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【じんぶんや第100講】この世界に人文学が必要です!

じんぶんや第100講 この世界に人文学が必要です!

安藤馨池内了内田樹臼杵陽
円城塔大澤聡乙武洋匡河合俊雄
岸政彦木村草太小島寛之柴野京子
島薗進白井聡千葉雅也出口治明
苫野一徳ドミニク・チェン野矢茂樹原武史
福嶋亮大

はじめに
 こんにちは、じんぶんやです。
 2004年からはじまったじんぶんやも、このたび第100講を迎えることができました。みなさまのご声援とご助力、まことにありがとうございます。
 記念すべき第100講目といたしまして、特別フェア「この世界に人文学が必要です!」を開催いたします。人文学の各分野を代表される先生方をはじめ、社会の第一線で活躍される方々が一堂に会すフェアとなりました。
 さて、人文学が置かれている状況は、けっして良いものではありません。実用性の名のもとに「不要」とされてしまうこともあれば、大学改革によって存続の危機に追いやられている人文学系の学部もあります。
 いまこの世界はなにか大事なものを失おうとしてはいないか、そう私たちは考えます。しかし、この流れに抗するためにはどうしたらいいのだろうか――?
 「私たちにとって人文学は必要だ」と言い切ることができるかどうかは分かりません。でも、すくなくとも「人文学なんていらない」という言葉だけはまちがっていると感じています。人文学を学ぶことの楽しさと必要性について考える機会をつくり、多くの人へ語りかけていければ、と思っています。
 当フェアはそんな考えのもと、多くの先生方に、それぞれの立場から人文学の大事さを語っていただきました。人文学の豊かさが多くの人びとに伝わればよいな、と願っております。そして、世の人文書読みの心にも、小さな火を灯せますように。
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内田樹
1950年東京生まれ。神戸女学院大学名誉教授。凱風館館長。

~メッセージ~
 人文科学は「私たちはいつでも、どこでも同じ世界を前にしている」という前提を採りません。むしろ、私たちは、つねに世界の別の相を、別の視座から、別のコスモロジーの中から見ている、そう考えます。
 残念ながら、いまの社会はそのような知的努力を評価する仕組みがありません。
 全員が同一の価値観を共有し、同一のルールにしたがい、相対的な優劣を競い、その格付けに基づいて資源を分配する、そのような仕組みを作り出すことを「グローバル化」と呼び、官民挙げてそれに励んでいます。
 いまの日本の教育行政が人文科学を嫌い、その必要性を侮るのは、そのせいでしょう。
 けれども、それは人文科学からは「知性の死」に見えるのです。

~選書~

ルイ・ボナパルトのブリュメ-ル18日「初版」

ルイ・ボナパルトのブリュメ-ル18日「初版」

カルル・ハインリヒ・マルクス、植村邦彦 / 平凡社
2008/09出版
ISBN : 9784582766493
価格:¥1,620(本体¥1,500)

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内田樹さんコメント
この本は今から150年前にフランスであった政変についてのルポルタージュです。今世界のどこかで起きている「政変についてのルポルタージュ」のうち150年後になってもなお読むに堪えるものがありうるかどうか考えてみれば、マルクスの分析力のクオリティが想像できると思います。
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悲しき熱帯

悲しき熱帯

クロ-ド・レヴィ・ストロ-ス、川田順造 / 中央公論新社
2001/04出版
ISBN : 9784121600042
価格:¥1,566(本体¥1,450)

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1巻
内田樹さんコメント

レヴィ=ストロースは間違いなく「20世紀でいちばん頭のよかった人」のトップ10に入る人です。超人的に頭がいい人の思考というのは、どれくらい切れ味がいいものか、どれほどの「知的肺活量」を読者に要求するか、それを味わってください。
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相互扶助論

相互扶助論

ピョ-トル・アレクセ-エヴィチ・クロポト、大杉栄 / 同時代社
2012/06出版
ISBN : 9784886837233
価格:¥3,240(本体¥3,000)

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内田樹さんコメント
革命家であるとはどういう経験なのか。それは一級の革命家が書いたものを読むに限ります。意外なことですけれど、彼らに共通するのは本質的な楽天性です。人間は長い時間をかければ、必ず正しい判断を下すという集団の叡智に対する信頼です。
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千葉雅也
1978年生まれ、専門は哲学/表象文化論、学術博士(東京大学)。立命館大学大学院先端総合学術研究科准教授。著作に『動きすぎてはいけない──ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学』(2013年紀伊國屋じんぶん大賞、第5回表象文化論学会賞)、『別のしかたで──ツイッター哲学』。

~メッセージ~
 昨今、人文学が危機だと言われますが、人文だけでなく社会、理系のことも含めて「いろいろ知っているべきだ」という〈教養規範〉が本当に弱くなったと感じます。必要最低限でいい、ということなのかしら。ファストファッションにしてもそうですよね。しかし、僕が院生時代の2000年代半ばでも、古典から現代まで幅広く知っているべきで、人前で無知をさらすことは極度に恥ずかしいという感覚がありました。カントについてのある事柄を僕が知らなかったとき、それに気づいた先生に「千葉くん、それを知らなかったということは絶対に口外してはいけません」と言われたのを印象深く覚えています。あのときは本当に怖かったのです。そういうプレッシャーを今の世の中でもう一度、とまでは思いませんが、今はインターネットでどんどん芋づる式に調べられるし、僕はEvernoteなどを使って、哲学史・文学史・音楽史・建築史・美術史など、いろんなジャンルの事項をまめにメモし、念頭に置いておくという勉強を続けています。どんなジャンルでも、重要な本のタイトルと著者を暗記する。一生受験勉強、を楽しむのです。それはすぐにどんな仕事においても、何かアイデアを出すときに役立ちます。背景知識=教養がない人は、アイデアがどう新しいのか、新しくないのかを判別できません。新しさのアピール=営業ができません。日々の勉強で〈教養人としての尊厳〉を維持することは、企画力・営業力に直結することです。

~選書~

読んでいない本について堂々と語る方法

読んでいない本について堂々と語る方法

ピエ-ル・バイヤ-ル、大浦康介 / 筑摩書房
2008/11出版
ISBN : 9784480837165
価格:¥2,052(本体¥1,900)

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千葉雅也さんコメント
不謹慎な感じのタイトルですが、実は、そもそも本を「読んだ」というのはどういうことなのか?という原理論なのです。「真に読んだと言える読書」なんて、実は、ありえない。ナナメ読みや積ん読も含めて、読書はいろいろである。本との付き合いを楽にしてくれる、実用的かつ哲学的な一冊。

視覚文化「超」講義

視覚文化「超」講義

石岡良治 / フィルムアート社
2014/06出版
ISBN : 9784845914302
価格:¥2,268(本体¥2,100)

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千葉雅也さんコメント
文化について何か考えを言う、つまり「批評」するには、どんなふうにものを見聞きし、知識を組み合わせればいいのか。本書は、ジャンル横断的に文化を語る方法を教えてくれます。物知りな著者だなあと思うはず。そこで検討してもらいたいのは、この著者のように知識を拡げること、普段からアンテナを張ってメモをしたりする習慣を、自分なりに始めることです。

ドゥル-ズと狂気

ドゥル-ズと狂気

小泉義之 / 河出書房新社
2014/07出版
ISBN : 9784309624730
価格:¥2,052(本体¥1,900)

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千葉雅也さんコメント
常識・良識から外れた、困ったこと「も」しでかす人がまったくいなくなってしまったら、社会は死んでしまう。創造的な人は、多かれ少なかれトラブルメーカーでもある。無難に無難にという行動原則が強まってきた昨今、互いに困ったところがあっても「なんとかする」のだ(その個別具体的なやりくりが重要)、という社会・人生観を維持することは、ますます重要だと僕は考えます。これはそのための理論書であると言えるでしょう。
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大澤聡
1978年生まれ。メディア史/批評。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。現在、近畿大学文芸学部講師。各種媒体にジャーナリズムや文芸に関する論考を発表。2015年1月に初の単著となる『批評メディア論――戦前期日本の論壇と文壇』(岩波書店)を刊行する。本フェアが同時開催される大阪/東京を往復。

~人文の効用~
 人文学は役に立つのか? 役に立つとして、では何の?――そんな疑問がほうぼうから漏れ聞こえてくる。「漏れ」どころじゃない。ほとんど轟音だ。その声(というか音!)はぐんぐん膨張していって、ついにはこんな当たり前の自己言及を掲げた書店フェアが組まれなければならない事態に陥る。人文学分野をみずからの専攻に選んだ学生たちの口からも同種の疑問が容赦なく突きつけられるのだから、いっそうたちが悪い。多くの場合、この疑問はただの負け惜しみでしかない。自分に理解できぬテクストを前に、あるいはかつての経験をもとに、いったい何の役に立つのか(役に立つ機会などないではないか)と捨て台詞を吐いているだけだ。「算数なんて勉強して何の役に立つの?」に同じ。だから、例の回答には効果をまったく期待できない。役に立たないことこそが役に立つ場面もあるのだ、というこれまた聞き飽きた回答法には。
 そんな疑問、「バカ」といってうっちゃっておけ、といいたいところだけれど、そうもいかないらしい。なら、これを挙げよう。自分が生きる世界を観察するときのフレームはひとつでも多くストックしておいて損はないということ。むしろ、蓄積のない者が不利益をこうむる。これは自明だ。丸山真男は鶴見俊輔との対談のなかで――ぐっと人文界隈の話になってしまうがこの際、固有名はどうだってよい――教育機関やアカデミーの機能についてこうコメントしていた。「型をしつける場所」である、と。人文学を形づくってきた無数の本たちはいわばその濃縮版だ。それぞれの角度からあなたに「型」をインストールしてくれる。「型」は政治談議にもビジネスにも、ちょっとした交友関係のメンテナンスにも、ぜったいに役立つ(やれやれ)。汎用性が高い。

~選書~

明治の文学

明治の文学

坪内祐三 / 筑摩書房
2000/09出版
ISBN : 9784480101457
価格:¥2,592(本体¥2,400)

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大澤聡さんコメント
2014年は二葉亭四迷生誕150年だった。が、どこも関連特集を企画せず(僕の方はいつでも応援する準備があったのに)、それどころか、検索してみれば彼のエッセイ類が読めるのはこの本だけという有りさま。思考表現のツールとしてあらためて日本語、なかんずく「言文一致」の新バージョンを私たちは設計しなければならない。そんな地点に立っている。

思想と風俗

思想と風俗

戸坂潤 / 平凡社
2001/11出版
ISBN : 9784582806977
価格:¥3,240(本体¥3,000)

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大澤聡さんコメント
戸坂潤は戦前に活躍した社会批評家。1930年代半ばの社会動向や風俗現象の核心をリアルタイムで次々と切開してゆく。いま読んでも斬新。それが可能になったのは、哲学や社会思想によって培われた下地があったからにほかならない。型を現代社会に適用してゆく、その手つきは私たちが世界を観察する際のヒントとなろう。

