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書物復権によせて

藤原辰史(ふじはら・たつし)1976年生まれ。京都大学人文科学研究所准教授。専門は農業史、食の思想史。著書に『分解の哲学 』(青土社)、『稲の大東亜共栄圏』(吉川弘文館)、『給食の歴史』(岩波新書)など。

書物と食物
 「しょもつ」と「しょくもつ」は似ている。まず発音が似ている。英語に翻訳しても、両方とも四個のアルファベットで構成され、真ん中にOが二つ並んでいる。でも、それだけではない。
 たしかに、書物は煮ても焼いても食べられない。圧力鍋にかけても歯が立たない。さらに言えば、書物は読んでも排出されない。読書のあと、トイレに行って、吸収できなかったものを水に流すことがしたくなることもないではないが、できない。食べものは常温で置いておくと、腐っていくが、本は腐らない。食べものを買いだめしても、家を圧迫する心配はほぼないが、本を買いだめするとたとえば私の家や研究室のように人間の生きるスペースを小さくしてしまう恐れがある。
 だけれども、「しょもつ」にも「しょくもつ」にも「庫」という漢字が似合う。どちらも虫が喰う。カビも生える。温度や湿度を管理した書庫と食物庫ないし冷蔵庫が必要だ。ただ書庫にも冷凍庫にも死蔵はつきもの。それから、書物も食物も生きものから「作られたもの」である。森林と頭で書物を料理する、と考えることができる。なぜなら、書物は集めた素材を加工してノートにしてそれを読者のお口にあうように刻んだり、あぶったり、焼いたりしているとも言ってもよいからだ。良い素材を生煮えのまま食べさせる書物では、消化不良になるし、過剰な形容詞と副詞にあふれた書物は胸焼けを起こす。それに、食物を育てることも料理することも、自然物を「読む」と考えることもできる。腕のいい料理人は、市場に並ぶ食材のその日の表情を読むのが得意だ。
 そして、そもそも、どちらにも味わいがある。これは比喩ではない。食べものは、甘い、辛い、苦い、などさまざまな味があるが、本を読んだあとも舌に何か残っている気がする。つまり、読後感が食後感と似ていることがある。たとえば、私だけだと思うけれども、最近めっきり減ってしまった箱入りの本を読んだあとは、懐石料理の旨味に体が浸った後のような、少し疲れた舌の感覚がある。薄めの文庫本を読むと、近くの喫茶店でサンドイッチをかじったような気がする。ドストエフスキーは札幌ラーメンの濃厚な味噌とコーンとバターの味がするし、フーコーはクリーミーなフレンチのコースにデザートを食べた満腹感に襲われ、ドゥルーズはカラフルで新鮮で多種類の野菜のサラダの茎が喉に刺さるし、丸山眞男は、洋食屋でナイフとフォークでエビフライとハンバーグを食べたような気持ちになり、夏目漱石や藤田省三はざるそばを啜ったあとの喉越しが残る。
 ちょっと強引な喩えだけれども、本棚から漂う香りにお腹を鳴らす「食書人」はもっといるはずだ。書物に、もっと味わいを。

[ごあいさつ]
 2020年、第24回目の11社共同復刊、今回も多数のリクエストをいただきありがとうございました。2月29日までの期間中に、紀伊國屋書店内公式サイト、復刊ドットコムの特設サイトおよびFAX で、受けつけたリクエストは総数約3,200票、最多書籍には85の票が寄せられました。いただいたコメントには、それぞれの書目に対しての皆さまからの熱心な要望が伝わっており、各発行出版社はこの結果を元に、復刊書目の選定をいたしました。今回の共同復刊で実現できなかった書目からも、各社独自の方法で復刊を予定している場合もあり、1点でも多くの品切れ書の復刊の実現にむけて努力してまいりますので、今後の各社の復刊情報にご注目くださるようお願いいたします。
 今回、各発行出版社の判断により復刊を決定した書目は47点47冊。書籍は5月下旬より全国約200の協力書店店頭にて展示されますので、足をお運び頂けましたら幸いです。
 今年も充実した復刊ラインナップができました。来年以降も、読者の皆様のご期待に添えるように活動を継続させて参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。


