発表!!紀伊國屋じんぶん大賞2018
――読者と選ぶ人文書ベスト30
「紀伊國屋じんぶん大賞」は、おかげさまで第8回目を迎え、今回も読者の皆さまから数多くの投票をいただきました。誠にありがとうございます。投票には紀伊國屋書店内の選考委員、社員有志も参加いたしました。投票結果を厳正に集計し、ここに「2017年の人文書ベスト30」を発表いたします。
【記念小冊子配布】フェア期間中、國分功一郎氏の大賞受賞コメントならびに読者からの推薦コメントを掲載した小冊子を店頭にて無料配布いたします。(「キノベス!」冊子との合本となります。)
【記念ブックフェア開催】開催期間:2018年2月1日(木)~3月上旬 ※主要店舗にて開催。詳細は各店舗にお問い合わせください。皆様のご来店を心よりお待ち申し上げます。
紀伊國屋じんぶん大賞2018事務局
【大賞】
『中動態の世界 意志と責任の考古学』
國分功一郎/医学書院
医学書院(2017/04発売)価格 \2,160(本体\2,000)
大賞には、國分功一郎さんの『中動態の世界 意志と責任の考古学』(医学書院)が選ばれました。國分さんの受賞コメント、および読者推薦コメントの一部をここにご紹介いたします。
【國分功一郎さん受賞コメント】
受賞の言葉國分功一郎この本を出版して以来、多くの方々から感想をいただき、また多くの方々と対話を重ねてきました。著書を世に問うことは終着点ではなくて出発点なのだとの思いを強くしています。というのも、出版後も自分の考えは更に前に進んでいるからです。
この本では意志についてはそれなりの頁を割いて論じていますが、責任についてはあまり多くを語っていません。ですが、この本を出版し、多くの方からお考えを聞かせていただくことで、責任の概念を考え直すヒントをたくさん得ることができました。
この本では意志と一体となった責任の概念を論じています。しかしそのような責任は責任の堕落した姿ではないでしょうか? なぜ責任を英語でresponsibilityと言うのか? なぜ責任が応答responseと切り離せないのか? 責任が応答と切り離せないとすれば、それは自分の目の前で起こったことや自分が知ったことへの応答としてあることになります。
たとえば強盗に襲われた旅人が身ぐるみを剥がされ、半殺しにされたまま地面に横たわっている。誰もその人を助けようとしない。けれども、通りかかったある人物がその人を気の毒に思い、介抱し、宿に連れて行って、宿代まで代わりに支払う。その人はこの旅人を前にして何か応答しなければならないものを感じたからそうしたのでしょう。義の心と言ってもよいのかもしれません。ここには責任の原初形態とでも呼ぶべきものがあります。
それに対し、意志と一体になった責任とは、応答すべき立場にあるにもかかわらず応答しない人に対して、意志という概念装置を使って強制的に応答させる、そのような責任のことです。それは責任の原初形態からはほど遠い、その堕落した姿なのです。ですが私たちは責任というと、まずそのような責任の姿を思い浮かべます。ですから『中動態の世界』もそれを扱いました。しかし責任はそのようなあり方にとどまるものではありません。
「受賞の言葉」だというのに論文のようなことを書いてしまいました。しかしもはや私は、この本を書いていた頃の思い出や、この本に込めた想いを語れる状態にはありません。多くの方々から感想をいただき、また多くの方々と対話を重ねてきました。この本が出発点となって、私の内でも私の外でも多くのことが前に進んでいます。そのことをここに報告したいと思います。そして、そのように報告できるのは多くの方々がこの本を読んでくださったからであり、この本が紀伊國屋じんぶん大賞を受賞できたのもそれ故のことだと思います。こんなことはまず滅多に起こらないことです。本当にありがとうございます。