読書と人生

読書と人生

三木清 / 講談社
2013/09出版
ISBN : 9784062902076
価格:¥1,296(本体¥1,200)

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大澤聡さんコメント
三木清は戦前の哲学者。1942年に刊行されたこのエッセイ集には、教養や哲学、読書に関する三木の知見と体験とが詰め込まれている。「読書は一種の技術である」――文中のこのフレーズに象徴されるように、ある種のハウツーが開示されてゆくわけだけれど、その語り口じたいも哲学の型を備えている。現在巷間に溢れる凡百の速読本を一息で葬り去る。

哲学探究

哲学探究

ル-ドヴィヒ・ヴィトゲンシュタイン、丘沢静也 / 岩波書店
2013/08出版
ISBN : 9784000240413
価格:¥3,564(本体¥3,300)

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大澤聡さんコメント
哲学者ウィトゲンシュタインの後期代表作。「言語ゲーム」なる独自の概念=型によって世界を分析し尽くしてみせようという。提示される日常的な例がことごとくばかばかしく愉快。ルールをでっちあげつつ謎の遊びに興じる子供たち。手帳に記す個人的なマーク。痛いフリができない犬。断章形式で反復しつつスパイラル状に著者といっしょに思考を巡らせる。
『全集 8』版(大修館書店)も併在。

日本近代文学の起源 原本

日本近代文学の起源 原本

柄谷行人 / 講談社
2009/03出版
ISBN : 9784062900416
価格:¥1,296(本体¥1,200)

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大澤聡さんコメント
柄谷行人はこの本の頭から最後まで、ひとつのことしかいっていない。制度として成立するや忘却されてしまうその起源。呆れるほどの同型反復。2頁くらいに圧縮できてしまうんじゃなかろうか。しかし、私たちは同書からその論理展開をこそ反復的に享受すべきであって、歴史的実証性の仔細について云々するのはどうかしている。
※時を経て全面改稿された「定本」版(岩波現代文庫)も併在。
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出口治明
1948年三重県生まれ。京都大学を卒業後、1972年に日本生命保険相互会社に入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当するとともに、生命保険協会の初代財務企画専門委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事する。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て、同社を退職。2006年に生命保険準備会社を設立し、代表取締役社長に就任。2008年の生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険株式会社を開業。2013年6月より現職。
主な著書に、『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『直球勝負の会社』(ダイヤモンド社)、『仕事に効く 教養としての『世界史』』(祥伝社)、『早く正しく決める技術』(日本実業出版社)、『ビジネスに効く最強の『読書』』(日経BP社)、『本の『使い方』』 (角川oneテーマ21)、『『働き方』の教科書』(新潮社)、『部下をもったら必ず読む『任せ方』の教科書』(角川書店)、『『思考軸』をつくれ』(英治出版)、『百年たっても後悔しない仕事のやり方』(ダイヤモンド社)など。

~なぜ人文学を読むのか~
 僕は、人間はあまり賢くないと考えている。賢くない頭であれこれ考えてもたいした解は得られない。むしろ、過去から連綿と続いてきたことは、多くの人や市場の洗礼を受けて生き残ってきたものだから、正しいと仮置きしていいのではないかと思っている。要するに、バークがそうであるように、僕は保守主義者なのだ。学問の世界では、ギリシア、ローマに淵源を持つ自由7科(リベラル・アーツ。言語に係る3学と数学に係る4科)という科目があり、哲学と並んで長く大学で教えられてきた。現代の欧米の大学でも、この伝統はまったく廃れていない。学問は、人文学、社会学、自然学の3つの分野から成り立っているが、その中で、人類の過去の蓄積が最も豊かなものが人文学なのだ。大学は決して職業訓練校ではない。考える力を養う場所なのだ。そして考える力を養うためには、人文学の古典を読みこんで著者の思考のプロセスを追体験することが一番の方法だと考える。

~選書~

歴史

歴史

ヘロドトス、松平千秋 / 岩波書店
2007/04出版
ISBN : 9784003340516
価格:¥1,188(本体¥1,100)

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上巻
出口治明さんコメント

ヒストリィ(歴史)という言葉は、この本から生まれた。余りにも有名な古典なので敬遠する人が多いが、先入観を捨てて、まず、読んでみてほしい。始めの方に置かれたギュゲスの物語など、面白くないはずがない。そして丁寧に読めば、決して難しくはない。
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王書 古代ペルシャの神話・伝説

王書 古代ペルシャの神話・伝説

フィルダウスィ-、岡田恵美子(ペルシア文学) / 岩波書店
1999/04出版
ISBN : 9784003278611
価格:¥972(本体¥900)

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出口治明さんコメント
ユーラシアの歴史は、実は、遊牧民が動かしてきた。中国もヨーロッパも、遊牧民との対峙の中で自らの歴史を育んできたのである。遊牧民の活躍の舞台はペルシアから中央アジア。王書はその地域の古事記であり平家物語である。面白いだけでなく、日本との類似性にも驚く。

定本想像の共同体 ナショナリズムの起源と流行

定本想像の共同体 ナショナリズムの起源と流行

ベネディクト・アンダソン、白石隆 / 書籍工房早山
2009/11出版
ISBN : 9784904701089
価格:¥2,160(本体¥2,000)

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出口治明さんコメント
近代の世界は、ナポレオンに端を発する国民国家(ネイションステイト)と産業革命の上に築かれた。国民国家を現出させた原動力は、ナショナリズム。この本は、ナショナリズムの起源とその発展を描いて余すところがない。ナショナリズムを理解せずして現代は語れない。

社会心理学講義 〈閉ざされた社会〉と〈開かれた社会〉

社会心理学講義 〈閉ざされた社会〉と〈開かれた社会〉

小坂井敏晶 / 筑摩書房
2013/07出版
ISBN : 9784480015761
価格:¥2,052(本体¥1,900)

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出口治明さんコメント
ビジネスは、人間と人間が造った社会を相手とする生業である。だとすれば、人間と社会に対する深い洞察が欠かせない。この本は、社会心理学の技法を使って、人間とは何か、社会とは何かを徹底的に掘り下げた現代の古典である。最高のビジネス書の1冊だと思う。

クアトロ・ラガッツィ 天正少年使節と世界帝国

クアトロ・ラガッツィ 天正少年使節と世界帝国

若桑みどり / 集英社
2008/03出版
ISBN : 9784087462746
価格:¥1,015(本体¥940)

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上巻
出口治明さんコメント

現在はグローバリゼーションの時代である。この本は、その昔、日本の若者がいかにグローバリゼーションと向き合ったかを描く。日本人の素晴らしさと歴史の大きなうねりに翻弄される人間の運命。グローバルを志すすべての日本人に読んで欲しい傑作だ。
下巻はこちら

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野矢茂樹
1954年(昭和29年)、東京都に生まれる。85年、東京大学大学院博士課程修了。東京大学大学院総合文化研究科教授。専攻は哲学。


~人文書を読むと、自分の知的な部分がふわっと離陸をはじめる~

 誰もが本を読まねばならないわけではない。それは誰もが釣をしなければならないわけではないのと同じである。人の幸福と快楽はさまざまである。だが、確かに知的な楽しみというものはある。そしてそれには実生活の知だけでは足りない。実生活を離陸し、上空へと舞い上がっていかねばならない。そこで、本を読む。
 この、人間たちがひしめく社会の中で汲々としている私たちの日常を、より高いところから悠然と見渡してみる。あるいは、義務や目的にしばられた生活の中では「些事」とされてしまうだろう部分に自由に目を向ける。人文書は、それを可能にしてくれる。表紙を開いたときから、自分の知的な部分がふわっと離陸を始めるのを感じるだろう。その、快楽。
 そんな快楽を追求するには、いまの自分の力よりもちょっと難しめの本を読むのがいい。少し背伸びをしてがんばると、高く自由に飛ぶ力がその分だけ増してくる。そうすると、もっと楽しくなる。一生楽しめる。しかも手軽に。


~選書~

論理学をつくる

論理学をつくる

戸田山和久 / 名古屋大学出版会
2000/10出版
ISBN : 4815803900
価格:¥4,104(本体¥3,800)

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野矢茂樹さんコメント
論理学の初歩を丁寧に、かつ軽妙に教え、基礎ができたところでその先の論理学の面白い話題を、いや、ほんとに楽しそうに紹介してくれる。硬い内容のくせにはしゃいでいる感じさえ漂っているものなあ。

入門!論理学

入門!論理学

野矢茂樹 / 中央公論新社
2006/09出版
ISBN : 9784121018625
価格:¥799(本体¥740)

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野矢茂樹さんコメント
論理学という大きな川の源流の一滴を掬い取ろうとしてみました。日常の言葉から論理学が芽生えてくるその瞬間を見てください。ここに学問としての論理学の「ヘソ」があります。
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論理表現のレッスン

論理表現のレッスン

福澤一吉 / NHK出版
2005/01出版
ISBN : 9784140881323
価格:¥734(本体¥680)

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野矢茂樹さんコメント
論理を仕事や生活に活かしたいと考えている人にお薦め。具体例とともに「論証する」とはどういうことかを教えてくれます。授業を楽しくしようとして一所懸命に冗談をおりまぜている先生という感じも微笑ましい。

論理トレ-ニング101題

論理トレ-ニング101題

野矢茂樹 / 産業図書
2001/05出版
ISBN : 9784782801369
価格:¥2,160(本体¥2,000)

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野矢茂樹さんコメント
論理力を身に着けようと思ったら、反復練習するしかない。説明を読んだら次は問題集。しかし、問題を作るというのは、説明を書く101倍ぐらいたいへんなのだ。そのたいへんなことを、よくやった。えらいっ。

反論の技術 その意義と訓練方法

反論の技術 その意義と訓練方法

香西秀信 / 明治図書出版
1995/08出版
ISBN : 9784181650087
価格:¥1,900(本体¥1,760)

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野矢茂樹さんコメント
人と議論するというのは、ときに格闘技の様相を呈する。だとすれば、攻め方・守り方を稽古しなければならない。型を教わり、コツを伝授されて、実戦の力を身につけていく。だったら、この本がいい。

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岸政彦
1967年生まれ、大阪在住。大阪市立大学大学院、博士(文学)。社会学。
著書に『同化と他者化――戦後沖縄の本土就職者たち』(ナカニシヤ出版)、『街の人生』(勁草書房)など。


~なぜ人文学を読むのか~

 人文学、と言ってよいかわからないが、ここでは最近出版された若手による社会学的エスノグラフィの名著を3冊紹介する。
 人文学がなぜこの世に存在するかというと、私たちが「他者」を理解したいという欲望を持っているからだ。そしてそれは、ますます不寛容になるこの社会のなかで、どうしても必要なことでもある。私たちは、身体や経済についてなら、すでにたくさんのことを学んでいる。しかし、他者を理解し他者とともに生きる作法については、いまだに何も知らないのである。
 社会学的エスノグラフィもまた、その独特の、地味で目立たない、そして時には退屈なスタイルで、この作業に取り組んでいる。近年、若手社会学者がこぞって単著を出版するようになった。そのなかには非常に優れたエスノグラフィが含まれている。彼ら・彼女らは、それぞれのやり方で、他者を神聖化・ロマン化することなく、ただその横にたたずみ、静かにこの困難な課題と格闘しているのである。


