出版社内容情報
物理学の基本原理は誰によっていかにして確立されたのだろうか.ガリレオからマクスウェルまで,主に19世紀までの物理学を例にして,原典によりながら具体的に見ていく.物理学者の苦悩と栄光を描き,物理の本質に迫る.
内容説明
天上と地上を支配する法則を明らかにする物理学。それは一体いかなる人間の営みなのであろうか。本書はこの問に対して、主に一九世紀までの物理学を例にして、基本原理が誰によっていかにして見出され確実されてきたのかを具体的に見ることによって答えようとするものである。てこの原理、相対性原理についてのガリレオの卓抜した思考力、熱を物理学の体系に取り込んだカルノーの天才、物理学に統計的方法を導入したマクスウェルと彼に深い影響を与えたケトレーとの出会いをめぐる知られざる経緯には、誰しも新鮮な感動を覚えるに違いない。
目次
1 機械の学問とその有用性(てこの原理とその証明;機械の効用と仕事の原理;機械の有効性をきめるもの;機械と摩擦)
2 運動の観測(落体の運動と力;相対性原理の発見;観測データの集積と整理)
3 熱の有効利用とその限界性(蒸気機関の開発;熱と仕事のサイクル;熱の動力)
4 集団の物理(偶然性の法則―ケトレーとの出会い;『社会物理学』とマクスウェル)
5 マクスウェルの歩んだ道(ファラデーの電気力線の数学的理論;気体分子の速度分布式;調速機の理論;「実験物理学序論」と自由意思)
実験物理学序論
調速機の安定性を論じるためのマクスウェルによる代数的方法
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
刳森伸一
2
ガリレオから19世紀末までの物理学上の基本的な原理を見出した数少ない偉人たちの業績と証言から、物理学(もっと言えば、自然科学)という営みの本質を探る。これは、科学とは何かという問題に対する、科学哲学的なアプローチ(パラダイム等)とは全く異なる科学者側からのアプローチではないか。「物理学とは何か」という問いに作者が自ら答えている訳ではないが、要するに、それは観察と批判精神ということになるのだろうと思う。小著ながら読み応えのある本だった。2020/02/15
ふみ乃や文屋
0
「何か」について、具体的な示唆を感じられなかったのは私の読みの浅さでしょうね。物理学基礎論的な内容。数学オンチでも、たぶん、読めます。2016/07/07