【國分功一郎(こくぶん・こういちろう)さん プロフィール】1974年千葉県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。高崎経済大学准教授。専攻は哲学。主な著書に、『スピノザの方法』みすず書房、『暇と退屈の倫理学 増補新版』太田出版、『ドゥルーズの哲学原理』岩波現代全書、『来るべき民主主義』幻冬舎新書、『近代政治哲学』ちくま新書、『民主主義を直感するために』晶文社など。本書『中動態の世界』医学書院で、第16回小林秀雄賞受賞。
【読者推薦コメント】
「する」でも「される」でもない行為のあり方を示唆する中動態。失われたこの態を求めて、言語学と哲学の交わるところで遂行される思考の考古学のおもしろさ! 一読三嘆、言語観ばかりか世界の見え方も変わるに違いない。山本貴光さん私たちの行為は必ずしも「する・される」だけでは言い表わせません。何を食べるか選択する時でさえ「食べたいから食べる」以外のさまざまな影響が与えられています。その、さまざまが中動態なのではないでしょうか。古典ギリシアの時代まで遡りハイデッガーやアレントと出会うまでの長い読書の旅の最後、希望の光が降り注ぎます!木村麻美さん読む前と読んだ後で世界の見え方がガラリと変わる。スケールの大きな野心的な試みに感動しました。長谷川裕さんさながら推理小説のように展開される、中動態の謎を解く旅を堪能した。「自由を追求することは自由意志を認めることではない」という一節は、自由論にとっても大変な示唆を含んでいる。斎藤哲也さん『暇と退屈の倫理学』から5年半......「する」「される」の起源を論考した本書。意志、責任、秩序。言語により規定される思考。自身の内面/外面から生じる依存症の治癒にも可能性を開く、「中動態」から見える景色だ。橋本亮二さん
【第2位】
【読者推薦コメント】
「21世紀のあらたな連帯」を語る哲学書。こう書くと敷居は高いかもしれないが、本書が目指しているのは、今とは別の方法で人は生きられないか、どんな風に振る舞えば世界は今より生きやすいものになるかということだ。何においても惜しむところなく書き尽くされた文章からにじみ出る誠実さに、著者とその思索の魅力を感じる一作。
マルチチュードの限界を乗り越えて、21世紀の連帯のすがた、そしてそれを実現するための方角をはっきりと描き出した傑作。
本書は、著者の過去の複数の著作の「続編」という位置づけになっており、そこに上手さや妙味を感じます。これまで哲学の世界では焦点が当たりにくかった「観光客」という視点から、政治・経済、国際関係などの現代社会の諸問題に切り込む刺激的な一作です。
「21世紀のあらたな連帯」を語る哲学書。こう書くと敷居は高いかもしれないが、本書が目指しているのは、今とは別の方法で人は生きられないか、どんな風に振る舞えば世界は今より生きやすいものになるかということだ。何においても惜しむところなく書き尽くされた文章からにじみ出る誠実さに、著者とその思索の魅力を感じる一作。
(選)小林翔太
マルチチュードの限界を乗り越えて、21世紀の連帯のすがた、そしてそれを実現するための方角をはっきりと描き出した傑作。
斎藤哲也さん
本書は、著者の過去の複数の著作の「続編」という位置づけになっており、そこに上手さや妙味を感じます。これまで哲学の世界では焦点が当たりにくかった「観光客」という視点から、政治・経済、国際関係などの現代社会の諸問題に切り込む刺激的な一作です。
竹中信介さん
【読者推薦コメント】
境界を否定するのではなく、別に「引き直す」ことで、コミュニティからこぼれ落ちてしまうものを包摂することの提案。断絶とつながりばかりが注目されつつある近年のなかで、生のフィールドワークを背景に論じられた「引き直し」論はとても魅力的に思える。
この本をはじめて読んだ時、面白かったのはもちろんですが、何よりも著者の人間性に脱帽しました。エチオピアで感じた些細な「ずれ」や「はみだし」を、卵を温めるように大切に分析し、「つながり」を紡ぎ出す。本書に通底するそんな想いが、この本に他には無い内容と深みを与えているのだと思います。人類学を起動する、新たなマスターピース。
