内容説明
日本のアニメやマンガがフランスで大きな支持を得ているといわれています。
実際、フランスで行われている「ジャパン・エキスポ」の来場者数は右肩あがりで、20万人を越す集客を誇るイベントに成長。
しかし、どうしてフランスで日本のアニメやマンガが受け入れられるにいたったのでしょうか?
本書では、フランスにおける日本のアニメ・マンガ文化の輸入史を黎明期から振り返るとともに、人気となった理由をわかりやすく分析。
フランスにおける日本アニメの放映が本格的にスタートした1970年代に幼少期を過ごした当事者だからこそ知るエピソードや実体験も豊富に交え、「クールジャパン」の正体に切り込みます。
目次
第1章 アニメに夢中 1970年代の夜明け/第2章 日常化するアニメとバッシングの脅威 1980年代の憂鬱/第3章 「オタク」の自覚とネットワークの形成 1990年代の覚醒/第4章 「間」の想像力を生きる 2000年代以降の課題
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おかむら
37
76年生まれのフランスの1少年が、いかにして日本のアニメと出会い、ハマり、オタクとなっていったかを、彼の地の社会文化政治状況を交えて書かれてます。知らないことばっかですごい面白い! ジャパンエキスポの様子はここ何年かニュースでもやるようになってフランスにもオタクいっぱいいんだなーと思ってはいたけれど。ただ手放しでベタ褒めではなく、クールジャパン戦略の今後の危うさにも言及してて、お上が乗り出すとつまんなくなるよなーとサブカル好きの思いは世界共通。フランスの小学生ってかつては水曜日も休みらしいですよ。羨ま!2015/10/03
もだんたいむす
8
著者の考えに深く共感した。子供向けに描かれた漫画を、神格化し大人向けと決めつけるのはナンセンスだ。★★★★★2016/01/28
seichan
6
フランスのオタク少年のアニメとの出会いとフランス社会でのアニメやマンガ受容の移ろいが面白く読める。アニメそもそもの無国籍感と翻訳者の努力もあるし「日本製だから」受け入れられたわけではないという指摘は昨今の「クールジャパン」が見逃してる部分。初期オタクコミュニティの努力と熱意や後出しで参入してくる人々との意識乖離など、日本のオタク界隈でも見られた現象。そして文化人たちが「アニメはアートだ」とかいって手の平返しで持ち上げる風潮もね。本人が戦後昭和史を専攻するインテリのせいか、考察が繊細かつ鋭くて面白い。2016/04/16
はみ
6
よく行く図書館でオススメされていた本。表紙で興味をそそられ借りてきて、その日に読了。この本とても良いです!期待値を軽く超える本でした!フランスで日本のサブカルチャーが広まった経緯が「なるほどなぁ」って理解出来、昨今の“クールジャパン”に対する話も深かった。暗い面もしっかりと書かれていて、色々考えることも多かったです。この本はサブカルに興味がない人でも、良い本として読めるのではないでしょうか。2016/01/14
スプリント
6
フランスにおける日本サブカルチャーの歴史と実態について書かれています。北斗の拳がギャク漫画に改変されていたり、お国の事情でカットされているアニメが多いことなど初めて知る内容が多く楽しめました。2015/09/23