[ご案内]
・刊行はすべて、2020 年5月下旬を予定しています。
・内容についてのお問い合わせは発行出版社までお願いします。


復刊書目

〔2020復刊書目〕 哲学・思想・言語・宗教

岩波書店
アリストテレスの政治思想
岩田靖夫
初版2010・最終版2017年 ◆ A5判 ◆ 334頁 ◆ 税込7040円(本体6400円) ◆ ISBN978-4-00-022061-3
人間を幸福にする最良の国制とは何か。国家はいつ不安定化し、崩壊するのか。この問いと格闘した西洋政治学の創始者の思想を統一的に描く。

紀伊國屋書店
思想の黄昏
シオラン/金井裕訳
初版1993・最終版1993年 ◆ 四六判 ◆ 280頁 ◆ 税込3740円(本体3400円) ◆ ISBN978-4-314-00600-2
祖国ルーマニアを去り、パリに移り住んで3年。のちにフランス語による著作で「暗黒のエッセイスト」の名を馳せる著者が、母国語で書いた最後の一冊。

紀伊國屋書店
絶望のきわみで〈新装版〉
E.M.シオラン/金井裕訳
初版1991・最終版1995年 ◆ 四六判 ◆ 200頁 ◆ 税込3300円(本体3000円) ◆ ISBN978-4-314-01173-0
狂気すれすれの危機的な精神状況にあった22歳の著者は、書くことに活路を見出した。異端の思想家シオランの、誕生の瞬間を記録した処女作。

紀伊國屋書店
現象学的社会学
アルフレッド・シュッツ/森川眞規雄、浜日出夫訳
初版1980・最終版2010年 ◆ 四六判 ◆ 392頁 ◆ 税込4400円(本体4000円) ◆ ISBN978-4-314-00279-0
ウェーバーとフッサールの思想を統合し、新たな領域を切り拓いたシュッツ。「他者理解」の基礎理論を構築した、その思想の全体を編んだ、"必ず読むべき基本文献"。

勁草書房
論理と会話
ポール・グライス/清塚邦彦訳
初版1998・最終版2010年 ◆ A5判 ◆ 408頁 ◆ 税込5280円(本体4800円) ◆ ISBN978-4-326-10121-4
著者はイギリスの哲学者(1913-88)。言語分析とコミュニケーション理論を橋渡しする領域で活躍した。言語哲学に関連した主要論文を集成。

勁草書房
行為と出来事
ドナルド・デイヴィドソン/服部裕幸、柴田正良訳
初版1990・最終版2009年 ◆ A5判 ◆ 388頁 ◆ 税込6050円(本体5500円) ◆ ISBN978-4-326-10082-8
行為の因果説を普及させ、行為文の論理形式の分析や心身問題における非法則的一元論の提唱など、新鮮な問題提起で現代哲学を震撼させてきた著作。

勁草書房
行為と合理性
ジョン・R.サール/塩野直之訳
初版2008・最終版2008年 ◆ 四六判 ◆ 376頁 ◆ 税込4180円(本体3800円) ◆ ISBN978-4-326-19959-4
ジョン・サールによる実践理性批判。アリストテレスからカント、デイヴィドソンまで連綿と受け継がれてきた合理性の概念を問い直す!

勁草書房
時間と絶対と相対と 運命論から何を読み取るべきか
入不二基義
初版2007・最終版2007年 ◆ 四六判 ◆ 308頁 ◆ 税込3850円(本体3500円) ◆ ISBN978-4-326-19917-4
過去・現在・未来はひとつづきなのか。「私達」は絶対的か相対的か。「時間と相対主義」をめぐる思索の先で運命論が立ち上がってくる。

東京大学出版会
世阿弥の稽古哲学 増補新装版
西平直
初版2009・最終版2015年 ◆ 四六判 ◆ 336頁 ◆ 税込4400円(本体4000円) ◆ ISBN978-4-13-010146-2
芸道思想の古典とされる世阿弥の伝書。『風姿花伝』だけ読んだのでは見えてこない、伝書全体の根底に潜む壮大な稽古の逆説的ダイナミズムを読みとく試み。