~選書~

介助現場の社会学 身体障害者の自立生活と介助者のリアリティ

介助現場の社会学 身体障害者の自立生活と介助者のリアリティ

前田拓也 / 生活書院
2009/09出版
ISBN : 9784903690452
価格:¥3,024(本体¥2,800)

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岸政彦さんコメント
重度身体障害者の介助の現場で、ひとりの若い社会学者が実際に体験した、ほんのささやかなできごとやふとした言葉を、精密な筆致で誠実に描いたエスノグラフィ。介助現場での、パンツを脱ぐか脱がないか、ナイロン手袋を使うか使わないか、という、ほんとうに小さな逡巡から、他者と自己について問いかけ、他者とともに生きることを思考する名著。

ロ-カルボクサ-と貧困世界 マニラのボクシングジムにみる身体文化

ロ-カルボクサ-と貧困世界 マニラのボクシングジムにみる身体文化

石岡丈昇 / 世界思想社
2012/02出版
ISBN : 9784790715580
価格:¥4,536(本体¥4,200)

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岸政彦さんコメント
本書の筆者は、マニラのスラムにあるボクシングジムに住み込み、ボクサーたちと寝食を共にした。ここで描かれるのは、ローカルな賭けボクシングという過酷な世界で「人生の意味」を築いていく人びとの物語である。下層の匿名の存在から、「名前を呼ばれる」(256頁)固有の存在へと生まれ変わるために、今日もボクサーたちは手にグローブをはめる。

「AV女優」の社会学 なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか

「AV女優」の社会学 なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか

鈴木涼美 / 青土社
2013/07出版
ISBN : 9784791767045
価格:¥2,052(本体¥1,900)

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岸政彦さんコメント
「どうしてこんな仕事してるの?」AV女優たちは、つねに自分たちの動機を語ることを求められる。彼女たちは、その仕事の場で、自らの動機の物語を何度も語るうちに、それにあわせた自己をつくりあげていく。そしていつか、自己と物語がしっかりと結び合わさったAVの現場が、彼女たちの居場所になる。透徹した知性によって描かれた「居場所の社会学」。

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木村草太
1980年生まれ。東京大学法学部卒。同助手を経て、現在、首都大学東京准教授。助手論文を基に『平等なき平等条項論』(東京大学出版会)を上梓。法科大学院での講義をまとめた『憲法の急所』(羽鳥書店)は「東大生協で最も売れている本」と話題に。近刊に『キヨミズ准教授の法学入門』(星海社新書)『憲法の創造力』(NHK出版新書)『憲法学再入門』(西村裕一先生との共著・有斐閣)『未完の憲法』(奥平康弘先生との共著・潮出版社)『テレビが伝えない憲法の話』(PHP新書)がある。


~なぜ人文書を読むのか~

 世の中には、度し難いものがいろいろある。巨大な国家権力、グローバル経済、惑星の運行、生物の老化、放射能の半減期、カニの甲羅、カニの甲羅のような新国立競技場計画......。中でも厄介なのが人間の探究心であり、その探究心の暴発をまるで厭わない人文学は、厄介なことこの上ない。
 私の専攻する法学では、「今、役に立つのか?」が、それなりに重要な評価基準となる。だから、現代社会に役立たない「貝殻支払における履行遅滞の研究」が、法学雑誌に載ることはない。しかし、人文学では、探究心が赴けば、貝殻の研究はどこまでも掘り下がる。
 では、なぜそんな人文学が必要なのか。それは、自由を得るためである。
 「今、役に立つのか?」に縛られる世界に、真の自由はありえない。自由が失われたことにすら、気付かなくなってしまうだろう。人文学とは、「今、役に立つか?」から開放された「自由」な思考を獲得する、かけがえの無い世界である。


~選書~

異議あり!新国立競技場 2020年オリンピックを市民の手に

異議あり!新国立競技場 2020年オリンピックを市民の手に

森まゆみ / 岩波書店
2014/04出版
ISBN : 9784002708959
価格:¥561(本体¥520)

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木村草太さんコメント
世界の注目が集まる2020年五輪では、競技内容のみではなく、開催国の文化すなわち「人文」的素養も問われる。新国立競技場には、財政的・建築学問題だけでなく、重要な「人文」的問題があるということを、ぜひ、多くの人に知ってほしい。

新人文感覚

新人文感覚

高山宏 / 羽鳥書店
2011/08出版
ISBN : 9784904702277
価格:¥12,960(本体¥12,000)

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1巻
木村草太さんコメント

人文の魅惑に酔いしれたいなら、やはり高山宏大先生。「ゆっくり歩く、見えてくる」から筆を起こし、小説から記号を、禿頭王から近代史を語り、漫画もマクルーハンもヨハネ黙示録も一遍に。新書数十冊分の値段だが、新書数百冊分以上の密度と広さがある。

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映画論講義

映画論講義

蓮実重彦 / 東京大学出版会
2008/09出版
ISBN : 9784130830492
価格:¥2,808(本体¥2,600)

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木村草太さんコメント
言わずと知れた蓮實先生の講義録。小説でも写真でも無く「映画」であることの意味を伝えるために、結局、言葉を使わねばならないのだから、映画批評は厄介だ。本書の読後には、映画の見方がどこか違ってくる。そんな自分の中の変化に驚くのも一興。

ナショナリズムの由来

ナショナリズムの由来

大澤真幸 / 講談社
2007/06出版
ISBN : 9784062139977
価格:¥5,142(本体¥4,762)

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木村草太さんコメント
文学・哲学・歴史学など様々な知見から「ナショナリズムという現象」に切り込む本書は、人文学が豊かな社会分析の創造力となることを示す逸品。安易な結論を求めず、ゆっくり考えながら、一年くらいかけて読み進めることを勧めたい。

地域社会圏主義

地域社会圏主義

山本理顕、上野千鶴子(社会学) / LIXIL出版
2013/08出版
ISBN : 9784864803045
価格:¥2,700(本体¥2,500)

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木村草太さんコメント
「一家族一住宅システムは必然ではない」という問題提起を端緒に、住宅空間構想の自由を与えてくれる一冊。「自由」であるためには、鎖に繋がれていない、刑罰を受けない、といった肉体的条件のみではなく、自由な思考が不可欠であることを実践で示す。

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島薗進
東京大学文学部(大学院人文社会系研究科)宗教学宗教史学科教授を退官し、2013年より東京大学名誉教授。同年より、上智大学特任教授、上智大学グリーフケア研究所所長。主な研究領域は宗教理論研究、近代日本宗教史、死生学。2011年4月より発起人として宗教者災害支援連絡会を立ち上げるなど、様々な活動を行っている。
主な著書:『いのちの始まりの生命倫理――受精卵・クローン胚の作成・利用は認められるか』(春秋社、2006年)、『現代救済宗教論 復刊選書』(青弓社、2006年)、『スピリチュアリティの興隆』(岩波書店、2007年)、『国家神道と日本人』(岩波書店、2010年)、『日本人の死生観を読む――明治武士道から「おくりびと」へ』(朝日選書、2012年)、『日本仏教の社会倫理』(岩波書店、2013年)、『倫理良書を読む』(弘文堂、2014年)、『宗教・いのち・国家――島薗進対談集』(平凡社、2014年)他。


~人文書は心の栄養~

 20歳前後の10年ほどの間、「科学」と「教養」の間を揺れ動いた時期があった。「教養」は浮ついて頼りないと感じながら、「教養」の枠を超えるような人文書の世界に引きこまれ、た。そして、その後、それは私の心の栄養源であり続けている。専門的な学術の作法として「科学」を理解すると、文化人類学や社会学も文献学的な古典研究も「科学」ということになり、その方法論の重要性を学ぶ。現代の哲学もずいぶん専門学としての誇りが高い。ある時期は「思想」という語が力をもった。私も宗教学を通してそうした道を歩みはしだが、それらになじみ切れなかった。所詮、「宗教」は科学で料理できないので、「人文」に傾くということもある。自分が好んだ学びの経験を省みると、結局「人文書」に養われてきたと思う。大学では専門的な「科学」を教えていることになっているが、実は学生には「人文書」から学べる力を身につけてほしいと願っているようだ。


~選書~

科学・技術と現代社会

科学・技術と現代社会

池内了 / みすず書房
2014/10出版
ISBN : 9784622078340
価格:¥4,536(本体¥4,200)

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上巻
島薗進さんコメント

人文書を好む人はえてして科学技術に疎い。だが、科学技術は私たちの生活に深く関わっていることを理解していないわけではない。原発や先端生命科学や環境問題などを現代の生の在り方の問題として捉える導きの書。
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〈ほんもの〉という倫理 近代とその不安

〈ほんもの〉という倫理 近代とその不安

チャ-ルズ・テ-ラ-、田中智彦(1967-) / 産業図書
2004/02出版
ISBN : 9784782801406
価格:¥2,700(本体¥2,500)

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島薗進さんコメント
現代の哲学や思想を人間の自己意識の大きな流れのなかに位置づける試み。公共哲学や宗教論など現代思想の広い範囲の問題に応答してきた哲学者の近代思想理解の鍵となる概念。同著者の大著への案内書ともなる。

方丈記私記

方丈記私記

堀田善衛 / 筑摩書房
1988/09出版
ISBN : 9784480022639
価格:¥756(本体¥700)

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島薗進さんコメント
東日本大震災後によく読まれた『方丈記』だが、自然災害を通して無常を知るという受け止め方では十分ではない。敗戦の経験から倫理を問わない日本文化のあり方を問う著者は、鴨長明に抵抗の姿勢を見ようとしている。

ドストエフスキ-の詩学

ドストエフスキ-の詩学

ミハイル・ミハイロヴィッチ・バフチン、望月哲男 / 筑摩書房
1995/03出版
ISBN : 9784480081902
価格:¥1,620(本体¥1,500)

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島薗進さんコメント
均質化が進む現代世界だが、そこに異質な他者の声が響き合う世界を現出しようとした作家としてドストエフスキーを捉える。自己が自己を越えたものによって照らし出される経験は宗教のある重要な局面でもある。

魯迅

魯迅

竹内好 / 未来社
2002/05出版
ISBN : 9784624934262
価格:¥2,160(本体¥2,000)

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島薗進さんコメント
日本に留学した魯迅が医学から文学へと転換する経緯はよく知られているが、その背後にある屈辱の経験を著者は的確に指し示す。そしてこの作家の生き方に現代アジアの困難に向き合う姿勢のモデルを見出していく。

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原武史
1962(昭和37)年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業、東京大学大学院博士課程中退。現在、明治学院大学国際学部教授。専門は日本政治思想史。著書に『「民都」大阪対「帝都」東京』(サントリー学芸賞)『大正天皇』(毎日出版文化賞)『滝山コミューン一九七四』(講談社ノンフィクション賞)『昭和天皇』(司馬遼太郎賞)など多数。鉄道にも造詣が深い。


