出版社内容情報
グリム童話の中からタイプの異なる4話を選び，楽しく自在に論じる．お話の源泉を手繰り，克明に本文の変遷をたどり，また随所に日本の昔話を織り込んで，グリム童話の話型や語りの特質を鮮やかに浮かび上がらせる．
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
リカステ
10
今回は日本の昔話とも対応させている。昔話の構造、文体といった様々な角度からグリム童話を見ている。初版からの変遷など、非常に判り易く解説している。もしその辺りの比較をすることになったらまた読み返そう。河合隼雄さんの『昔話の深層』とあわせて読むと更に理解が深まるだろう。2015/10/27
pocco＠灯れ松明の火
10
図書館（講座）：小澤さんが講座グリム童話についてのセミナー４回の記録。個人的に「灰かぶり」のお話の遍歴を調べる。2011/06/25
ぼんくら
8
グリム童話出版200年のため再読。岩波市民セミナー四回講座の記録。「こわがることを習いにでかけた若者の話」「兄と妹」「忠臣ヨハネス」「灰かぶり」を中心に昔話の文体や構造、グリムのお話とバジーレやペローとの再話の違い、日本の昔話との違いなど縦横無尽に語る。とくに「灰かぶり」では、ディズニーで一般化してしまった魔法によるシンデレラの美についての解釈の違いの部分が興味深かった。福音館の「日本の昔話」全五巻から引用されているお話も面白かった。全部読んでみなくては･･･。2012/02/04
のん＠絵本童話専門
3
岩波市民セミナーで話された内容をまとめた一冊。「こわがることを習いにでかけた若者の話」「兄と妹」「忠臣ヨハネス」「灰かぶり」について、詳しく解説。グリム童話の大元の語り手は誰か、版による文章の変化、同じ類型の話の世界的な分布や核となるモチーフがどの時代まで遡るか等。セミナーで語られた内容なので、その場その場で語られた内容が入り、全体像は少しつかみにくい。2021/04/20