東京大学出版会
ユダヤ教の精神構造 増補新装版
市川裕
初版2004・最終版2004年 ◆ A5判 ◆ 388頁 ◆ 税込6820円(本体6200円) ◆ ISBN978-4-13-010416-6
聖書の時代から近現代に至るまで、離散と迫害のユダヤ民族史を支え続けたものは何か、ミシュナ、タルムードを中心に、その精神構造と思惟方法を探究する。

東京大学出版会
イギリス風景式庭園の美学 〈開かれた庭〉のパラドックス 増補新装版
安西信一
初版2000・最終版2007年 ◆ A5判 ◆ 376頁 ◆ 税込8140円(本体7400円) ◆ ISBN978-4-13-010147-9
18世紀英国で誕生した風景式庭園はどのように構想され、人々は何を求めたのか。その背景にある思想の歴史的展開を解明する。

白水社
橋と扉
ゲオルク・ジンメル/酒田健一、熊沢義宣、杉野正、居安正訳
初版1976・最終版1998年 ◆ 四六判 ◆ 328頁 ◆ 税込3960円(本体3600円) ◆ ISBN978-4-560-09769-4
「生と哲学」「歴史と文化」「宗教」「美と芸術」「歴史的人物像」「社会」の6部からなる、最盛期ジンメルの思索活動の結実ともいえるエッセイ集。

法政大学出版局
人間知性研究 付・人間本性論摘要 〈普及版〉
D.ヒューム/斎藤繁雄、一ノ瀬正樹訳
初版2011・最終版2011年 ◆ A5判 ◆ 300頁 ◆ 税込4400円(本体4000円) ◆ ISBN978-4-588-12194-4
主著『人間本性論』第1巻をよりよく書き直したという本書で、ヒュームは、因果論を深め、自由と必然、奇跡や摂理などを新たに論じた。『人間本性論摘要』を付す。

みすず書房
人生についての断章
バートランド・ラッセル/中野好之、太田喜一郎訳
初版1979・最終版2005年 ◆ 四六判 ◆ 256頁 ◆ 税込4070円(本体3700円) ◆ ISBN978-4-622-08918-6
哲学者ラッセルによる1930年代にアメリカの新聞に連載されたコラム集。幅広いテーマについて、ウィットにあふれる視点を投げかけている。全78篇。新装で復刊。

未來社
イエス
ルドルフ・ブルトマン/川端純四郎、八木誠一訳
初版1963・最終版2005年 ◆ 四六判 ◆ 246頁 ◆ 税込3080円(本体2800円) ◆ ISBN978-4-624-10004-9
非神話化提唱によって第二次大戦後の西欧精神界に衝撃を与えたイエス解釈。生きることの実存的解釈を提示した問題の書。

〔2020復刊書目〕 社会

勁草書房
脱アイデンティティ
上野千鶴子編
初版2005・最終版2011年 ◆ 四六判 ◆ 352頁 ◆ 税込3300円(本体3000円) ◆ ISBN978-4-326-65308-9
人はアイデンティティなしでは生きられないのか? 一貫性のある自己とは誰にとって必要なのか? 食傷気味の概念に問題提起。

法政大学出版局
観光のまなざし
ジョン・アーリ、ヨーナス・ラースン/加太宏邦訳
初版2014・最終版2015年 ◆ 四六判 ◆ 446頁 ◆ 税込5060円(本体4600円) ◆ ISBN978-4-588-01014-9
フーコーの〈まなざし〉の概念を手がかりに,ツーリストの視線とその対象を歴史的・経済的・文化的・視覚的レベルにおいて分析。観光をテクストに文化を読み解く。

法政大学出版局
場所を消費する〈新装版〉
ジョン・アーリ/吉原直樹、大澤善信、武田篤志、松本行真、齋藤綾美、末良哲、高橋雅也訳
初版2012・最終版2012年 ◆ 四六判 ◆ 450頁 ◆ 税込5280円(本体4800円) ◆ ISBN978-4-588-09958-8
拡張され、圧縮され、使い尽くされる〈場所〉の多様な問題とその構造変容を探る場所の社会学論集。広範な分野における「時間─空間の社会分析」の重要性を論じる。

吉川弘文館
近代日本社会と公娼制度
小野沢あかね
初版2010・最終版2010年 ◆ A5判 ◆ 336頁 ◆ 税込9900円(本体9000円) ◆ ISBN978-4-642-03793-8
女たちの勤倹貯蓄精神や修養意欲は、どう公娼制度批判へ発展したのか。東アジアに拡大した公娼制度政策の特徴や慰安婦問題にも言及。