~なぜ人文学を読むのか~

 私たちは、人と会うさいに身だしなみに気を使います。ブランド服を着たり、女性であれば入念に化粧をしたりします。しかし、たとえどれほど美しく着飾っても、年齢とともに肉体は衰えていきます。外面的な美しさを永遠に保つことはできません。
 でも、よく考えてみてください。そもそも、人間の品位や品格というものは、外見だけで判断されるべきなのでしょうか。そんなことは決してありません。目に見えない内面を磨いてこそ、その人の品位や品格が、自然と外側ににじみでてくるものです。そしてその内面を磨くための手段こそ、人文学を読むことにほかなりません。
 つまり人文学の本とは、心の化粧品なのです。この化粧は、肉体の衰えとは全く関係がありません。一度身につけてしまえば、ずっと有効だからです。目の飛び出るような額をはたいてブランド品を買いあさるより、もっと少ない額で人文学の本を買いあさるほうが、はるかに得なのです。


~選書~

文化防衛論

文化防衛論

三島由紀夫 / 筑摩書房
2006/11出版
ISBN : 9784480422835
価格:¥842(本体¥780)

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原武史さんコメント
1968年の時点で、三島由紀夫が「文化概念としての天皇」を取り戻すための方策を論じた評論。週刊誌的天皇制へと堕落した象徴天皇制を批判しつつ、宮中祭祀や歌会始に加えて天皇に栄誉大権を与えることを提案している。

愛の空間

愛の空間

井上章一 / 角川書店
1999/08出版
ISBN : 9784047033078
価格:¥2,160(本体¥2,000)

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原武史さんコメント
占領期の皇居前広場における野外性交からラブホテルの成立に至るまでの戦後史の裏面を、豊富な資料を通して明らかにしている。風俗史と建築史の双方に精通する井上章一にしか成し遂げることのできない傑作である。

八月十五日の神話 終戦記念日のメディア学

八月十五日の神話 終戦記念日のメディア学

佐藤卓己 / 筑摩書房
2014/12出版
ISBN : 9784480096548
価格:¥1,296(本体¥1,200)

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原武史さんコメント
終戦イコール8月15日というのは、歴史的に見ると根拠のない「神話」にすぎない。にもかかわらず、なぜこのような「神話」が戦後日本に定着したのかを、佐藤卓己ならではの国際的観点を交えつつ解明した古典的名著。

邪宗門

邪宗門

高橋和巳 / 河出書房新社
2014/08出版
ISBN : 9784309413099
価格:¥1,404(本体¥1,300)

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上巻
原武史さんコメント

千葉潔率いる新興宗教団体「ひのもと救霊会」は、敗戦後にGHQに対して最後の武装蜂起を企てて全滅する。実際にはありえなかったもう一つの戦後史の姿がここにある。60年代の大学紛争に多大な影響を与えた長編小説。
下巻はこちら

ラ-メンと愛国

ラ-メンと愛国

速水健朗 / 講談社
2011/10出版
ISBN : 9784062800419
価格:¥820(本体¥760)

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原武史さんコメント
ラーメンという国民食が政治思想と結びつくという意外な観点から現代史を読み解いた1冊。こういう分析は学者にはなかなかできない。本書の視点は、『フード左翼とフード右翼』(朝日新書)にも受け継がれている。

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苫野一徳
1980年、兵庫県生れ。早稲田大学大学院教育学研究科博士課程修了、博士(教育学)。
専門は哲学・教育学。現在、熊本大学講師。著書に『どのような教育が「よい」教育か』(講談社選書メチエ)、『勉強するのは何のため?―僕らの「答え」のつくり方』(日本評論社)、『教育の力』(講談社現代新書)、『「自由」はいかに可能か―社会構想のための哲学』(NHKブックス)。


~なぜ人文学を読むのか~

 人間が思い悩むことや考えることなんて、実はいつの時代も、意外に似たり寄ったりなものです。
 そうした私たちの抱える問題の多くに、過去のすぐれた哲学者たちは、実はすでに、どこまでも考え抜かれた"答え"を出してきました。
 哲学は、意味のない役に立たない問いを、ぐちゃぐちゃだらだら、難しい言葉をこねくり回して考えるようなものではありません。それは、様々な問題を、「なぁるほど、これはこう考えれば解けるのか!」と、思わずうなってしまうような「考え方」を出すものなのです。
 私たちは今、自分や社会の問題について、だれもが多かれ少なかれ考え悩む時代を生きています。そんな現代に生きる私たちにこそ、哲学が2500年もの長きにわたって積み上げてきた知恵の数々は、本当は圧倒的に"役に立つ"。私はそう考えています。
 百年、千年単位の歴史に耐えた哲学のすぐれた知恵が、今こそ多くの人に共有されることを、心から願っています。


~選書~

国家

国家

プラトン、藤沢令夫 / 岩波書店
2009/09出版
ISBN : 9784003360170
価格:¥1,188(本体¥1,100)

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上巻
苫野一徳さんコメント

教育とは、「習俗の価値観」(影)から「普遍的な価値観」(イデア)へと、子どもたちの「魂を向け変える」技術である!本書に収められた「洞窟の比喩」は、二千数百年を経た今もなお、(教育)哲学史上の最高傑作です。
下巻はこちら

エミ-ル

エミ-ル

ジャン・ジャック・ルソ-、今野一雄 / 岩波書店
2007/10出版
ISBN : 9784003362211
価格:¥1,188(本体¥1,100)

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上巻
苫野一徳さんコメント

「不幸の本質は、欲望と能力のギャップにある!」随所に名言の散りばめられた、ルソーの天才がいかんなく発揮された不朽の教育名著です。余計なことをしすぎない、子どもの自然な成長に寄り添った「消極教育」のススメ。
中巻はこちら
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民主主義と教育

民主主義と教育

ジョン・デュ-イ、松野安男 / 岩波書店
1998/11出版
ISBN : 9784003365236
価格:¥907(本体¥840)

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上巻
苫野一徳さんコメント

世界の教育に絶大な影響を与えた、20世紀アメリカの教育哲学者デューイの主著。民主主義の土台として、教育にはいったい何ができるのか?「協同的な学び」や「プロジェクト型の学び」など、今注目の教育のあり方の源流はここにある!
下巻はこちら

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河合俊雄
1957年生まれ。京都大学大学院教育学研究科博士後期課程中退。PhD.(チューリッヒ
大学)。ユング派分析家。臨床心理士。現在、京都大学こころの未来研究センター教
授。専攻は臨床心理学。
著書に『村上春樹の「物語」』、『心理臨床の理論』、『概念の心理療法』、『遠野物語――遭遇と鎮魂』(編著)、『大人の発達障害の見立てと心理療法』(編著)『ユング派心理療法』(編著)、『発達障害への心理療法的アプローチ』(編著)、『臨床家 河合隼雄』(編著)など。


~メッセージ~

 電車の中の読書では、具体的で早い解決が求められる世相を反映してか、いわゆる「実用書」が読まれている場合が多い。しかしそのような具体的知識だけでなくて、人文書は、生きていく自分への目に見えない糧となっていく。ここに推薦した人文書はそうであるし、まさに人間のこころや行動が単純でないことを示している。『サブリミナル・インパクト』は、人間の判断や行動が意識的に気づかれていない過程によることを明らかにしているし、『木を見る西洋人 森を見る東洋人』は、分析的で対象化されたものでない、全体的で文脈的な見方の価値を教えてくれる。それは『ユング心理学と仏教』を借りれば、仏教的な見方としてよいかもしれない。そしてわれわれのこころの深層や背景を考えた場合に、『日本人の心を解く』が示すように、古来からの神話、昔話、物語にその本質が現れており、また『生きにくい子どもたち』が示すように、ゆっくりした心理療法の過程を通じてこそこころは変化していくものではなかろうか。


~選書~

日本人の心を解く 夢・神話・物語の深層へ

日本人の心を解く 夢・神話・物語の深層へ

河合隼雄、河合俊雄 / 岩波書店
2013/06出版
ISBN : 9784000291057
価格:¥2,052(本体¥1,900)

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河合俊雄さんコメント
日本神話、日本の昔話、明恵夢記、中世の物語から、日本人のこころのあり方を中空構造、美的解決などとして明らかにする。日本人古来のこころと現代のこころ、心理学と文学をつなぐ。様々な主著となったもののエッセンスが読める。

ユング心理学と仏教

ユング心理学と仏教

河合隼雄、河合俊雄 / 岩波書店
2010/01出版
ISBN : 9784006002244
価格:¥1,188(本体¥1,100)

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河合俊雄さんコメント
ユング心理学を日本で独自のものにしていく過程で、仏教的なものとして自覚されていったことを、自伝的にも理論的にも描いており、河合隼雄の心理療法の集大成。禅の十牛図の解釈、日本の心理療法における自己を華厳との関係で捉えたところは圧巻である。

生きにくい子どもたち カウンセリング日誌から

生きにくい子どもたち カウンセリング日誌から

岩宮恵子 / 岩波書店
2009/03出版
ISBN : 9784006031824
価格:¥864(本体¥800)

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河合俊雄さんコメント
心理的な問題に悩む子どもが、心理療法によってどのように乗り越えていくかだけでなくて、その過程がいかに創造的なものであるのかが描かれている。夜尿と摂食障害の二事例が取り上げられている。

サブリミナル・インパクト 情動と潜在認知の現代

サブリミナル・インパクト 情動と潜在認知の現代

下条信輔 / 筑摩書房
2008/12出版
ISBN : 9784480064608
価格:¥972(本体¥900)

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河合俊雄さんコメント
認知科学、脳科学の最新の知見から、人の判断や行動が、知識や理性的なものでなくて、情動や記憶によって決定されていて、それゆえ操作される危険があることも明らかにされている。創造的過程における潜在的なものの大切さも示唆的である。

木を見る西洋人森を見る東洋人 思考の違いはいかにして生まれるか

木を見る西洋人森を見る東洋人 思考の違いはいかにして生まれるか

リチャ-ド・E.ニスベット、村本由紀子 / ダイヤモンド社
2004/06出版
ISBN : 9784478910184
価格:¥2,160(本体¥2,000)

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河合俊雄さんコメント
文化心理学・社会心理学の立場から、物を対象化して分析的に捉える西洋人と、全体的に文脈や関係の中で捉える東洋人の見方の違いを、様々な実験の成果を元に明らかにしている。歴史的背景も記述されているが、実験による裏づけが印象的。

