著者は、イラン出身の文学者。本書を読むと米国のワシントンDCを拠点として活動していることが分かる。 章立てで取り上げられた作家は4人。マーク・トウェイン、シンクレア・ルイス、カーソン・マッカラーズ、そしてジェイムズ・ボールドウィン。著述の途中で関連する作家が複数登場し、歴史と文化の影と光が交錯するなかで、アメリカ文学の多様性を描き出した万華鏡。 言及された作品の多くが未読だと気づかされたが、著者が心に築いた『想像力の共和国』へ足を運び、逍遥する意欲はますます高まった。幸い、ここへの渡航にESTAは不要。 先ずは、国内で入手できるカーソン・マッカラーズのThe Heart is a Lonely Hunter『心は孤独な狩人』からだろうか。巻末で引用された「崖っぷち(危機に瀕した)の読書」へ意識を向けていこうと思う。