〔2020復刊書目〕 歴史・民俗

創元社
天使辞典
G.ディヴィッドスン/吉永進一監訳
初版2004・最終版2010年 ◆ A5判 ◆ 380頁 ◆ 税込5500円(本体5000円) ◆ ISBN978-4-422-20229-7
堕天使を含めて天文学的数字にのぼる天使たちの、ほんの一部ですが―およそ4000項目で御紹介する空前絶後の天使録。

創元社
アルファベットの事典
ローラン・プリューゴープト/南條郁子訳
初版2007・最終版2011年 ◆ A5判 ◆ 176頁 ◆ 税込3740円(本体3400円) ◆ ISBN978-4-422-20236-5
ただの音の表記にすぎないと思われがちなアルファベットに漢字以上の「ドラマ」が隠されていることがわかる好著。

創元社
ケルト事典
B.マイヤー/鶴岡真弓監修/平島直一郎訳者代表/櫻内理恵、小池剛史訳
初版2001・最終版2006年 ◆ B6判 ◆ 320頁 ◆ 税込4950円(本体4500円) ◆ ISBN978-4-422-23004-7
2500年余の文化と歴史を990項目に納める。ケルトの遺産を展示するミュージアム、古今の基本的な参考文献も網羅収載。

白水社
ヨーロッパの略奪 ナチス・ドイツ占領下における美術品の運命
リン・H. ニコラス/高橋早苗訳
初版2002・最終版2002年 ◆ 四六判 ◆ 556頁 ◆ 税込7590円(本体6900円) ◆ ISBN978-4-560-09771-7
第二次大戦下、ナチスによる全欧州の組織的美術品略奪と各国の防衛作戦、さらに連合軍による奪還の詳細を綿密な調査で明るみに出す。全米批評家協会賞受賞。

白水社
イワンの戦争 赤軍兵士の記録1939-45
キャサリン・メリデール/松島芳彦訳
初版2012・最終版2012年 ◆ 四六判 ◆ 522頁 ◆ 税込7370円(本体6700円) ◆ ISBN978-4-560-09770-0
赤軍の「神話」の裏に潜む、悪夢のような実態とは?手紙、日記、回想、退役軍人への聴き取り取材によって肉声を再現し、「戦争の真実」を暴いた画期的な労作。

白水社
20世紀ドイツ史
石田勇治
初版2005・最終版2015年 ◆ 四六判 ◆ 234頁 ◆ 税込3520円(本体3200円) ◆ ISBN978-4-560-09768-7
神聖ローマ帝国から統一後のドイツまでの流れを概観し、帝国の概念や戦争責任問題、ホロコースト、ジェノサイドなどを論じる、20世紀ドイツ史最良の手引き。

吉川弘文館
唐王朝と古代日本
榎本淳一
初版2008・最終版2008年 ◆ A5判 ◆ 304頁 ◆ 税込11000円(本体10000円) ◆ ISBN978-4-642-02469-3
古代の日本に中国文化はどのようにもたらされたのか。唐代朝貢体制を基軸に日唐外交を捉え直し、文化流入と遣唐使停止後の変容を考察。

吉川弘文館
荘園(日本歴史叢書57)
永原慶二
初版1998・最終版2013年 ◆ 四六判 ◆ 362頁 ◆ 税込3300円(本体3000円) ◆ ISBN978-4-642-06656-3
中世社会を知る基本は荘園制にある。個人で描くことは不可能とされてきたその全史を大胆かつ平易に描いた荘園史の決定版。

吉川弘文館
中世武家の作法(日本歴史叢書58)
二木謙一
初版2000・最終版2007年 ◆ 四六判 ◆ 286頁 ◆ 税込3300円(本体3000円) ◆ ISBN978-4-642-06657-0
弓馬や軍陣のしきたりを始め、立居振舞い、手紙の書式など、室町期の武家故実を通して中世武士の姿や動作、人生儀礼を生き生きと甦らせる。

