円の実力 - 為替変動と日本企業の通貨戦略

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円の実力 - 為替変動と日本企業の通貨戦略

  • ISBN:9784766429244

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内容説明

「為替」の壁を乗り越えられるか

2022年からの歴史的な円安進行によって、円の実質実効為替レートは1970年代前半と同等の水準にまで低下したといわれる。
果たして円はどれほどパワーを失っているのか。かつて最強の貿易立国と謳われた栄光は取り戻せるか。大幅な為替変動に直面する日本企業にとって、円建て貿易の促進は処方箋となり得るのか。最新の企業調査に基づく著者オリジナルの経済分析によって、今日のわが国と円の「真の姿」をわかりやすく説明。

2022年の急速な円安進行によって「円の実力が低下した」とたびたび指摘される。円の実質実効為替レートが50年前(1970年代前半)とほぼ同水準にまで減価したことが理由だが、果たして円の実力は本当に低下したのか? そもそも円の実力はどのようにして測るべきなのか?
                      
円安が進んでも日本の貿易収支は改善せず、近年ではむしろ貿易赤字が続いている。なぜ円安によって日本の貿易収支は改善しないのか?

過去50年以上にわたる大幅な為替レートの変動に対して、日本企業は積極的な海外進出と、アジアを中心とする生産・販売ネットワークの構築で対応してきた。この生産・販売ネットワーク下で日本企業はどのような通貨戦略によって為替変動リスクに対処してきたのか?

円建て貿易が伸びず、ドル建て貿易が中心と言われてきた日本の貿易建値通貨選択が、アジアで大きく変わりつつある。アジア現地通貨建て取引の拡大という新たな変化をデータによって明らかにする。

過去17年にわたって日本企業へのインタビュー調査とアンケート調査のプロジェクトに関わってきた著者が、これまで構築した独自データベースに基づく研究成果を踏まえて、上記の課題を分析・解説する。

目次

序章  日本国通貨「円」と向き合う

第1章  悪い円安と貿易赤字

第2章  なぜ日本の貿易収支は改善しないのか

第3章  円建て貿易はなぜ進まないのか

第4章  日本企業は為替の壁を乗り越えたのか

第5章  国際生産ネットワークと日系海外現地法人の建値通貨選択
     ――アジア現地通貨建て取引は拡大するのか 

終章  円の実力と日本企業の通貨戦略の課題

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

とりもり

6
実質実効為替レートだけを見て円の実力が著しく低下している(1970年と同水準!)という議論がいかに荒唐無稽かを丁寧に検証する。確かに円安に振れていることは間違いないが、実際には世界的なインフレ傾向と逆行する日本のデフレがその一因であることを立証する。ここまでは当然だが、円の国際化という観点から現地法人の為替リスクを本社がカバーするために現地通貨やドル建ての取引を選択しているという事実は、アンケートでしか明らかにならないという意味で貴重な論証。人民元が全然国際化していない事実も浮き彫りに。労作。★★★★☆2024/04/28

Kooya

2
最近生じている円安の要因を詳細に分析し、為替変動に対する企業の通貨戦略を解説した本。レベルとしては、唐鎌大輔氏の『「強い円」はどこへ行ったのか』や清水順子氏の『悪い円安 良い円安』の内容をより発展させたような感じである。2024/04/11

dokulogue1

1
図書館本。為替について少し知った後、弱い円、悪い円安と言った言葉の意味を知りたく読んだ。昔教科書で書かれていたような典型的な貿易、円とドルの関係みたいなものを再度、インタビュー結果を加えて調べている。私は貿易を物の部分でしか見ていなかったが、通貨に光をあてるとまた違った見え方をするのか興味深かった。2024/10/13

takao

1
ふむ2024/08/26

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