ハヤカワ・ミステリ<br> 元年春之祭

個数:1
紙書籍版価格
¥1,650
  • 電子書籍
  • Reader

ハヤカワ・ミステリ
元年春之祭

  • ISBN:9784150019358

ファイル: /

内容説明

二千年以上前の前漢時代の中国。山中の名家を訪ねてきた少女は、かつてこの地で奇妙な殺人事件が起きたことを聞き、その推理を試みる。そこに新たな事件が! 不可能状況の殺人、二度にわたる「読者への挑戦」。気鋭の中国人作家による本格推理小説の新たな傑作

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

W-G

426
日本の本格ミステリからの、というか日本カルチャー全般からの影響が、昨年話題になった『13・67』よりかなり色濃い。意外な動機を強く打ち出し、三津田信三の推薦文付き。実際は、たしかに珍しい類ではあるものの、大きな驚きには繋がらないかなといったところ。事件発生からのテンポも良く、それっぽい薀蓄が差し挟まれるあたりも本格の雰囲気。しかし、中盤の薄さが気になる。探偵役が関係者にあたったりという、いわゆる捜査の過程があまり描かれないまま、ただ女の子が喧嘩している場面ばかりで、読者への挑戦状が出される。2019/01/01

starbro

238
話題の前漢時代の中国を舞台とした華文ミステリを読みました。陸 秋槎、初読です。漢詩の素養がないせいもありますが、ミステリとしても、あまり愉しめませんでした。著者があとがきで自虐的に書いている内容そのもののような気がします。本書で、区切りの読んだ本2,500登録です。2018/11/16

遥かなる想い

182
2019年このミス海外第4位。 舞台は前漢時代の中国である。 楚の豪族の娘 於陵葵 の才気溢れた 立ち振る舞いが心地良い。やや漢詩の引用が多すぎる気もするが、中国ミステリーの常道なのだろうか? 娘たちの饒舌な語りと 推理から 犯人と 殺人の動機が 読者に示される… 中国古代の 価値観も 窺われる、新鮮な 物語だった。2019/01/11

ケイ

137
作品のテーマ、作者の経歴、ほぼ若い女性しか登場しないところなど、変わり種ミステリ。舞台は前漢の頃の中国。彼らの日常や信仰についての単語が馴染みがないために 読んでいるつもりが視線が滑っているだけという箇所がいくつもあった。10代~20前後の女の子は、弾んだ会話だけで、興奮し、一種のヒステリー状態におちいることはある。そう思うと、構成としてこれもありかなと思う。一喜一憂しながらの読書中の犯人探しだった2019/05/20

あも

102
中国は前漢時代を舞台にしたミステリ。最初に言っておくとめちゃくちゃ楽しかった。楚地方の山奥に暮らす祭祀を司る一族の元に於陵葵という少女が訪れ、数年前の一家皆殺し事件と新たな連続殺人事件の謎を解く…。これでもかと出てくる稠密な習俗や宗教・儒教の蘊蓄。一方で島田荘司を始めとした日本の新本格ミステリへの強い憧れを感じさせる開かれた密室・心理的密室。両者が混じり合うことで他にない雰囲気を持った作品となっている。日本人作家とは別の感性から産まれたキャラクター造形も興味深い。古代中国の空気を存分に吸い込み満足の一言。2019/01/30

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/13066573
  • ご注意事項