なぜ"今"アーレントが重要なのか ― 激動の時代に考え続けた哲学者を読む。③全体主義

hanna_arent.jpg入門編 ホロコースト 全体主義 政治・革命 人としてのアーレント
全体主義の起原 全3巻 エルサレムのアイヒマン

hanna_arent-3.jpgロングセラー、ハンナ・アーレント『全体主義の起原』(全3巻)と『エルサレムのアイヒマン』は、いずれも1970年前後の初版刊行ですが、当初はさっぱり売れず、その後に新装版も出しましたが、やはり動きませんでした。ところが、世紀が変わる頃から、この二冊はどんどん版を重ねることになります。没後にこれほど評価の高まる著者は少なく、本の生命力のすごさを思い知りました。
とはいえ、半世紀近くも前の刊行物には時代の制約もあり、今回、より長く読み継がれてほしいとの思いから、新版刊行にふみきりました。全文を見直し、専門家の手を借りて現在の研究水準に耐えうる訳語に書き換え、若い読者にも読めるよう、用字法その他も現代ふうに直し、その他、内容形式ともども、新版にふさわしい出来になりました。
今回、新版を決意した理由は、それだけではありません。全体主義が席巻し、難民としてアメリカに逃れたハンナ・アーレントは、その地でホロコーストの全貌を知ることになりますが、ナチズムとはいったい何なのか、なぜユダヤ人大量虐殺が起こってしまったのかを理解するには、時間がかかりました。出来事の意味はすぐに理解できるものではありません。アーレントは19世紀後半に反ユダヤ主義が誕生してから、ナチズムが席巻し崩壊するまでの出来事を膨大な資料を読みながらつぶさに調べ、じっくり考えて理解につとめ、そこで判断したことを『全体主義の起原』に書き上げました。スターリニズムとナチズムの同質性も、アーレントは理解しました。アイヒマン裁判の傍聴と資料の読解から『エルサレムのアイヒマン』を刊行するまでのプロセスも、同様です。
驚くべきことではないかもしれませんが、この2冊に書かれている具体的叙述は、2017年という今、世界中で起こっている出来事と多くが重なり合います。私たちも今の世界で起こっている出来事をすぐには理解できません。この2冊を読むことを通して、過去の歴史から学び、アーレントの精神態度同様、私たちもじっくり考え、理解し、判断することをわがものとしたい。
新たに生まれ変わった『全体主義の起原』と『エルサレムのアイヒマン』を、どうぞよろしくお願いいたします。
みすず書房 編集部

全体主義の起原 1

全体主義の起原 1

ハンナ・ア-レント、大久保和郎 / みすず書房
2017/08出版
ISBN : 9784622086253
価格:¥4,860(本体¥4,500)

本棚に登録 カートに入れる 店頭在庫検索 電子書籍はこちら

20世紀の中心に生じた「伝統の崩壊」、すなわち強制収容所・絶滅収容所という「地獄」という現実の出来事を、どうすれば理解することができるのか。厖大な文献を読み込み、じっくり考え、理解しようとする営為から、本書は生まれた。全体主義へと結晶化する「反ユダヤ主義」はいかにして生まれのか。アフリカ争奪戦、国民国家の崩壊、民族主義の台頭、資本家とモッブの同盟、難民の出現――第一次大戦に連なり、全体主義の素地をつくった「帝国主義」とは。また、人類史上それまでにはなかった「全体主義」という枠組から、ナチス・ドイツとソヴィエト・ロシアの同質性と実態を分析した不朽の書。

全体主義の起原 2

全体主義の起原 2

ハンナ・ア-レント、大島通義 / みすず書房
2017/08出版
ISBN : 9784622086260
価格:¥5,184(本体¥4,800)

本棚に登録 カートに入れる 店頭在庫検索 電子書籍はこちら

20世紀の中心に生じた「伝統の崩壊」、すなわち強制収容所・絶滅収容所という「地獄」という現実の出来事を、どうすれば理解することができるのか。厖大な文献を読み込み、じっくり考え、理解しようとする営為から、本書は生まれた。全体主義へと結晶化する「反ユダヤ主義」はいかにして生まれのか。アフリカ争奪戦、国民国家の崩壊、民族主義の台頭、資本家とモッブの同盟、難民の出現――第一次大戦に連なり、全体主義の素地をつくった「帝国主義」とは。また、人類史上それまでにはなかった「全体主義」という枠組から、ナチス・ドイツとソヴィエト・ロシアの同質性と実態を分析した不朽の書。

全体主義の起原 3

全体主義の起原 3

ハンナ・ア-レント、大久保和郎 / みすず書房
2017/08出版
ISBN : 9784622086277
価格:¥5,184(本体¥4,800)

本棚に登録 カートに入れる 店頭在庫検索 電子書籍はこちら

20世紀の中心に生じた「伝統の崩壊」、すなわち強制収容所・絶滅収容所という「地獄」という現実の出来事を、どうすれば理解することができるのか。厖大な文献を読み込み、じっくり考え、理解しようとする営為から、本書は生まれた。全体主義へと結晶化する「反ユダヤ主義」はいかにして生まれのか。アフリカ争奪戦、国民国家の崩壊、民族主義の台頭、資本家とモッブの同盟、難民の出現――第一次大戦に連なり、全体主義の素地をつくった「帝国主義」とは。また、人類史上それまでにはなかった「全体主義」という枠組から、ナチス・ドイツとソヴィエト・ロシアの同質性と実態を分析した不朽の書。

