岩波文庫版は、注解・解説が藤田正勝。第4章→第1章という順でざっと目を通した。過去に読んだことがあるかどうかよく思い出せない。私も読書を重ねてるので、『善の研究』が分からないということはなかった。いま読むと、西田が漱石とほぼ同年代ということで、文体が似てるとこあるな、という感触。2022/08/28
みい⇔みさまる@この世の悪であれ
1
☆×3.0…文字化けしていました。頭の中で。さすが哲学という学問は恐ろしいものです。だけれどもそれだけ難解というのはこの人間というものが持つ感情、ある種の信仰心というものが複雑だということに他ならないのでしょうね。残念ながら著者の論は批判が出ていますが哲学と宗教が結びつくというのはなるほど、と思いました。前にある仏教の本を読んだのですが、その分というのがまさに「哲学」しておりましたので。そのように結びつけるのも無理はないな、と。2013/01/19