もう、ヒーローやヒロインをただ待っているような時代ではない。一人ひとりが世界を自分にたぐりよせ、考え続けるしかないのではないか。からまった糸をときほどいてゆくように、がんじがらめになってしまった私たちの思考を、エチオピアという視点から、少しずつほどいてゆく。読み終えた時に感じたかすかな風のような希望は、あたらしい人文書の書き手の誕生とも、重なるような気がしました。
境界を否定するのではなく、別に「引き直す」ことで、コミュニティからこぼれ落ちてしまうものを包摂することの提案。断絶とつながりばかりが注目されつつある近年のなかで、生のフィールドワークを背景に論じられた「引き直し」論はとても魅力的に思える。
三橋輝さん
この本をはじめて読んだ時、面白かったのはもちろんですが、何よりも著者の人間性に脱帽しました。エチオピアで感じた些細な「ずれ」や「はみだし」を、卵を温めるように大切に分析し、「つながり」を紡ぎ出す。本書に通底するそんな想いが、この本に他には無い内容と深みを与えているのだと思います。人類学を起動する、新たなマスターピース。
(選)小山大樹
もう、ヒーローやヒロインをただ待っているような時代ではない。一人ひとりが世界を自分にたぐりよせ、考え続けるしかないのではないか。からまった糸をときほどいてゆくように、がんじがらめになってしまった私たちの思考を、エチオピアという視点から、少しずつほどいてゆく。読み終えた時に感じたかすかな風のような希望は、あたらしい人文書の書き手の誕生とも、重なるような気がしました。
(選)林下沙代
【読者推薦コメント】
「文学」ってなんだ?――この簡潔ながら答えに窮する問いに対し、すべてを更地にして考え始め、これでもかというほど解きほぐしながら一歩ずつ核心部に迫っていく......これは楽しい! 読者への配慮もぬかりなく、装幀も美麗。すべての読書人に薦めたい名著。
「凡そ文学的内容の形式は(F+f)なることを要す。」――数多の文学青年を悩ませた謎の命題で知られる漱石の『文学論』を徹底読解し、110年後の現在でも使える 「文(学・術)」の全体論としてヴァージョンアップする大労作! 分野を越える学術・創作・産業の協同の可能性を示すマッピングとしても後世に残る仕事。
「文学」ってなんだ?――この簡潔ながら答えに窮する問いに対し、すべてを更地にして考え始め、これでもかというほど解きほぐしながら一歩ずつ核心部に迫っていく......これは楽しい! 読者への配慮もぬかりなく、装幀も美麗。すべての読書人に薦めたい名著。
堤真二さん
「凡そ文学的内容の形式は(F+f)なることを要す。」――数多の文学青年を悩ませた謎の命題で知られる漱石の『文学論』を徹底読解し、110年後の現在でも使える 「文(学・術)」の全体論としてヴァージョンアップする大労作! 分野を越える学術・創作・産業の協同の可能性を示すマッピングとしても後世に残る仕事。
(選)野間健司
【読者推薦コメント】
療養所入居者たちがどのように生活状況の改善を試みてきたか、そしてその改善がハンセン病に関わる政策と制度、日本の社会保障と福祉政策に影響したかを示そうとする一冊。「内容と形式において自他を肯定し続ける営みが、結果的に、変革への推進力となることもあるのだ」(p.165)。否定性を肯定性への契機に作り変えていく、ささやかな運動がかたちになるさまに感銘を受けた。
とにかく文章が美しくて、読んでいると心が洗われます。病気や隔離などテーマは悲しく重たいはずなのに、この本には不思議な暖かさがあります。仲間と手をとりあって悲惨な状況を変えてゆく様子がいきいきと描かれており、映画を観ているような気分になりました。勇気をもらえました。
療養所入居者たちがどのように生活状況の改善を試みてきたか、そしてその改善がハンセン病に関わる政策と制度、日本の社会保障と福祉政策に影響したかを示そうとする一冊。「内容と形式において自他を肯定し続ける営みが、結果的に、変革への推進力となることもあるのだ」(p.165)。否定性を肯定性への契機に作り変えていく、ささやかな運動がかたちになるさまに感銘を受けた。
大矢靖之さん