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臼杵陽
1956年大分県中津市生まれ。専攻は中東地域研究、中東現代政治史。東京大学大学院国際関係論博士課程単位取得。京都大学博士(地域研究)。在ヨルダン日本国大使館専門調査員(1984-87年)、佐賀大学教養部講師・同助教授(1988-95年)、エルサレム・ヘブライ大学トル-マン記念平和研究所客員研究員(1990-92年)、国立民族学博物館地域研究企画交流センター助教授・教授(1995-2005年)を経て、現在、日本女子大学文学部・大学院文学研究科教授。日本中東学会前会長。2008年度大同生命地域研究奨励賞受賞。著書に『世界史の中のパレスチナ問題』(講談社現代新書)、2013年、『アラブ革命の衝撃―世界でいま何が起きているのか』『大川周明――イスラームと天皇のはざまで』(青土社、2010年、アジア太平洋賞特別賞受賞)『イスラエル』(岩波新書、2009年)、『イスラームはなぜ敵とされたのか――憎悪の系譜学』(青土社、2009年)、『世界化するパレスチナ/イスラエル紛争』(岩波書店、2004年)、『イスラムの近代を読みなおす』(毎日新聞社、2001年)、『中東和平への道』(山川出版社、1999年)、『原理主義』(岩波書店、1999年)、『見えざるユダヤ人――イスラエルの<東洋>』(平凡社、1998年)など多数。


~21世紀の世界史を構想する~

 今、世界は向かうべき方向性を見失い彷徨っている。主に中東イスラーム世界を研究してきた私には、たとえば、国際社会は「イスラーム国」という新現象をどう扱っていいかわからずに戸惑っているように見える。乱暴にまとめれば、1979年のイラン・イスラーム革命から21世紀初頭の9・11事件と「対テロ戦争」、そしてその帰結としての2003年のイラク戦争まで、アメリカによる中東介入のツケが「イスラーム国」という国際社会の異形の「鬼子」を生み出してしまった。とりわけ、矛盾を集中的に表現してきたイラクとシリアにこの「鬼子」が登場したのも偶然ではない。「アラブの春」後、中東地域、あるいはかつてオスマン帝国領だったウクライナでは混迷が続いている。「対テロ戦争」ではもう問題は解決しえない。にもかかわらず、首切りとか奴隷制の復活といったようなおどろおどろしい時代錯誤的かつ野蛮な「イスラーム国」のやり方を、日本を含む欧米のメディアは派手に喧伝しているが、そんなことでは「イスラーム国」というポスト「対テロ戦争」の新現象を把握することができない。そもそも「なぜ」という問いをはじめから放棄しているからである。
 「既視感」をともないつつ滅亡に向けて沈み込んでいく世界の現状への見取り図を、我々の構想力に基づき、過去と現在と未来をつなぐ世界という時空間の認識という文脈において、提供するのが世界史である。世界史は決して机上の空論ではない。「われわれ」の世界史がいかなるものであるのかは、過去を通した現状への厳しい認識のあり方と未来への構想力が試されているのだ。以下において、同時代史としての20世紀史を中心に何冊か取り上げたい。


~選書~

歴史とは何か

歴史とは何か

エドワ-ド・ハレット・カ-、清水幾太郎 / 岩波書店
1962/03出版
ISBN : 9784004130017
価格:¥885(本体¥820)

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臼杵陽さんコメント
今さらといった感もあるが、私自身、何度も繰り返し読んできた本である。古典とは時代を超えて常に新しい発見を伴うものだとするならば、本書は現代の古典であろう。この講演記録において、あまりにも有名な一節に「歴史とは歴史家と事実との間の相互作用の不断の過程であり、現在と過去との間の尽きることを知らぬ対話なのであります」がある。その変奏曲のように「優れた歴史家たちは、意識すると否とに拘らず、未来というものを深く感じているものです。『なぜ』という問題とは別に、歴史家はまた『どこへ』という問題を提出するものなのであります」といったテーゼを見事に提出していく。混迷の世界を生きる私たちの姿勢を改めて問う古典である。

二〇世紀の歴史

二〇世紀の歴史

木畑洋一 / 岩波書店
2014/09出版
ISBN : 9784004314998
価格:¥928(本体¥860)

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臼杵陽さんコメント
「帝国意識」について問題を提起してきた国際関係史の碩学が一般向けに上梓した20世紀史である。エリック・ホブズボームの「短い20世紀」を念頭に置きつつ「長い20世紀」を設定して帝国主義時代の帝国世界の形成から両大戦を経て、第二次世界大戦後の帝国世界の解体までを概観する。とりわけ、アイルランド、南アフリカ、沖縄の3地域を具体的に取り上げて、20世紀史の中で定点観測を行なうことで、ヨーロッパ中心史観の克服を試みている。エリック・ホブズボーム『20世紀の歴史――極端な時代』(上下巻、三省堂、1996年)と併せ読むべきだろう。同時代史としての20世紀史を考えるために必須の基本文献が第一次世界大戦開戦百周年の2014年に出版されたことはわれわれにとっての僥倖である。
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新しい世界史へ 地球市民のための構想

新しい世界史へ 地球市民のための構想

羽田正 / 岩波書店
2011/11出版
ISBN : 9784004313397
価格:¥820(本体¥760)

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臼杵陽さんコメント
本書は「歴史には力がある。現実を変える力がある。人々に未来を指し示す力がある。この歴史の力によって、現代世界を覆う閉塞感を突き崩し、将来に向けての展望を手に入れられないだろうか」という一節ではじまる。この冒頭の宣言が本書の通奏低音になっている。自国史と世界史の二分法、現状追認、ヨーロッパ中心史観などへの批判といった問題点の指摘からはじまって、世界の見取り図を描く、時系列にこだわらない、横につなぐ歴史を意識する、という新しい世界史の三つの方法を提言する。議論の詳細は別にして、羽田氏のこの著作からは世界史を構想する力というか、それを支える知的エネルギーが与えられるような気がする。要するに元気になるのである。

世界史の中のパレスチナ問題

世界史の中のパレスチナ問題

臼杵陽 / 講談社
2013/01出版
ISBN : 9784062881890
価格:¥1,296(本体¥1,200)

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臼杵陽さんコメント
私自身は自著について云々するのは気が進まないので、むしろ私が全面的に依拠してきた板垣雄三氏の著作を挙げて解説に代えたい。板垣氏の著作は残念ながら古本市場以外ではすでに手に入りにくくなっている。拙著の表題についてより深く知りたいと望む読者諸氏は次の二冊の著作を、ノートを取りながらじっくりと読むべきだろう。まず、パレスチナ問題に関しては、板垣雄三『石の叫びに耳を澄ます―中東和平の探索』平凡社、1992年、を、また、「n地域論」などに代表される板垣文明誌の骨格は板垣雄三『歴史の現在と地域学―現代中東への視角』岩波書店、1992年、をご覧になっていただきたい。アクチュアリティから出発する板垣世界史にはパレスチナから世界を串刺しにするような迫力がある。
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失われた二〇世紀

失われた二〇世紀

トニ-・ジャット、河野真太郎 / NTT出版
2011/12出版
ISBN : 9784757142251
価格:¥3,024(本体¥2,800)

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上巻
臼杵陽さんコメント

ジャットの仕事の読者として私は新参者である。惜しまれつつ2010年に逝去したこの現代史家の代表作としては『ヨーロッパ戦後史』上下巻、みすず書房、2008年、をむしろ挙げるべきかもしれない。しかし、私が最初に手を取ったのが標記の作品あり、一読して魅了されてしまった。同時代史論なのである。その都度の求めに応じて書いた書評など文章を中心に編集した評論集だが、その断片から組み立て上げられる全体史への構想を垣間見ることができ、そのような著者の心意気が私の琴線に触れた。個人的には上巻のカミュ、ケストラー、レーヴィ、ホブズボーム、アーレント、サイードなどの20世紀の知識人論が傑出している。
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安藤馨
法哲学。東京大学法学部卒業、同大学院法学政治学研究科修士課程修了。同研究科助手、助教、特任研究員を経て、2010年・神戸大学大学院法学研究科准教授。


~これからの社会と人文学~

 人文学が何の役に立つのか。もし、「個人的利益」に如何に役立つか、と問われるならば、科学にせよ人文学にせよ、それを(初めにはいやいやにせよ)学んだ人が、それを学ばなかった方が良かったと思うことが殆ど考えられないことは、識字能力や楽器演奏などの場合に同じである。科学も人文学もそれを学ぶものの視角と能力を新たに構成するものであって、学んだことがないものが敢えてその価値を訝しむならば、強いて学ばしむに如くはない。では、「国家的利益」に如何に役立つか、と問われればどうか。だが、「国家」の「利益」とはなにか。ロック、ルソー、ベンタム、と枚挙してみるにつけても、我々の社会は、空気の如く遍在し不可視のものとしてこの問いの前提をなす、諸々の社会思想に浸潤されている。そして、工学などの科学分野にとっての数学とちょうど同じく、それらの社会思想も人文学の蓄積なくして存在はしなかったしこれからも存在しないであろう。しかし、人間の知が全体として存在し一部分のみを取り出してそれを促進すること能わざるものであるというこの当然の事実を、そのことを先刻承知のこの小文の読者以外の人々に如何に認識せしめるかこそが問題であり、それに対してこの小文がたいして役に立たぬだろうことは筆者の憾みとするところである。


~選書~

世界正義論

世界正義論

井上達夫 / 筑摩書房
2012/11出版
ISBN : 9784480015587
価格:¥1,944(本体¥1,800)

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安藤馨さんコメント
普遍的理念である正義の理念的内容やその執行が国境によって制約されるなどということは本来、殆ど語義矛盾的であるように思われるだろう。本書は「グローバルな正義」という理念の下でなお(まさにそのために)主権国家体制が必要とされる所以を説く。

ナショナリティについて

ナショナリティについて

デイヴィッド・ミラ-、富沢克 / 風行社
2007/12出版
ISBN : 9784938662943
価格:¥3,024(本体¥2,800)

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安藤馨さんコメント
コスモポリタニズムの下では福祉国家は成立し得ない。そこでは国内の困窮者の援助に費やす資源を世界的困窮者にこそ費やすことが正当化されるからである。近年の欧州社民主義者が福祉国家に於けるナショナリズムの不可欠性を自覚しつつある、その「国家主義的転回」を本書に見出すことができる。

政談 服部本

政談 服部本

荻生徂徠、平石直昭 / 平凡社
2011/09出版
ISBN : 9784582808117
価格:¥3,564(本体¥3,300)

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安藤馨さんコメント
本書は近代以前の日本に於ける政治思想のひとつの範型である。徂徠の政治秩序の――というよりはむしろ統治の――構想は、我々が漠然と「近代」として思い描くものの殆ど全てに対してその陰画とも言うべきものを提供することによって、「近代」を反照せしめる。

日本改造法案大綱

日本改造法案大綱

北一輝 / 中央公論新社
2014/11出版
ISBN : 9784122060449
価格:¥972(本体¥900)

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安藤馨さんコメント
歴史を知るものは、「サヨク」の陰画としての「ウヨク」を目にするにつけても、ナショナリズムが要求する、同胞に対する再分配・福祉という内国的社会主義の構想を、それが伴っていないことを訝しまざるを得ない。本書は日本の国家社会主義思想のひとつの到達点である。
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純粋法学

