出版社内容情報
古典期ギリシア人の性はいかに営まれていたか。多くのポルノグラフィーを含む壷絵の解読と、悲劇喜劇の新解釈によって、アテナイ政治・文化の底を流れる性の実像をイメージ豊かに再構成する。(初版:1989年)
内容説明
いきりたつ男根をつけた石神、アテナイの街の辻々に立つヘルメス柱像が、ある朝残らず損なわれていた。いったい誰が…前5世紀の事件、ギリシヤ史上最大の謎を解いてみよう。未公刊の壺絵の斬新な解読が重要な手がかりになる。古典期ギリシアの性的成熟のコースとは、家庭生活とは、「饗宴」とはどのようなものだったのか。女性史の視点から、同性愛を含む性関係の実態をイメージ豊かに再構成する。生活のあらゆる場を貫く男性支配、「ファロス主義」の動かし難い証拠。
目次
1 遠征、抗議、嘆き、スキャンダル
2 アッティカ神話―不妊の女神、男性の子宮、強姦礼賛
3 ファロスと箱―人間の生殖器の形態に見立てられた世界
4 出産、家事
5 死の花嫁、その多様な現われ
6 アテナイの売春婦―アゴラのお買得品
7 黄金の心を持つ娼婦、幸せな辻君、その他の虚構
8 2種類の女―女性の魂の分裂