内容説明
個性豊かな脚本から生まれた『探偵物語』の中で、松田優作が語りかけようとしたものは何か―全27話に凝縮された1979~80年という時代の貌を読み解き、魅力の真相に迫る。
目次
第1章 佐治乾―ヤクザとポルノと街の仲間
第2章 丸山昇一―ハートボイルドの原点
第3章 那須真智子―母と娘の物語
第4章 柏原寛司―江戸っ子のケレンとハードボイルド
第5章 内田栄一―マイノリティから見た「この社会」
第6章 宮田雪―共同体の破壊と再生
第7章 小鷹信光(キャラクター造形、原案小説)―自作自演の固茹で玉子
第8章 松田優作=工藤俊作の身体
著者等紹介
李建志[リケンジ]
1969年、東京生まれ。本籍は韓国済州島。専門は、朝鮮文学朝鮮文化・比較文学比較文化。東京大学大学院総合文化研究科博士課程中退。京都ノートルダム女子大学専任講師、県立広島女子大学助教授、県立広島大学(県立三大学統合による)助教授・准教授を経て、2010年9月より関西学院大学社会学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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再び読書
16
探偵物語を脚本から、考察した独特な視線の作品。楽しいだけではなく、裏側の苦悩も垣間見られる。また終盤では在日韓国人である松田優作の知られていない一面が語られていて興味深い。そこでも語られていたが、韓流ブーム後の日本を見た彼の新たな取り組みや作品がどう進化するのかは、期待せざるを得ない。この時代を目撃出来たことに感謝したい。今ありとあらゆる情報にあふれた時代では到底、感じられなかった本物を求めてヒリヒリしていた松田優作というアーティストに映像で出会えたことに感謝したい!2023/11/19
kokada_jnet
3
ドラマ『探偵物語』を担当した脚本家たちから分析するという、方法論自体は素晴らしいが・・。しかし、この本がなければ「劇作家としての内田栄一」「漫画原作者としての宮田雪」「小説家としての小鷹信光」等は、永遠に論じられなかった可能性もある。2011/04/19
Pio
2
脚本家から見た『探偵物語』、特に内田栄一、宮田雪は強烈だな。そういうとこないと、残らないんだよね。70年代のアナーキーさ、今になると貴重なものだったと思える。2018/04/10