共産主義黒書 ソ連篇

共産主義黒書 ソ連篇

ステファヌ・クルトワ、ニコラス・ワ-ス / 筑摩書房
2016/03出版
ISBN : 9784480097231
価格:¥1,836(本体¥1,700)

本棚に登録 カートに入れる 店頭在庫検索 電子書籍はこちら

1917年の革命によって生まれた史上初の共産主義国家"ソ連"。レーニン主導のボリシェヴィキは、国内の権力基盤を固めるべく、白軍や農民との戦いを開始する。そこでなされた仮借ない暴力と抑圧のサイクルは、やがて後継者スターリンにより大量殺人・テロル・強制収容所を軸とする統治形態へと高められることとなる。長きにわたり隠されてきた共産主義の犯罪を数々の資料から白日の下に曝し、世界に衝撃を与えた書。

共産主義黒書 アジア篇

共産主義黒書 アジア篇

ステファヌ・クルトワ、ジャン・ルイ・マルゴラン / 筑摩書房
2017/01出版
ISBN : 9784480097743
価格:¥1,836(本体¥1,700)

本棚に登録 カートに入れる 店頭在庫検索 電子書籍はこちら

各国の共産党政権が行ったテロルや抑圧の過程は、ソ連で練り上げられた母型から派生している。とりわけアジア共産主義の特徴は、過剰なまでのイデオロギー化と主意主義にある。「正しい思想」による意識の専有、人間の分類と再編成への意志、そして階級敵に対する絶滅政策の発動。この死のプログラムを社会全体に適用することに、政権はある期間成功する―。なぜ共産主義はかくも血塗られたものとなったのか。

〈政治〉の危機とア-レント 『人間の条件』と全体主義の時代

〈政治〉の危機とア-レント 『人間の条件』と全体主義の時代

佐藤和夫 / 大月書店
2017/08出版
ISBN : 9784272431014
価格:¥3,024(本体¥2,800)

本棚に登録 カートに入れる 店頭在庫検索 電子書籍はこちら

全体主義を生み出す近代の根本問題と格闘した20世紀を代表するの思想家の一人ハンナ・アーレントの『人間の条件』を、かつてない切実さで読み解いた著者の集大成。

自由からの逃走

自由からの逃走

エ-リッヒ・フロム、日高六郎 / 東京創元社
1984/04出版
ISBN : 9784488006518
価格:¥1,836(本体¥1,700)

本棚に登録 カートに入れる 店頭在庫検索 電子書籍はこちら

フロムはヒトラーの全体主義に世界が震撼するその最中に、この作品を世に送り出した。このことは本書が単なる研究者向けの論文ではなく、ナチに追われてアメリカに帰化した著者自身の「時代の狂気に対する叫び」でもあったことを物語っている。国家のあり方という問題に対してだけではなく、現代に生きる個人がその人生を充足させるためにはどう生きるべきかという問題に対する重要なヒントとなる一冊。

隷従への道

隷従への道

フリ-ドリヒ・アウグスト・フォン・ハイエ、村井章子 / 日経BP社
2016/10出版
ISBN : 9784822251734
価格:¥3,024(本体¥2,800)

本棚に登録 カートに入れる 店頭在庫検索 電子書籍はこちら

自由主義経済学者による社会主義の古典。日経BPクラシックス 第19弾!!ナチスと闘った英国人に「法の支配」に基づく自由民主主義がいかに大切か、社会主義を含む集産主義がなぜ全体主義に行き着くのかを説く。

服従の心理

服従の心理

スタンリ・ミルグラム、山形浩生 / 河出書房新社
2012/01出版
ISBN : 9784309463698
価格:¥1,404(本体¥1,300)

本棚に登録 カートに入れる 店頭在庫検索 電子書籍はこちら

ナチスのユダヤ人虐殺を筆頭に、組織に属する人はその組織の命令とあらば、通常は考えられない残酷なことをやってしまう。権威に服従する際の人間の心理を科学的に検証するために、前代未聞の実験、通称アイヒマン実験。本書は世界を震撼させたその衝撃の実験報告である。

現代政治の思想と行動

現代政治の思想と行動

丸山眞男 / 未来社
2006/08出版
ISBN : 9784624301033
価格:¥4,104(本体¥3,800)

本棚に登録 カートに入れる 店頭在庫検索 電子書籍はこちら

〈戦後民主主義〉はここから始まった――。日本ファシズム、天皇制の分析、コミュニズムのイデオロギーをめぐる問題等を論じた諸論考を所収、「抑圧の移譲」(「超国家主義の論理と心理」)、「無責任の体系」(「軍国支配者の精神形態」)などの重要概念を提出し、発表より半世紀たった現在にいたるまで繰り返し読まれ、言及され、論じられる、戦後最深・最長のロングセラー。

2017.08.21 イベントに行こう