純粋法学

ハンス・ケルゼン、長尾龍一 / 岩波書店
2014/02出版
ISBN : 9784000259507
価格:¥6,264(本体¥5,800)

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安藤馨さんコメント
本書が漸くにして邦訳を得たことを慶びたい。偉大な法哲学者が、法と道徳――とりわけ国家社会主義・共産主義のイデオロギー――とを峻別するという法実証主義の理論的かつ政治的な動機の下で提示した、優れた概念分析の集成である。ワイマール体制の護教論として(も)読むべきか。
(付記:選書に際して関嘉彦『民主社会主義への200 年』(一藝社、2007) を挙げようとしたが版元品切ゆえに果たせなかった。民社党の思想的支柱であった関のこの著作は、ナショナルな社民主義という、目下の日本の政治状況に於ける空白地帯とその可能性を照らしだすべきものである。)

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乙武洋匡
1976年、東京都生まれ。大学在学中に出版した『五体不満足』がベストセラーに。卒業後はスポーツライターとして活躍。その後、教育に強い関心を抱き、新宿区教育委員会非常勤職員「子どもの生き方パートナー」、杉並区立杉並第四小学校教諭を経て、2013年2月には東京都教育委員に就任。教員時代の経験をもとに書いた初の小説『だいじょうぶ3組』は映画化され、自身も出演。続編小説『ありがとう3組』も刊行された。おもな著書に『だから、僕は学校へ行く!』、『オトことば。』、『オトタケ先生の3つの授業』など。2014年4月には、地域密着を目指すゴミ拾いNPO「グリーンバード新宿」を立ち上げ、代表に就任する。二児の父。


~メッセージ~

 早稲田大学の卒業生である私が、慶応義塾塾長の言葉を紹介するのもおかしな話だ。だが、ぜひここに記しておきたい言葉がある。
 「すぐに役に立つことは、すぐに役に立たなくなる」(小泉信三)
 今上天皇の教育を任せられた人物だけあり、とても考えさせられる言葉である。そして、深く共感させられる。では、彼の言う「すぐに役に立つことは、すぐに役に立たなくなる」ものと対極にある学問とは、いったい何であろうか。それが人文学に当たるのではないかと私は考える。
 人間とは何か――。そんなことを探求することで、いますぐに就職が決まるわけではない。給料が上がるわけでもない。しかし、その後の学びや人生そのものを豊かにしてくれる、その土台となってくれるのが人文学ではないだろうか。


~選書~

私とは何か 「個人」から「分人」へ

私とは何か 「個人」から「分人」へ

平野啓一郎 / 講談社
2012/09出版
ISBN : 9784062881722
価格:¥799(本体¥740)

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乙武洋匡さんコメント
私たちは、目の前にいる相手や場面によって自分を使い分けている。そのどれもが偽りではなく、本当の自分である。平野氏は、そうした考察を「分人」という概念を用いて提示している。自分とは何か。個性とは何か。徹底的に考え抜いた著者ならではの論考。
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弱いつながり 検索ワ-ドを探す旅

弱いつながり 検索ワ-ドを探す旅

東浩紀 / 幻冬舎
2014/07出版
ISBN : 9784344026070
価格:¥1,404(本体¥1,300)

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乙武洋匡さんコメント
インターネットの普及により、我々の前には無限の世界が広がったと言われている。だが、東氏は「検索しようと入力する言葉は、すでに自分の頭の中にあるものに過ぎない」と、結局は限定された世界であることを指摘する。ネットを捨てよ町へ出よう――。
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旅する知 世紀をまたいで、世界を訪ねる

旅する知 世紀をまたいで、世界を訪ねる

船曳建夫 / 海竜社
2014/08出版
ISBN : 9784759313611
価格:¥1,944(本体¥1,800)

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乙武洋匡さんコメント
文化人類学者である船曳氏が、世界中を旅しながら、過去を振り返り、未来に思いを馳せる。風景が一変しても変わらない人々が暮らす都市もあれば、変わらぬ街並みにも時代の流れを感じる都市もある。ならば、この国は――。著者の授業を受けたくなる。

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柴野京子
東京生まれ。上智大学文学部新聞学科助教。出版取次会社勤務ののち、東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学、同大学院人文社会系研究科特任助教を経て現職。主な著作は『書棚と平台――出版流通というメディア』(弘文堂)、『書物の環境論』(同)。共著に、池澤夏樹編『本は、これから』(岩波新書)、飯田豊編『メディア技術史』(北樹出版)、『次の本へ』(苦楽堂)ほか。


〜メッセージ〜

 本の仕事をしていた私にとって、人文書は読書の対象であるとともに、商品でありジャンルであり、出版社の個性でした。しかし勤めをやめて再び学門をたたいたとき、再会したすべての人文書は、それまでとは違う顔をしていました。見知ってきたはずの本が、本当はどういう意味をもっていたのかを、私はおそらく初めて知らされることになったのです。
 人文学は、本を読むことから始まります。本は師であり敵であり、道先案内人でした。問いを抱えていて自分で解決できないのなら、人に尋ねるほかありません。途方に暮れたとき、気がつくと家を出て、人文書の棚の前に立っていることがありました。そして何冊もの本を手にとり、その中に紹介されている本を読み、しまいに自分も本を書きました。
 人文書には多くの知恵がつまっています。本を読んで、本を書くのが人文学ですが、それは人から知恵を貰い受けて伝える、本という名のメディエーションでもあるのです。


~選書~

デジタル・マクル-ハン 情報の千年紀へ

デジタル・マクル-ハン 情報の千年紀へ

ポ-ル・レヴィンソン、服部桂 / NTT出版
2000/03出版
ISBN : 9784757100305
価格:¥3,888(本体¥3,600)

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柴野京子さんコメント
マクルーハンを手にしたことはあっても、いまひとつ消化しきれていないと思う人に。ちょうどいい塩梅で同伴してくれる、ショッキングピンクの人文書。

中井正一エッセンス

中井正一エッセンス

中井正一、鈴木正(1928-) / こぶし書房
2003/07出版
ISBN : 9784875591788
価格:¥3,456(本体¥3,200)

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柴野京子さんコメント
あたらしい組織論であり、自身のマニフェストである「委員会の論理」。その文章の難解さを超えて、こころざしの高さと器量にうたれずにはいられない。戦前の中井の集団論を収めた本で手に入るのは、古書以外では現在これのみ。

まなざしの地獄 尽きなく生きることの社会学

まなざしの地獄 尽きなく生きることの社会学

見田宗介 / 河出書房新社
2008/11出版
ISBN : 9784309244587
価格:¥1,296(本体¥1,200)

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柴野京子さんコメント
1968年に起きた連続射殺事件の実行犯N.Nを通して、戦後日本の社会構造と実存を描き出した名著。平易な文体でありながら、スケールの大きな視点と方法とが研ぎすまされ、凝縮されていて、読むたびに深い感銘を受ける。

文化社会学の条件 二〇世紀日本における知識人と大衆

文化社会学の条件 二〇世紀日本における知識人と大衆

吉見俊哉 / 日本図書センター
2014/10出版
ISBN : 9784284402361
価格:¥3,024(本体¥2,800)

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柴野京子さんコメント
1920年代後半、大衆社会を背景に生まれた文化社会学。1970年前後まで50年にわたる主要文献を敷衍し、その知の系譜をいくつかの視点で論じる。編者による書き下ろしの初期見田宗介試論を収める。

~番外~

新刊では入手難だが、現代日本の「人文書」をテーマに据えるなら、本当はぜひともおすすめしたい2冊。
佐藤健二『読書空間の近代(オンデマンド版)』弘文堂
長谷川一『出版と知のメディア論』みすず書房。

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白井聡
1977年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程単位修得退学。博士(社会学)。専攻は政治学・社会思想。文化学園大学助教(2015年4月より、京都精華大学人文学部専任講師)。
著書に、『未完のレーニン――〈力〉の思想を読む 』(講談社選書メチエ、2007年)、『「物質」の蜂起をめざして――レーニン、〈力〉の思想』(作品社、2010年)、『永続敗戦論――戦後日本の核心』(太田出版、2013年)。共著に『日本劣化論』(ちくま新書)など。『永続敗戦論』で、いける本大賞・石橋湛山賞・角川財団学芸賞。


〜メッセージ〜

 「人文学はなぜ必要か」をわざわざ説明し、こんなフェアまでやらなければならなくなった現代は末世である。無知・無教養が、単に恥ずべきこととしてとらえられず、時に「可愛さ」や「協調性の高さ」といった積極的な属性の表徴とすらみなされるという世界に類を見ないこの国の風潮は、近年とみに強まってきた。その結果が、政治経済権力の中心にまで浸透した反知性主義であり、その当然の帰結は亡国にほかならない。今次の亡国は、1945年のそれよりももっと性質が悪いかもしれない。なぜなら、再興を図ろうにも、知性の鍛え方を見失った社会は内的に荒廃しきっているからだ。
 だが、嘆くのはこの位にしよう。知性を再建する以外に方法はない。そのためには、歴史の風雪をくぐった古典を中心に、「本物の叡智」に触れなければならない。そのとき私たちは、過去の偉大な著述家たちもまたそれぞれの「末世」に直面していたことを知り、勇気づけられるのである。


~選書~

大地のノモス ヨ-ロッパ公法という国際法における

大地のノモス ヨ-ロッパ公法という国際法における

カ-ル・シュミット、新田邦夫(1930-) / 慈学社出版
2007/10出版
ISBN : 9784903425269
価格:¥10,800(本体¥10,000)

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白井聡さんコメント
空間はどのように秩序立てられ、人間的活動の場となるのか。本書は、政治・経済・法学・軍事といった諸分野を横断して、大航海時代から第二次世界大戦までの空間の秩序立ての歴史を明らかにした。そして現代は、さらにその空間秩序が激変する時代である。その行く末について、シュミットの才気に満ちた分析は無数のヒントを秘めている。

露出せよ、と現代文明は言う 「心の闇」の喪失と精神分析

露出せよ、と現代文明は言う 「心の闇」の喪失と精神分析

立木康介 / 河出書房新社
2013/11出版
ISBN : 9784309246376
価格:¥2,592(本体¥2,400)

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白井聡さんコメント
著者が属する精神分析学派は今日おそろしく旗色が悪いという。それもそのはず、現代文明は、個人の経験の積み重なりや内面性を持った人間を邪魔者扱いし、人間なのか動物なのかよくわからないペラッペラの生き物を好んでいるからだ。本書を読むことで、人文学的なるものが今日苦境にある理由をはっきり知ることができると同時に、人文知を求めることの社会的意味を認識することができる。

法哲学講義

法哲学講義

ゲオルク・ヴィルヘルム・フリ-ドリヒ・ヘ、長谷川宏 / 作品社
2000/04出版
ISBN : 9784878933486
価格:¥7,344(本体¥6,800)

