近世刊行軍書論 - 教訓・娯楽・考証

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近世刊行軍書論 - 教訓・娯楽・考証

  • 著者名:井上泰至
  • 価格 ¥7,150(本体¥6,500)
  • 笠間書院(2014/09発売)
  • ポイント 65pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784305707390
  • NDC分類:913.5

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内容説明

近世期に刊行された、軍書の全体像を問う、初の書。「娯楽」「教訓」「歴史」「軍学」の諸要素が渾然としていたため、近世軍書は、近代的な制度である、文学研究・思想史研究・倫理学研究・歴史研究のどの研究分野からも継子扱いされてきた。
本書はそれらの諸分野を超え近世軍書の流れ、性格を考え、小説史に果たしてきた役割を論じていく。
武士の生き方を教えた軍書は、江戸時代の小説という「花」を生む「土壌」として見れば、武士の歴史を語る、まことに養分の多い「沃野」であった――。

【……本書では、「近世に制作・刊行された和軍記・通俗史書・雑史・軍談」を「近世軍書」と定義する。本書が、近世小説の一部としての、あるいは近世小説の母胎の一つとしての「近世軍書」を対象にする以上、軍語りの書である「軍記」が核になることは疑い得ない。しかし、近世に生産された軍記は、それを生みだした近世軍学を念頭に置かざるを得ないし、軍語りと軍学書の色彩が渾然一体とした『甲陽軍鑑』や『太平記秘伝理尽鈔』などの書物、あるいは『本朝通紀』のような軍記を漢文化した通俗史書をもはじき出さないことで、近世当時の「軍書」の制作・流通・受容の実態が見えてくるはずだからである。
 むしろ、十七世紀前半には教訓と娯楽が渾然一体としていた軍書の在り方が、十七世紀後半になって出版ベースに乗っていくうちに通俗歴史読み物として一旦は定型化し、それが十八世紀という学問と文学の結婚の時代を迎えると、軍書が考証と娯楽と教訓に分化してゆく経過は、「軍書」の語を今日でいう「軍記」に限定しないことで明らかになってゆくのである。……「はじめに」より】

目次

はじめに
 一 本書の対象と目的
 二 本書の構成
 三 これまでの近世刊行軍書研究

第一章 ・ 近世刊行軍書の全体像

第一節 近世刊行軍書の沿革
 一 近世刊行軍書の沿革―四つの時期
 二 武家支配の時代という歴史観
 三 史書の雅俗の間
 四 系図編纂による武家の格式化
 五 浪人という視座
 六 軍学の学問化
 七 読本へ

第二節 近世刊行軍書年表稿…47
 【凡例】
本編 1 大坂物語/2 信長記/3 天正記/4 甲陽軍鑑/5 太閤記/6 聚楽物語/7 北条五代記/8 太平記秘伝理尽鈔/9 甲乱記/10 関東軍記/11 嶋原記/12 平家物語評判秘伝抄/13 太平記評判私要理尽無極鈔/14 太閤軍記/15 武者物語/16 楠正成一巻書/17 楠兵庫記/18 源平軍物語/19 江源武鑑/20 本朝百将伝/21 本朝武家根元/22 京都将軍家譜/23 織田信長譜/24 豊臣秀吉譜/25 太平記大全/26 朝鮮征伐記/27 古老軍物語/28 甲陽軍鑑評判/29 佐々木軍記/30 浅井物語/31 楠氏二先生全書/32 清正記/33 三好軍記/34 将軍記/35 続撰清正記/36 東鑑(仮名)/37 楠正成伝/38 太平記綱目/
ほか