とにかく文章が美しくて、読んでいると心が洗われます。病気や隔離などテーマは悲しく重たいはずなのに、この本には不思議な暖かさがあります。仲間と手をとりあって悲惨な状況を変えてゆく様子がいきいきと描かれており、映画を観ているような気分になりました。勇気をもらえました。
吉良加奈子さん
【読者推薦コメント】
生物学者福岡伸一氏が、難解で知られる西田哲学を生命科学の言葉で読み解いていく思索の旅が語られている。生命を分解して理解する分析的思考ではなく、生命そのものと一つになって理解するピュシス的思考という新しい知のあり方に読者は魅了されるであろう。
西洋哲学や科学の限界が露わになってきている中で、それらを超克する可能性をもつ西田哲学の現代的意義が述べられるとともに、知の統合の重要性を説き、文理融合を対話によって実現している。「ロゴス(論理)対ピュシス(自然)」の構図の呈示により、従来の解説書には見られない新解釈の西田哲学入門書となっている。
生物学者福岡伸一氏が、難解で知られる西田哲学を生命科学の言葉で読み解いていく思索の旅が語られている。生命を分解して理解する分析的思考ではなく、生命そのものと一つになって理解するピュシス的思考という新しい知のあり方に読者は魅了されるであろう。
田原照子さん
西洋哲学や科学の限界が露わになってきている中で、それらを超克する可能性をもつ西田哲学の現代的意義が述べられるとともに、知の統合の重要性を説き、文理融合を対話によって実現している。「ロゴス(論理)対ピュシス(自然)」の構図の呈示により、従来の解説書には見られない新解釈の西田哲学入門書となっている。
柴村登治さん
【読者推薦コメント】
現代の哲学的問題を明晰な理路で描き出し、さらには発展させ、独自の理論を生成。本書で展開される強靭な思考は、ジャンルを越えた、多くの製作者を触発しうるものだと思います。現代思想の入門ではなく、更新。
現代の哲学的問題を明晰な理路で描き出し、さらには発展させ、独自の理論を生成。本書で展開される強靭な思考は、ジャンルを越えた、多くの製作者を触発しうるものだと思います。現代思想の入門ではなく、更新。
(選)伊藤隆弘
【読者推薦コメント】
若手研究者によるロンギノス『崇高論』を素材にしたレトリック論。ことばが本来的にもつ修辞性に光をあてた画期的論考。
若手研究者によるロンギノス『崇高論』を素材にしたレトリック論。ことばが本来的にもつ修辞性に光をあてた画期的論考。
西谷能英さん
【読者推薦コメント】
文中の「コンティンジェンシー」を理解して毎日を過ごせば、もっとワクワク・ドキドキが身近になるはず。古今東西の人物や出来事について縦横無尽に語ったかと思えば、ご自身の肺がん発覚やこれまでのキャリアについても語る。読了しても、氏のような「知」は得られないが、「何か」が残る。不思議な「寄り道」のような本。
文中の「コンティンジェンシー」を理解して毎日を過ごせば、もっとワクワク・ドキドキが身近になるはず。古今東西の人物や出来事について縦横無尽に語ったかと思えば、ご自身の肺がん発覚やこれまでのキャリアについても語る。読了しても、氏のような「知」は得られないが、「何か」が残る。不思議な「寄り道」のような本。
吉岡聡さん
【読者推薦コメント】
哲学者ハンナ・アレントの著作と同一の書名を授かったこの書籍は、20世紀初頭のドイツと同じく、右傾化し自由が奪われた時代(=暗い時代)の問題意識を共有しています。その中で、自らの信条に従い生きた9人の光が、希望を絶やさず生きることの価値を照らします。現代を暗い時代と呼ばせないためにも、一読を推薦します。
哲学者ハンナ・アレントの著作と同一の書名を授かったこの書籍は、20世紀初頭のドイツと同じく、右傾化し自由が奪われた時代(=暗い時代)の問題意識を共有しています。その中で、自らの信条に従い生きた9人の光が、希望を絶やさず生きることの価値を照らします。現代を暗い時代と呼ばせないためにも、一読を推薦します。
(選)髙部知史
【読者推薦コメント】