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白井聡さんコメント
毎年毎年、政治改革・行政改革の必要性が叫ばれ、そしてもちろんいつも何も改善されない。見慣れた光景だが、もういい加減やめにしたい。驚くべきは、ヘーゲルがとうの昔に、近代国家の基本構造をその欠点まで含めて十分に描き出していることである。官僚支配の害悪だの政治主導の必要性だのといった常套句を口にする前に、本書をひも解くべきである。

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小島寛之
東京大学理学部数学科卒。同大学院経済学研究科単位取得退学。経済学博士。帝京大学経済学部教授。専門は、数理経済学、ゲーム理論、意思決定理論。数学エッセイストとしても多くの著作を持つ。


~なぜ人文学を読むのか~

 サイエンスが重要で人文学は万人には不要、と考える人は、非常に狭い了見の人だと思う。次のことを考えてみてほしい。現代の民主主義、すなわち、成人国民全員が有権者となって投票によって社会のあり方を決める仕組みは、古代から当たり前に存在しただろうか。また、基本的人権という考え方は、サイエンスが生み出したものだろうか。サイエンスが生み出す殺戮兵器を止めることができるのは科学者だろうか。私たちは、大気のようにとりまく「常識」の中に埋没し、その「常識」の存在を感知できない。だが、その「常識」を創り出したのは、時代時代の中で葛藤した思想や哲学や歴史認識だったのだ。筆者は、世界を変えるのはサイエンスではなく、人文学だと考える。筆者自身、自分の現在の学問や執筆に最も影響を受けたのは、哲学の勉強だったと自覚している。哲学は、「何を問題にしたらいいか」「世界とは何かをどう考えたらいいか」を教えてくれた。その土台があるから、苦しい理論構築に耐えることができるのである。


~選書~

社会的共通資本

社会的共通資本

宇沢弘文 / 岩波書店
2000/11出版
ISBN : 9784004306962
価格:¥864(本体¥800)

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小島寛之さんコメント
理論経済学で輝かしい業績をあげながら、経済理論の不備と非人間性を批判し、独自の経済思想を提唱した本。通常の理論では捉えきれない社会的共通資本を土台に、豊かで人間的な社会を築くべきと主張。今世紀に最も重要な思想書。

ウィトゲンシュタインはこう考えた 哲学的思考の全軌跡1912-1951

ウィトゲンシュタインはこう考えた 哲学的思考の全軌跡1912-1951

鬼界彰夫 / 講談社
2003/07出版
ISBN : 9784061496750
価格:¥1,015(本体¥940)

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小島寛之さんコメント
ウィトゲンシュタインは、特異な哲学を展開した哲学者。とりわけ、前期と後期で全く別個の、しかし、どちらも重要な哲学的枠組みを提示した。その問題設定には、いまだに学ぶことが多い。本書は、難解な彼の哲学全体をみごとに解説している。

ハイデガ-の思想

ハイデガ-の思想

木田元 / 岩波書店
1993/02出版
ISBN : 9784004302681
価格:¥864(本体¥800)

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小島寛之さんコメント
ハイデガーは20世紀最高の哲学者。人間の<実在>について、決定的とも言える思索を展開した。しかし、その哲学は難解で、多くの人は歯が立たない。本書は、哲学者である木田が、実体験も交えてハイデガーの哲学の本質を平易に解説してくれる名著。

日本の歴史をよみなおす(全)

日本の歴史をよみなおす(全)

網野善彦 / 筑摩書房
2005/07出版
ISBN : 9784480089298
価格:¥1,296(本体¥1,200)

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小島寛之さんコメント
歴史という教科を単なる暗記物と思っていた私が衝撃を受けた本。歴史とは、昔の人々との対話であることを強烈に体験できる。高校時代、日本史がいつも赤点であった私も開眼することができた。日本史は、日本の現在を考える上で欠かせない羅針盤である。
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福嶋亮大
1981年、京都市生まれ。文芸評論家、中国文学者。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。現在、京都造形芸術大学非常勤講師。近世からポストモダンに到る東アジアの社会的文脈を踏まえながら、文学にとどまらず日中のサブカルチャーや演劇など幅広いジャンルで批評活動を展開している気鋭の批評家。


~メッセージ~

 人文学とは、過去の文献を読み、その成果を現代の諸課題にぶつけながら、人間精神の可能性を再発見していく営みです。もっとも、最近は世間的な風当たりが強いせいで、人文系のセンセーは妙な悲愴感に囚われたり、インターネットで文句を垂れ流したりしがち。まぁ確かに現状はろくでもない。しかし、愚痴っぽさは知性の大敵でしょう!
 むろん、たんなる脳天気野郎では困る。特に島国の日本人は、放っておくと小さな自己肯定ループのなかをぐるぐる回るだけになりかねない。ゆえに、文明のノイズや軋み(ヘンなもの!)を鋭敏に見出して再利用することが、日本の人文学には必須です。というわけで、批評的な嗅覚の鋭い人文書を何冊か選んでみました。


~選書~

日本芸能史六講

日本芸能史六講

折口信夫 / 講談社
1991/11出版
ISBN : 9784061589940
価格:¥756(本体¥700)

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福嶋亮大さんコメント
折口は芸能を中心にして「日本文化」を輪郭づけた重要な思想家ですが、その文章は非常に読みづらい。ですが、本書は例外的に、折口理論のエッセンスを簡明に伝えています。導入編として最適です。

フィロソフィア・ヤポニカ

フィロソフィア・ヤポニカ

中沢新一 / 講談社
2011/10出版
ISBN : 9784062920742
価格:¥1,242(本体¥1,150)

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福嶋亮大さんコメント
長らく忘却されてきた京都学派の哲学者・田邊元は、本書によって「転換と媒介」の思想家として再生しました。「日本哲学」が差異とエロスへの鋭敏さに貫かれていることを示した、稀有な思想書です。

初期万葉論

初期万葉論

白川静 / 中央公論新社
2002/09出版
ISBN : 9784122040953
価格:¥925(本体¥857)

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福嶋亮大さんコメント
白川静は漢字学者として知られますが、実は日本の『万葉集』についても興味深い論考を残しています。本書は中国の古代文学を参照しながら、柿本人麻呂や大伴家持を東アジアの文学者として浮上させた、隠れた名著です。

後期万葉論

後期万葉論

白川静 / 中央公論新社
2002/11出版
ISBN : 9784122041295
価格:¥1,131(本体¥1,048)

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水戸黄門「漫遊」考

水戸黄門「漫遊」考

金文京 / 講談社
2012/08出版
ISBN : 9784062921282
価格:¥1,242(本体¥1,150)

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福嶋亮大さんコメント
水戸黄門といえばTVシリーズで有名ですが、黄門様のような「旅する王」の形象は、実は朝鮮半島や中国にも古くから存在しています。日韓中にまたがる壮大な「漫遊」の文化史が復元されていくさまは、スリリングの一言。

中国文明論集

中国文明論集

宮崎市定、礪波護 / 岩波書店
1995/12出版
ISBN : 9784003313312
価格:¥1,015(本体¥940)

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福嶋亮大さんコメント
著者は有名な中国史家。本書では、中国人の経済観念や葬礼、毘沙門天信仰、史学や文芸復興など、実に多岐にわたるテーマが論じられています。その鋭利な論説は東アジア版の《市民社会論》として読むこともできるでしょう。

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円城塔
1972年、北海道生まれ。東北大学理学部物理学科卒業。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。2007年『オブ・ザ・ベースボール』で文學界新人賞受賞。2010年『烏有此譚』で野間文芸新人賞、2011年、早稲田大学坪内逍遙大賞奨励賞、2012年『道化師の蝶』で第146回芥川賞、2014年、『Self-Reference ENGINE』でフィリップ・K・ディック記念賞特別賞を受賞。


~何故人文学を読むのか~

 たいていのものは経済学的に決定されているので、経済学を学ぶ必要があるわけです。しかし、経済学史は経済学的に決定されているわけではなさそうなので、経済学だけをやっていればよいわけではありません。
 あらゆるものは自然法則に従うとされていますが、自然法則を学べば新たな自然法則を見いだせるかというとそういうものでもありません。
 進化はデザインできないし、未来の予測は外れます。長期的に何が有効かはわからないので、みんなで手分けして思いつく限りのことを試している最中ですから、「思いつかなかったこと」はあっても「もう考えなくていいこと」はないわけです。
 無論、リソースは有限ですからどこかで割り切りは必要ですが、それは賭けです。目先の実用性だけに賭ける奴は馬鹿だと昔から決まっているのです。


~選書~

シビックエコノミ- 世界に学ぶ小さな経済のつくり方

シビックエコノミ- 世界に学ぶ小さな経済のつくり方

00、石原薫 / フィルムアート社
2014/08出版
ISBN : 4845914298
価格:¥2,808(本体¥2,600)

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円城塔さんコメント
経済をデザイン。紹介されているコミュニティの弱点を考えるという読み方もできます。3年後に残っているものはどれかを予測してみて、自分の予見能力を試してみるのもよいでしょう。

ノンデザイナ-ズ・デザインブック

ノンデザイナ-ズ・デザインブック

ロビン・ウィリアムズ、吉川典秀 / マイナビ
2008/11出版
ISBN : 9784839928407
価格:¥2,160(本体¥2,000)

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円城塔さんコメント
この本に出てくる失敗例を、理数系の発表でよく見るわけです。「エビデンスだけではうまくいかない」というエビデンスです。そういうことを考えられないから理数系は広まらないんです。デザインは高度に人文的です。
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私の書かなかった本

私の書かなかった本

フランシス・ジョ-ジ・スタイナ-、伊藤誓 / みすず書房
2009/09出版
ISBN : 9784622074861
価格:¥4,860(本体¥4,500)

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円城塔さんコメント
良い読者ではないのですが、好きなのです。好きなのですが、あまり読んでいません。読む準備ができていないと気づくからです。先があると気づかせてくれる本は大切です。

チ-ズとうじ虫 16世紀の一粉挽屋の世界像

チ-ズとうじ虫 16世紀の一粉挽屋の世界像

カルロ・ギンズブルグ、杉山光信 / みすず書房
2012/06出版
ISBN : 9784622083504
価格:¥4,104(本体¥3,800)

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円城塔さんコメント
語りうることと、語りえないことがきれいに二分されるというのは間違いで、語りだって語られるものです。コルバンの『記録を残さなかった男の歴史』やフーコーの『ピエール・リヴィエール』なども。

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ドミニク・チェン
1起業家・研究者 
1981年生まれ。フランス国籍。UCLA Design/MediaArts専攻卒業後、東京大学大学院学際情報学府修士課程修了、同大学院博士課程修了。博士(学際情報学) 。2001年より,さまざまな媒体でメディア論を中心とした論考を執筆。NPO法人コモンスフィア(旧クリエイティブ・コモンズ・ジャパン)理事として、新しい著作権の仕組みの普及に努めてきた他、2008年に創業した株式会社ディヴィデュアルでは「いきるためのメディア」をモットーに様々なソフトウェアやアプリの開発を行っている。
著書に「インターネットを生命化する プロクロニズムの思想と実践」(青土社)、「フリーカルチャーをつくるためのガイドブック クリエイティブ・コモンズによる創造の循環」(フィルムアート社)など