〔2020復刊書目〕 心理・教育

創元社
エセンシャル・ユング(創元アーカイブス)
A.ストー編著/山中康裕監修/川嵜克哲、菅野信夫、皆藤章、濱野清志訳
初版1997・最終版2009年 ◆ A5判 ◆ 496頁 ◆ 税込5940円(本体5400円) ◆ ISBN978-4-422-11731-7
ユングの膨大な著作を精選し,的確な解説を付して編集した希有の一冊。ユングの生涯と業績年表をはじめ、ユング心理学独特の用語解説も収載。

法政大学出版局
キッチュの心理学〈新装版〉
A.モール/万沢正美訳
初版1986・最終版1987年 ◆ 四六判 ◆ 344頁 ◆ 税込4180円(本体3800円) ◆ ISBN978-4-588-14056-3
キッチュとは何か。にせもの・まがいものとして常に真正と対比されつつ芸術・宗教等文化の発展を担い、現代の消費社会に生きるこの現象の意味と機能を解き明かす。

〔2020復刊書目〕 文学・芸術

岩波書店
M.エンデが読んだ本
ミヒャエル・エンデ編/丘沢静也訳
初版1996・最終版2018年 ◆ 四六判 ◆ 400頁 ◆ 税込4840円(本体4400円) ◆ ISBN4-00-000213-9
トールキン、カフカ、ピカソ、グリム兄弟、マルケス、荘子...。エンデの人生に影響を与えた25の作品を収めるファン待望の書。

青土社
世紀末の美神たち
高階秀爾
初版1997・最終版1997年 ◆ 四六判 ◆ 409頁 ◆ 税込3080円(本体2800円) ◆ ISBN978-4-7917-7277-3
近代芸術の黄金時代に、天才たちとともに生きた、美しき情熱家たちの数奇な運命をたどり、世紀末のもうひとつの風景をえがく。

青土社
薔薇のイコノロジー
若桑みどり
初版1984・最終版2008年 ◆ 菊判 ◆ 384頁 ◆ 税込3960円(本体3600円) ◆ ISBN978-4-7917-7279-7
一輪の薔薇に封印されたイメージが、時代を、そして洋の東西を超えて人類に共有される。愛と生命の象徴としての「薔薇」から描かれる精神史。

青土社
愛の手紙
日本近代文学館編
初版2002・最終版2002年 ◆ 菊判 ◆ 210頁 ◆ 税込2420円(本体2200円) ◆ ISBN978-4-7917-7278-0
わが国の文豪・作家たちは、愛する人への熱き想いをどう伝えたのか。私的な秘められた手紙にいきいきと書き記されたこころの結晶。

創元社
木工具・使用法
秋岡芳夫監修/吉見誠著
初版1980・最終版2001年 ◆ B5判 ◆ 184頁 ◆ 税込4400円(本体4000円) ◆ ISBN978-4-422-73014-1
建具・洋家具・指物用の木工具を中心に道具を網羅、原理・構造・使用法・手入法を詳述。

白水社
ジョイス論/プルースト論 ベケット 詩・評論集
サミュエル・ベケット/高橋康也、片山昇、川口喬一、楜澤雅子、岩崎力、安堂信也訳
初版1972・最終版2000年 ◆ 四六判 ◆ 292頁 ◆ 税込3960円(本体3600円) ◆ ISBN978-4-560-09767-0
『フィネガンズ・ウェイク』について書かれた世界初の本格的評論と、『失われた時を求めて』の本質を鋭くえぐるプルースト論。二大評論に最初期の詩作等を収録。

法政大学出版局
フランスの自伝 自伝文学の主題と構造〈新装版〉
P.ルジュンヌ/小倉孝誠訳
初版1995・最終版1995年 ◆ 四六判 ◆ 342頁 ◆ 税込3960円(本体3600円) ◆ ISBN978-4-588-14057-0
〈自伝〉という特異かつ曖昧な文学ジャンルを、その定義・歴史・諸問題等の考察を通して明確に位置づける。ルソー、サルトルをはじめヨーロッパ古今の作品を評察。

みすず書房
ある作家の日記
ヴァージニア・ウルフ/神谷美恵子訳
初版1976・最終版2015年 ◆ 四六判 ◆ 552頁 ◆ 税込4840円(本体4400円) ◆ ISBN978-4-622-08920-9
エリオットやフォースターとの交友、創作過程の実際、いま読んでいる本... 作家の創造の苦しみと楽しみを生き生きと伝える、死の直前までの日記。新装で復刊。

