出版社内容情報
進化はどのようにして起こるのか? 多様な生物はいかにして生じたのか? 目を形づくる2つの遺伝子の進化をたどりながら,生物進化のしくみと,それを押し進める遺伝子進化のしくみを,わかりやすく解き明かす.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
380
「眼」そのものは着眼の中心ではあるが、実質的には分子進化学の考え方を語るものである。この立場では、進化を促す突然変異はダーウィンの自然選択説に対して、むしろ「分子進化の中立説」を支持するようだ。たしかに突然変異の結果、それが生存に適していなければ淘汰されて生き残れない、もしくは子孫を残せないだろう。そうなるかどうかは偶然であり、変異そのものはあくまでも中立であると考えるのである。ミトコンドリアを持たない原生生物ギアルディアにはじまり、ホヤ、ナメクジウオを経て登場する脊椎動物の進化史には気が遠くなるほどだ。2021/02/21
calaf
5
目のレンズの主成分であるクリスタリンというタンパク質をコードしているDNAの変化から、進化を考えた本。という事で、あくまで主体は(分子)進化学。変化には相当な緩急があるらしい...それはともかく、少し古い本なので、この分野に関してはもっと新しい結果を含んだ良い本が出ています。(何冊か読んだ事もありますし...内容的には、それほど大きな変化はないように思いましたが)2015/04/14
Omelette
4
眼の進化を語るというより、眼をダシにして、分子生物学の発見や、基本的な概念や手法をやさしく説明。種を異にする生物、あるいは同種の別の個体とのあいだで、遺伝子上、どのような同一性や変異が確認できるか。進化というものは自由な変異によって起こるものと見なされているので、この変異にあたっての法則や制約、条件を画定することが、たいへん重要になります。分子生物学の方法が歴史言語学のそれとあまりにも似通っていることに驚きました。もともと歴史言語学は進化論やリンネの分類に触発されたものではありますが、それでもなお。2011/04/18
takao
1
表現型の大進化に限り、表現型の進化と分子レベルの進化には関係がある。遺伝子の太陽は断続的に起きた。2016/10/02
shimauma_man
1
分子進化の中立説が非常に解かり易い。 なにより素敵なのは哺乳類が色覚を捨てた中、霊長類は再び色覚を取り戻した事実。 しかし遺伝子重複による生物の保守性と多様性ってことも良くわかったけど、雄の存在ってまさに雌の保守性と多様性の為なんだなと感じたな。 雄の存在がなんかかわいそう。2008/09/29