~これからの社会と人文学~

 現代の情報社会ではもはや工学と理学を分離すべきではありません。ここでいう理学とは自然科学だけではなく、理念や思想を含む広義の人文学を含んでいます。思想なき工学は言うまでもなく危険ですが、同時に社会実装なき人文学は空虚です。問題はそれぞれの系が閉じてしまい、相互の対話の経路が断たれることです。
 情報社会におけるインパクトという側面でいえば、プログラミング言語を使った情報サービスやプロダクトの工学的実践の方が自然言語による人文的議論よりも、人口へのリーチの速度と密度において圧倒的に強いのが現状だといえます。しかし、情報過多やプライバシー喪失、デジタルディヴァイドなどの問題が顕在化している情報社会の改善のためには、工学だけでは扱えない人間に関する議論の重要性が増しています。
 その意味でも、いま本当に必要なのは人文的な議論を社会工学の現場で展開できる人材ではないかと考えています。そのためにはエンジニアはもっと人文系図書を読むべきでしょうし、人文系の人はもっと情報エンジニアリングの実情に親しむべきでしょう。このような考えから、普段は人文系をメインに読んでいる人向けに、情報技術の力学に触れられる数冊の書籍を提案します。(筆者は全て原書で読んだ上で推薦しているので、英語の読める方は原書にあたることをお勧めします)


~選書~

ツイッタ-で学んだいちばん大切なこと 共同創業者の「つぶやき」

ツイッタ-で学んだいちばん大切なこと 共同創業者の「つぶやき」

ビズ・スト-ン、石垣賀子 / 早川書房
2014/09出版
ISBN : 9784152094841
価格:¥1,728(本体¥1,600)

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ドミニク・チェンさんコメント
Twitterの非エンジニアの共同創業者、ビズ・ストーンによる半生記。随所に稚拙な人生訓がちりばめられているのはご愛嬌として読み飛ばせば、文系の人間が世界最大級のSNSの発展の現場でどのように振る舞い、迷い、考えたかという歴史的な証言として読めるでしょう。
原書はこちら
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ジェフ・ベゾス果てなき野望 アマゾンを創った無敵の奇才経営者

ジェフ・ベゾス果てなき野望 アマゾンを創った無敵の奇才経営者

ブラッド・スト-ン、井口耕二 / 日経BP社
2014/01出版
ISBN : 9784822249816
価格:¥1,944(本体¥1,800)

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ドミニク・チェンさんコメント
「世界で最も顧客に固執する企業」たらんとするAmazonの創業者の狂ったような密度の軌跡は、なぜこの老舗のITベンチャーが既存の経済や公共サービスの再定義を迫るところまで拡大しているのかということをどんな理論書よりもよく理解できるでしょう。
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暴露 スノ-デンが私に託したファイル

暴露 スノ-デンが私に託したファイル

グレン・グリ-ンウォルド、田口俊樹 / 新潮社
2014/05出版
ISBN : 9784105066918
価格:¥1,836(本体¥1,700)

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ドミニク・チェンさんコメント
出来の悪いSFのような現実。スノーデンとその協力者たちが世界に向けて暴露した世界規模の情報監視ネットワークの内実を見れば、なぜホーキング博士やテスラ社のイーロン・マスクといった第一線の人間たちが「21世紀に人類が直面する最大の危機は人工知能である」と異口同音に述べているのかということが浮き彫りになるでしょう。
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Yコンビネ-タ- シリコンバレ-最強のスタ-トアップ養成スク-ル

Yコンビネ-タ- シリコンバレ-最強のスタ-トアップ養成スク-ル

ランダル・E.ストロス、滑川海彦 / 日経BP社
2013/04出版
ISBN : 9784822249465
価格:¥1,944(本体¥1,800)

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ドミニク・チェンさんコメント
世界で最も有名なベンチャーキャピタルにしてインキュベーターのひとつであるYコンのプログラムに参加する多くのスタートアップに密着取材した貴重な資料。彼らの辿る開発プロセスから、情報社会のなかでスケールするサービスやビジネスの本質が垣間見えるでしょう。
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アップルvs.グ-グル どちらが世界を支配するのか

アップルvs.グ-グル どちらが世界を支配するのか

フレッド・ボ-ゲルスタイン、依田卓巳 / 新潮社
2013/12出版
ISBN : 9784105065713
価格:¥1,728(本体¥1,600)

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ドミニク・チェンさんコメント
蜜月から戦争へ。私たちの情報生活に最も深い影響を与える2つの企業の協力と対立の歴史から、私たちのみならず情報社会の根幹がいかに常に変化の波に曝されているのかというリアリティを体感できるでしょう。
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池内了
1944年兵庫県生まれ。京都大学大学院理学研究科博士課程修了。総合研究大学院大学名誉教授。名古屋大学名誉教授。宇宙物理学専攻。


~なぜ人文書を読むのか~

 私は理系人間なので、私が選ぶ本は純粋の人文学ではないかもしれないが、また純粋に理系の本でもない。自然を研究する科学を補完する分野、自然や科学に人間がからみ、その中で人間がどのように考えてきたかを知ることができる本に惹かれるのである。人間とは、科学者のことであり、一般庶民のことでもあり、誰もが担える文化の伝達者のことであって、そのような先人の歩みと知の積み重ねによって人間の歴史が築かれてきたからである。人文学とは、そのように集積された人間の知性のことで、それに親しむことは人間の文化の歴史を味わうことでもあると言えるだろう。それを知らないまま通り過ぎてしまうのはなんとも勿体ないと思う。


~選書~
(私は理科系の人間なので、私の選書はどうしても理系の本になってしまうのだが)

アインシュタインの恋

アインシュタインの恋

デニス・オ-ヴァバイ、中島健 / 青土社
2003/05出版
ISBN : 9784791760312
価格:¥2,592(本体¥2,400)

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上巻
池内了さんコメント

アインシュタインに関しては数多くの伝記が出ているが、最初の結婚と行方不明の子供を含め彼の恋心・変心・挫折など個人的な生活が描かれ、人間アインシュタインがよくわかる。また、彼の相対論が美術界を席巻した話題など科学以外に幅広く社会に与えた影響も興味深い。
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過去からの警告

過去からの警告

エルヴィン・シャルガフ、山本尤 / 法政大学出版局
1990/10出版
ISBN : 9784588003158
価格:¥3,024(本体¥2,800)

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池内了さんコメント
ワトソン・クリックのDNAのらせん構造が発表されるまで分子生物学の第一線を走ってきた著者であるが、遺伝子解析から遺伝子操作に進もうとする生命科学の流れに対し、それでいいのかと問いかけ続けた書。さらに、科学がこのまま野放図に拡大していくことに疑問を感じる現在への警告となっている。

明治の表象空間

明治の表象空間

松浦寿輝 / 新潮社
2014/05出版
ISBN : 9784104717026
価格:¥5,400(本体¥5,000)

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池内了さんコメント
明治に入って日本は近代国家の仲間入りしたのだが、その際にさまざまな言説やイデオロギーや文体が作られ、国家と人々に注入されてきた。著者はそれを「表象」という言葉を使っているのだが、オリジナルの現実それ自体ではなく、その二次的な制作という意味で「反復の実践」としている。例えば、「国体」という概念が最初に提示されたものからいかに変容したかを見るのである。刑法や戸籍、博物学や進歩史観、樋口一葉や幸田露伴や北村透谷などの作家たち等、縦横無断に行き交う表象空間を俯瞰して実に卓抜である。
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日本の科学思想 その自立への模索

日本の科学思想 その自立への模索

辻哲夫、広政直彦 / こぶし書房
2013/05出版
ISBN : 9784875592754
価格:¥3,024(本体¥2,800)

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池内了さんコメント
日本に近代科学が本格的に輸入されたのは明治に入ってからだが、江戸時代からの伝統を引き摺りつつ近代化していった歴史がある。本書は、日本という国が持つ文化的異質性と科学の普遍性との間に葛藤があり、それがいかに克服されてきたかという視点から科学受容の歴史をまとめたもので、実理、~之学、技芸、窮理、進化、器械、理学、自然、科学、技術と分類した項目について、江戸時代における系譜から社会に現実化していく流れを代表的な人物を通して描き出したもので、科学史を学ぶための好著である。

産学連携と科学の堕落

産学連携と科学の堕落

シェルドン・クリムスキ-、宮田由紀夫 / 海鳴社
2006/06出版
ISBN : 9784875252320
価格:¥3,024(本体¥2,800)

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池内了さんコメント
今の日本では産学連携どころか、産官学連携が当たり前になり、それに異を唱えようものならその場から排除されかねない雰囲気である。しかし、少なくとも1980年代までは産学共同に対して大学では反対の意向が強かった。大学は「知の共同体」であって科学の知識が私物化されることを拒否し、また産業界との間に利益相反起こることを警戒したためである。それがいつしか崩されて大学は「知の企業体」になり、大学に商業主義的価値観が貫徹されるようになった。その問題点を明らかにするとともに、大学そして科学が本来の任務を全うするためにはいかにあるべきかをまとめており、科学の有用性に対する市民的常識を練磨するのに適している。

~スペシャルサンクス~
今回、フェアを開催するにあたって以下の方々にお世話になりました。この場を借りて心からの感謝をお伝えしたいと思います。岩波書店田中朋子様・中山永基様、青土社渡辺和貴様・榎本周平様、筑摩書房橋本陽介様、ミシマ社三島邦弘様。本当にありがとうございました。


「じんぶんや」とは?

jinbunya.gifこんにちは。じんぶんやです。

2004年9月、紀伊國屋書店新宿本店に「じんぶんや」という棚が生まれました。
「じんぶんや」に並ぶ本を選ぶのは、編集者、学者、評論家など、その月のテーマに精通したプロの本読みたちです。「世に溢れかえる書物の山から厳選した本を、お客様にお薦めできるようなコーナーを作ろう」と考えて立ち上げました。数多の本を読み込んだ選者たちのおすすめ本は、掛け値なしに「じんぶんや」推薦印つき。

「じんぶんや」バックナンバー
こちらのページから今までの「じんぶんや」をご覧いただけます。

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【じんぶんや第100講】「この世界に人文学は必要です!」
場  所 紀伊國屋書店 新宿本店(3Fカウンター前)
会  期 2015年1月10日(土)~2015年2月5日(木)
お問合せ 03-3354-5703
             
グランフロント大阪店にて連動開催中です!
場  所 紀伊國屋書店 グランフロント大阪店 
会  期 開催中~2015年2月5日(木)
お問合せ 06-7730-8451

2015.01.10 特集[TOP]  人文 じんぶんや ドミニク・チェン 乙武洋匡 内田樹 円城塔 出口治明 千葉雅也 原武史 大澤聡 安藤馨 小島寛之 岸政彦 島薗進 嶋亮大 木村草太 柴野京子 池内了 河合俊雄 白井聡 臼杵陽 苫野一徳 野矢茂樹