震災で海を渡った奇跡のボートの物語が絵本に。『いつまでもともだちでいようね』
2011年3月11日、東日本大震災による津波により、岩手県陸前高田市にある高田高校も大きな被害を受けました。
この時、同校の実習船「かもめ」も海に流れ出しました。
2013年、約2年の歳月をかけて「かもめ」はアメリカ西海岸のクレッセントシティーに流れ着きます。
この「かもめ」を故郷に帰そうと立ち上がったのは、地元のデルノート高校の生徒たちでした。
この実話を元に描かれたのがこの絵本です。
いつまでもともだちでいようね The Extraordinary Voyage of Kamome(日英対訳本)
アミア・ミラー、ローリー・デングラー、エイミー・ウエキ【絵】
HUMBOLDT STATE UNIVERSITY
2016/03/02発売
価格:¥1,400(本体¥1,297)
東日本大震災で陸前高田市の高田高校の実習船が流され、2年後にカルフォルニア州北部の小さな町の漂着したことから生まれた国際交流。このバイリンガルの絵本は子どもと防災に関して話すきっかけとなるだけではなく、優しさと善意はなぜ大事なことなのかを教える教材にもなるものです。
なお、この本の収益は日本では高田高校、米国ではデルノート高校などへ寄付されます。
紀伊國屋書店シアトル店では2016年1月24日、この絵本の読み聞かせイベントが行われました。
犠牲になられた方々、今なお震災の爪痕に苦しむ方々のことを思うと、こうした「良い話」を取り上げることに抵抗のある方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、震災の恐ろしさとともに、つらく大きな悲しみの中にも人と人との助け合いといった希望があることも、合わせて子どもたちに伝えていくことはできないでしょうか。
著者の一人アミヤ・ミラーさんは「『良い話』がさらに良い結果(支援や絆)を生み出すことを若い人たちにわかってもらいたい」と言います。
ミラーさんたちがこの物語を絵本にしたのは、「小さな子どもたちに津波に対する心構えを教えるとともに、大きいお兄ちゃん・お姉ちゃんがこんなふうにボートを通して交流したんだよ、と伝えたい」という思いからでした。
ボートが流された潮流は、普通ならカリフォルニアまで届かないそうです。たまたまその年に流れが変わったためボートが陸前高田と良く似た漁業中心の小さな町に流れ着き、現地の高校生たちに発見されたことは「本当に奇跡だと思う」とミラーさんは語っていました。
奇跡のボートの物語は、Facebookストーリーにも取り上げられました。
2011年の震災から2年のも歳月をかけて太平洋を渡った「奇跡のボート」は、こうして陸前高田市の希望の象徴となり、遠く離れても似た境遇にある2つの町の生徒たちを結びつけたのです。
Posted by Facebookストーリー on 2014年3月10日
この本のフェイスブック
https://www.facebook.com/kamomeboat/
毎日新聞でも紹介されました。
→大震災5年 被災小舟漂着、絵本に 日米高校生の交流描く(毎日新聞2016年3月1日)
(編集部 三好美奈子)