みすず書房
小津安二郎と戦争
田中眞澄
初版2005・最終版2005年 ◆ 四六判 ◆ 256頁 ◆ 税込3520円(本体3200円) ◆ ISBN978-4-622-08921-6
戦場とは? 軍隊とは? 小津の「戦争体験」とは何だったのか。新資料を発掘し解き明かされる人間ドキュメント。「小津安二郎陣中日誌」全文収録。新装で復刊。

未來社
人類 ブーヘンヴァルトからダッハウ強制収容所へ
ロベール・アンテルム/宇京賴三訳
初版1993・最終版1993年 ◆ 四六判 ◆ 402頁 ◆ 税込4620円(本体4200円) ◆ ISBN978-4-624-61025-8
作家M.デュラスの伴侶であり同志であった著者が、ナチ収容所での言語を絶する災厄を透徹した眼差しで綴った、戦時文学の極北。

未來社
〔新版〕モーゼスおばあさんの絵の世界 田園生活100年の自伝
アンナ・M.R.モーゼス/加藤恭子訳
初版1983・最終版2005年 ◆ 四六判 ◆ 246頁 ◆ 税込3080円(本体2800円) ◆ ISBN978-4-624-71057-6
70歳をすぎて初めて絵筆を持ち101歳で亡くなるまで、アメリカの田園風景・生活を描きつづけたモーゼスの自伝。肖像・カラー絵写真12枚収載。

吉川弘文館
明治版画史
岩切信一郎
初版2009・最終版2009年 ◆ A5判 ◆ 400頁 ◆ 税込6600円(本体6000円) ◆ ISBN978-4-642-07910-5
明治は「画像(ヴィジュアル)の時代」だった。錦絵から板目木版、西欧の革新的な銅版・石版まで、多種多様な〝版〟から明治版画の全貌を描く。

〔2020復刊書目〕 法律・経済・政治

岩波書店
「表現の自由」を求めて アメリカにおける権利獲得の軌跡
奥平康弘
初版1999・最終版2015年 ◆ A5判 ◆ 380頁 ◆ 税込5170円(本体4700円) ◆ ISBN4-00-001921-X
迫害と闘い、「自由」を求めて葛藤と苦闘を続けてきた人々の数百年の歴史を注目すべき事件、裁判と共に描き出した渾身の労作。

東京大学出版会
国家・教会・自由 スピノザとホッブズの旧約テクスト解釈を巡る対抗 増補新装版
福岡安都子
初版2008・最終版2008年 ◆ A5判 ◆ 528頁 ◆ 税込9240円(本体8400円) ◆ ISBN978-4-13-031197-7
国家と教会、個人の領域についての議論が交わされた17世紀オランダ、とりわけスピノザとホッブズの正典解釈に焦点を当て、近代の始原を解明する。

みすず書房
寛容について
マイケル・ウォルツァー/大川正彦訳
初版2003・最終版2010年 ◆ 四六判 ◆ 224頁 ◆ 税込4180円(本体3800円) ◆ ISBN978-4-622-08919-3
多民族帝国、国際社会、多極共存・連合、国民国家、移民社会という五つの異なる政治編制を歴史的に俯瞰し、内包する集団間の差異を具体的に検討。新装で復刊。

〔2020復刊書目〕 自然科学・医学

東京大学出版会
楕円関数論 楕円曲線の解析学 増補新装版
梅村浩
初版2000・最終版2006年 ◆ A5判 ◆ 390頁 ◆ 税込6380円(本体5800円) ◆ ISBN978-4-13-061314-9
現代においてもさまざまな分野で活用されている楕円関数論。幾何学的な視点から全体像を明快に捉え、基礎から応用までを平易に解説。

みすず書房
寺田寅彦と現代 等身大の科学をもとめて
池内了
初版2005・最終版2005年 ◆ 四六判 ◆ 272頁 ◆ 税込3850円(本体3500円) ◆ ISBN978-4-622-08922-3
文理融合の人=寅彦は科学をどう捉えていたのか? 地震・複雑系・戦争から映画・連句まで、その全貌を検証し、近現代科学史の中に位置づける。新装で復刊。