文化人類学の古典のような本が現代に出版されるとは驚きだ。パタゴニアの住民たちの奇祭からは現代アートに通じるような不思議な美しさや祭りの記録。それだけでも驚きだが、それ以上に凄いのは地の果てともいえる彼らのことを記録してあるという事実。人間は今も昔も人間を記録、分析、研究しなければ気が済まないようだ。文化人類学の原点を思い知らされた。
文化人類学の古典のような本が現代に出版されるとは驚きだ。パタゴニアの住民たちの奇祭からは現代アートに通じるような不思議な美しさや祭りの記録。それだけでも驚きだが、それ以上に凄いのは地の果てともいえる彼らのことを記録してあるという事実。人間は今も昔も人間を記録、分析、研究しなければ気が済まないようだ。文化人類学の原点を思い知らされた。
(選)生武正基
【読者推薦コメント】
仏文学を専攻する渡辺が、戦中悲壮な決意を秘めて訳したマンの言葉が今甦る。名高い評論および貴重な中野重治との往復書簡を収め、ユマニスムの粋を凝縮。山城むつみの解説も圧巻。
仏文学を専攻する渡辺が、戦中悲壮な決意を秘めて訳したマンの言葉が今甦る。名高い評論および貴重な中野重治との往復書簡を収め、ユマニスムの粋を凝縮。山城むつみの解説も圧巻。
(選)大籔宏一
【読者推薦コメント】
「生きて帰れたら、自分で話そう。帰れなかったら、日記を読んでもらおう」14歳の少女が自身の死を意識して、日記の冒頭にこのように書いたことに衝撃を受けた。少女の目線を通して見るゲットーや強制収容所での日々はあまりに過酷で苦しいが、目を背けてはいけない歴史であることを改めて痛感した。
「生きて帰れたら、自分で話そう。帰れなかったら、日記を読んでもらおう」14歳の少女が自身の死を意識して、日記の冒頭にこのように書いたことに衝撃を受けた。少女の目線を通して見るゲットーや強制収容所での日々はあまりに過酷で苦しいが、目を背けてはいけない歴史であることを改めて痛感した。
(選)木下愛子
【読者推薦コメント】
ユダヤ人の大量虐殺を行ったナチ高官たち。実の子どもたちから見た父親はどのような姿であったのか。そこには家族を愛する普通の父親が描かれていた。しかし戦後、父親の名は子供たちの生活に暗い影を落としてゆく。戦争とは関わった者すべてが何らかの被害者であることを考えさせられた。
ユダヤ人の大量虐殺を行ったナチ高官たち。実の子どもたちから見た父親はどのような姿であったのか。そこには家族を愛する普通の父親が描かれていた。しかし戦後、父親の名は子供たちの生活に暗い影を落としてゆく。戦争とは関わった者すべてが何らかの被害者であることを考えさせられた。
(選)木下愛子
【読者推薦コメント】
哲学者と詩人についての考察から、詩の言葉と哲学の言葉の関係性を論じている。終章で展開される隠喩の問題についての詩論は、もう一度詩の言葉の可能性について考えるきっかけとして、現代詩の関係者だけでなく人文書の読者に広くお薦めしたい。
哲学者と詩人についての考察から、詩の言葉と哲学の言葉の関係性を論じている。終章で展開される隠喩の問題についての詩論は、もう一度詩の言葉の可能性について考えるきっかけとして、現代詩の関係者だけでなく人文書の読者に広くお薦めしたい。
(選)桑原勇太
【読者推薦コメント】
少しでも日本史に興味があればたのしめるソフトな内容。ただ、"この国の支える文化の話"の中で日本の出版文化にふれた章は力強さを感じた。
少しでも日本史に興味があればたのしめるソフトな内容。ただ、"この国の支える文化の話"の中で日本の出版文化にふれた章は力強さを感じた。
伊藤恵理子(札幌本店)
【読者推薦コメント】
なぜ戦前の右翼や国粋主義者たちは、「絶対他力」や「自然法爾」に代表される親鸞の思想に次々とハマっていったのか? また、それがなぜ「弥陀の本願=天皇の大御心」などと、"国体"を正当化する論理として用いられるに至ったのか? 近代日本思想の盲点を衝き、現代も続く信仰と愛国の危険な蜜月に迫る一書です。
なぜ戦前の右翼や国粋主義者たちは、「絶対他力」や「自然法爾」に代表される親鸞の思想に次々とハマっていったのか? また、それがなぜ「弥陀の本願=天皇の大御心」などと、"国体"を正当化する論理として用いられるに至ったのか? 近代日本思想の盲点を衝き、現代も続く信仰と愛国の危険な蜜月に迫る一書です。
