内容説明
瀬戸内国際芸術祭をきっかけに、芸術やデザインによって持続可能な社会づくりを模索している「小豆島 醤の郷+坂手港」。島外から参加した若い世代のアーティストやデザイナーが、地元の住民や行政と一体となって、自分たちの「生き方」の問題としてプロジェクトをつくりあげています。
本書は、その構想の実践、検証、長期的なビジョンを記録・発信することで、日本各地で起こりうる社会的な問題を解決するためのヒントを提示するソーシャルデザインの参考書。人口分布や産業、地形といった観点から、現代日本の縮図といえる小豆島での取り組みは、日本の未来を見据えるうえでひとつのモデルケースとなるはずです。
他者が一方的に主導するのではなく、「自らが変わること」で住民たちとの関係を育み、相互の意識を変えていく。本書は、いまなお継続している運動体のプロジェクトそのものであり、行政や教育、各種団体・活動の運営者など、さまざまな立場で地域社会に関わる人へ新たな指針を示しています。
目次
まえがき
プロローグ 醤の郷+坂手港プロジェクト-観光から関係へ-
構想と計画
実践と検証
考察と展望
イベント一覧
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
それいゆ
62
私は地元高校を卒業し大学に進学するとき、この本で紹介される坂手港から神戸港に向けて船に乗り小豆島を離れました。幼い頃、坂手港は阪神地方への玄関口として賑わっていました。退屈でたまらなかった3時間の船旅は、成長するにつれじっくりと本を読んだり、船上から穏やかな瀬戸の海を眺め心が和む時間へと変わりました。外に出て初めて小豆島の良さに気づきました。従来型の観光客誘致しか考えなかった結果、島の魅力が消えていったのだと思います。瀬戸内国際芸術祭を契機に島の未来に希望が見え始めました。そんなことを感じさせる本です。2014/07/16
KakeruA
1
地域における外部コンテンツの設置可能性ではなく、外部クリエイターと当事者との関係に着目したアートプロジェクト。地域内部にある魅力や課題、そのソリューションをもコンテンツとして成立するアーキテクチャに注目したい。2014/12/19
Junko Yamamoto
0
心地よい田舎を探して。2016/10/04