読者からのメッセージ

■今年もこの季節がやってきた! 年に一度の復刊候補を選べる喜び。今回はいつもにもまして、人文社会系、自然科学系、芸術系の質の差が少なくなっていて、考え抜かれた候補作品のバランスの良さに目を見張った。今後も楽しませてください。(52 歳・大学職員)

■意外な本があっという間に手に入らなくなってしまいます。しょうがないこととは言え、古書で探し回って高額な値段がついているとがっかりしてしまいます。ぜひ版元や著者本人につながる形で購入したいと思っているので、こうして復刊する機会が定期的にあるだけでもとてもありがたいと思います。(42 歳)

■とても嬉しい試みですね。興味がある本が、読みたくても図書館にもない、中古は高額のものばかり、ということがたびたびあるので、せめて電子書籍にならないかなぁ、と時折思います。オンデマンドだと高くなりそうですが、品質のわからない中古品をネットで買うよりはそちらを選ぶ場合もあると思います。

■自分の知らない世界がすごく豊かに広がっていることを思い出させてくれる、この企画が好きです。

■毎年本企画を興味深く拝見させていただいております。リストを見て、こんな本があったのか、こんな本が埋もれてしまっていたのか、と驚き、店頭では、これらがみなに復刊を望まれた本か、と感じることができる、二度おいしい企画だと思います。リストについてなのですが、本の内容だけでなく、それをリストアップした理由、推薦者の言など、ナマの言葉が添えられていれば、もっと楽しく拝見できると思いました。(22 歳・大学生)

■自分が興味ある分野の書籍で、古典として重要だと思われるもの、若い人たちに読んで欲しいものを選択しました。今回、たまたま見たtweet で、「書物復権」を初めて知りましたが、非常に面白い企画ですので、もっと盛り上げるために、もっといろいろと報知していけばよいのにとおもいました。(51 歳)

■古書で出回っていないものを中心に復権してもらいたい。(46 歳・大学教員)

■学生時代に図書館で読んだ本たち、ぜひ手元に置いておきたいです。(32 歳・フリーランス本屋)

■読んでみたいと思って買いそびれたまま、品切れとなりとても後悔しました。書物復権、大好きで、いつも楽しみにしてます。

■叶うことなら電子版でも刊行していただけましたら。ご多分に漏れず魔窟に棲息する環境で、物理的にこれ以上は部屋に置けないし、積んだが最後発掘できなくなりそうで。(55 歳・文筆業)

■読みたい本、もしくは後世に残すべきと思う本を選びました。(55 歳・契約社員)

■いつも楽しみにしております。買い逃して悔やんでいたもの、興味をもった時期が遅すぎたもの。(39 歳・会社員)

■書物は時代を超えて知恵や思想、文化や社会などを後世につなぐことができ、また、過去の人類の叡智を後世に引き継ぐということも重要です。さらに、日本語による書物を遺すことは、日本語という言語を引き継ぐことにもなります。現代では、電子化などもすすみ、安価な手段での保管・売買も可能でしょうから、出版物には責任をもって、後世に引き継いで下さい。(48 歳)


書物復権参加出版社
■岩波書店
〒101-8002
千代田区一ツ橋2-5-5
TEL 03-5210-4113
■創元社
〒100-0051
千代田区神田神保町1-2 田辺ビル
TEL 03-6811-0662
■みすず書房
〒113-0033
文京区本郷2-20-7
TEL 03-3814-0131
 
■紀伊國屋書店
〒153-8504
目黒区下目黒3-7-10
TEL 03-6910-0519
■東京大学出版会
〒153-0041
目黒区駒場4-5-29
TEL 03-6407-1069
■未來社
〒156-0055
世田谷区船橋1-18-9
TEL 03-6432-6281
 
■勁草書房
〒112-0005
文京区水道2-1-1
TEL 03-3814-6861
■白水社
〒101-0052
千代田区神田小川町3-24
TEL 03-3291-7811
■吉川弘文館
〒113-0033
文京区本郷7-2-8
TEL 03-3813-9151
 
■青土社
〒101-0064
千代田区神田猿楽町2-1-1
浅田ビル1F
TEL 03-3294-7829
■法政大学出版局
〒102-0073
千代田区九段北3-2-3
TEL 03-5214-5540