内容説明
なぜイギリスは自由フランスを支持したのか?
1940年6月、フランスはドイツとイタリアとの間に休戦協定を結び大国としての地位を失ったが、イギリスは巧みな外交手腕を使い米ソにフランスの再興を認めさせてゆく。ド・ゴール率いる自由フランス支持へと舵を切るまでのイギリス外務省内の合意形成、またアメリカを説得するまでの外交交渉の過程を分析し、戦後ヨーロッパの力の真空を埋めるという構想のもとに発揮した外交力を検証する。
目次
序章 イギリスと戦後ヨーロッパ
第1章 フランスの崩壊とイギリス外交の転換、1940 年
第2章 対「フランス」政策をめぐるチャーチルと外務省の対立、1940 年
第3章 外務省における対「フランス」政策の転換、1941 年
第4章 対「フランス」政策をめぐるアメリカとの対立、1941 ~ 1943 年
第5章 フランスの再興へ向けたイギリス外交、1943 ~ 45 年
終章 大陸と大西洋のはざまで
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ワッキー提督
5
第二次大戦期イギリスの対「フランス」政策通史。米英仏の首脳の個性の強さと、一方でチャーチルと時に対立しつつ外交政策の形成に関与した外務省の存在感の両方が描かれている。第二次大戦期外交史の興味深さを改めて提示してくれる一冊であった。2023/07/29
FFLJAPANter
2
このテーマをイギリスの視点から見るのは初めてだったが、米国という超大国とどのように渡りあうのかという点で国柄が出ていて非常に興味深かった。 フランスの早期降伏による英国の対仏政策の混乱が思っていた以上に大きかったが、それでもきちんと最後に形にするのは英国の外交能力の地力の強さがよく分かる。 しかし、後半になるにつれてド・ゴールが無視できない異様な存在感出すのは、どの史料見ても間違いなくて、凄みを感じますね…(ド・ゴール主義者並の感想)2023/12/28