小山健秀さん
【読者推薦コメント】
「チャヴ」とは、イギリスで労働者階級全般のことを指す侮辱語。政治による分断・分断による差別が野放図に拡がり、一度根付いてしまった状況は深く沈潜し、いつしか当たり前になる――。自己責任論による格差が跋扈する日本でも、イギリスの問題は対岸の火事ではない、と強く思う。現在と将来を真剣に考えるための必読書。
「チャヴ」とは、イギリスで労働者階級全般のことを指す侮辱語。政治による分断・分断による差別が野放図に拡がり、一度根付いてしまった状況は深く沈潜し、いつしか当たり前になる――。自己責任論による格差が跋扈する日本でも、イギリスの問題は対岸の火事ではない、と強く思う。現在と将来を真剣に考えるための必読書。
中島久暢さん
【読者推薦コメント】
善い・悪いってそもそもなんだろうか?正しいってなんだろうか?誰もが一度くらいは考えたことがあるこの疑問に正面からぶつかっていく。残念ながら本書に解答はない。でも疑問に答えようとするうちに見えてくるあれこれって意外と見落としがちだったかもしれません。
善い・悪いってそもそもなんだろうか?正しいってなんだろうか?誰もが一度くらいは考えたことがあるこの疑問に正面からぶつかっていく。残念ながら本書に解答はない。でも疑問に答えようとするうちに見えてくるあれこれって意外と見落としがちだったかもしれません。
(選)一戸悠二朗
【読者推薦コメント】
教育については誰でも一家言あるといわれる。昨今、大学改革の嵐が吹き荒れるなか、関連する書籍は多数あれど、本書に匹敵するものは未だ見当たらない。本書は、これまでの改革の方針とデータから、論点を的確に取り上げ、大学が本来どのようなものであったか、その歴史をもきれいにまとめ上げている。これからは、確実に高等教育にメスが入るであろうし、それは日本の財政事情・大学と学生数の比率からしても確実に行われるであろうし、そうあるべきだろう。教育において、大学改革は、しばらくのあいだは一つの焦点となる。現在ニュースになっている、高等教育の無償化について議論されるときには、ぜひ本書を議論のたたき台にしてほしい。
教育については誰でも一家言あるといわれる。昨今、大学改革の嵐が吹き荒れるなか、関連する書籍は多数あれど、本書に匹敵するものは未だ見当たらない。本書は、これまでの改革の方針とデータから、論点を的確に取り上げ、大学が本来どのようなものであったか、その歴史をもきれいにまとめ上げている。これからは、確実に高等教育にメスが入るであろうし、それは日本の財政事情・大学と学生数の比率からしても確実に行われるであろうし、そうあるべきだろう。教育において、大学改革は、しばらくのあいだは一つの焦点となる。現在ニュースになっている、高等教育の無償化について議論されるときには、ぜひ本書を議論のたたき台にしてほしい。
小彼積民人さん
*2016年12月~2017年11月(店頭発売日基準)に刊行された人文書を対象とし、2017年11月1日(水)~11月30日(木)の期間に読者の皆さまからアンケートを募りました。*当企画における「人文書」とは、哲学・思想/心理/宗教/歴史/社会/教育学/批評・評論に該当する書籍(文庫・新書含む)としております。*推薦コメントの執筆者名は、一般応募の方は「さん」で統一させていただき、選考委員は「選」、紀伊國屋一般スタッフは所属部署を併記しています。
じんぶん大賞2018 選考委員
野間健司【書籍営業部】一戸悠二朗【書籍営業部】渡辺哲史【東京営業本部】小林翔太【千葉営業所】原元太【首都圏西営業部】福原稔【中部営業部】髙部知史【京都営業部】植松由希子【京都営業部】伊藤隆弘【新宿本店】生武正基【新宿本店】桑原勇太【セブンパークアリオ柏店】木下愛子【広島店】池田匡隆【広島店】大籔宏一【ゆめタウン徳島店】相澤哲洋【久留米店】山本護【熊本はません店】林下沙代【札幌本店】小山大樹【札幌本店】藤本浩介【台湾微風店】
[事務局]和泉仁士【出版部】池田飛鳥【和書販売促進部】四井志郎【ブランド事業推進部】