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【じんぶんや第98講】市田良彦選『反乱の政治を再考する』

紀伊國屋書店新宿本店3階の月がわりブックフェア「じんぶんや」、今月の選者は市田良彦さん。
『反乱の政治を再考する』
という表題のもと、じんぶんやにエッセイをいただきました。

市田良彦さんエッセイ
反乱の政治を再考する

市田良彦写真.jpg

「政治である。ただ政治である」と、アルチュセールはある講義録のなかに記しています。マキァヴェッリの哲学的基礎と見える「人間学」が、です。哲学が政治を基礎づけるのではなく、その反対である、という指摘。つまり、政治についての哲学を含意する「政治哲学」という呼称そのものが、まやかしであり罠である、と、アルチュセールはマキァヴェッリを通して示唆する。ここにご紹介する書物は、この示唆を引き延ばして考えていただくために集めてみました。
 しかし政治、政治と連発するのは相当に恥ずかしいことです。政治家と言えば、大手を振って馬鹿にしてよい、貶してよい人のことでしょう。誰も彼らのいうことなどまじめに信用したりしない。とつぜん「リアル」に目覚めて政治化する人たちも、どこかうさんくさい。「政治」とは、そこを離れることで「思考」に深さや真摯さ----馬鹿をやっていないこと----が担保される領域のことであるように思えます。
 だから私も、このリストに含めた拙著『存在論的政治』や『革命論』を通して、馬鹿なことをやったのは間違いありません。ある意味でまじめに、私は馬鹿をやろうとしてきました。
 しかし、馬鹿さを本質とする領域があって、そこには誰もが好むか好まざるかにかかわらず巻き込まれざるをえないとすれば、そしてその結果や効果は誰にも必然的に降りかかってくるとすれば、そのことは重要な「哲学」を含んでいるように思えます。利口な人、えらい人に「政治」を任せることはありえない。「政治」にかんしては、哲学者も知識人もいない、ということです。学者に色々とオプションを出してもらって、議論や投票を通じて選ぶことも実は「政治的」ではありません。オプションのメニューが出てきた段階で、学者は「馬鹿なこと」をすでに排除しているからです。それが学者というもの。学者の責任というもの。たとえば、学者に「地球環境のために人口を減らせ」、「社会の持続可能性のために外国人を搾取しろ」とか言えるでしょうか。「政治」の土俵に乗せなくてはいけないのは、そういう問題であるのに、それを土俵に乗せること自体が「馬鹿なこと」である構造が、「政治」にはつきまとっています。
 グローバル化にともない、政治化してはいけない「馬鹿な」問題がどんどん増えています。それを政治化させない「政治的」知恵もどんどん発達しているように思えます。政治家以外の一般人のほうが賢いのであるから、インターネットを駆使した「政治」で「馬鹿」を排除しよう! とか。しかし、とりあえず解決できそうなことだけを考えよう、という姿勢は、私たちをどんどん弱くしていかないでしょうか......。そんな問いとして、ここに挙げた書物を手に取ってもらえれば幸いです。

市田良彦(いちだ・よしひこ)さんプロフィール
神戸大学大学院国際文化学研究科教授。1957年生まれ。
著書に『存在論的政治』(航思社、2014年)、『債務共和国の終焉』(共著、河出書房新社、2013年)、『革命論』(平凡社新書、2012年)、『アルチュセール ある連結の哲学』(平凡社、2010年)、『ランシエール 新〈音楽の哲学〉』(白水社、2007年)、『闘争の思考』(平凡社、1993年)など。
訳書にランシエール『アルチュセールの教え』(共訳、航思社、2013年)アルチュセール『哲学・政治著作集』全2巻(共訳、藤原書店、1999年)、ヴィリリオ『速度と政治』(平凡社ライブラリー、2001年)など。

存在論的政治 反乱・主体化・階級闘争

存在論的政治 反乱・主体化・階級闘争

市田良彦 / 航思社
2014/02出版
ISBN : 9784906738069
価格:¥4,536(本体¥4,200)

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市田さんコメント
1990年代末から現在までの私の諸論考を、アルチュセール関係を除いてほぼ収録しています。その間の半分くらいは、フランスの雑誌『マルチチュード』の編集委員として、緊張感ある諸論争のただ中にいました。日本でしか発表されていない論考も含め、その経験の「ライブ」として受け取ってもらえればと思います。今読むと恥ずかしいところも多々ありますが。

革命論 マルチチュ-ドの政治哲学序説

革命論 マルチチュ-ドの政治哲学序説

市田良彦 / 平凡社
2012/02出版
ISBN : 9784582856279
価格:¥907(本体¥840)

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市田さんコメント
1990年代末から現在までの私の諸論考を、アルチュセール関係を除いてほぼ収録しています。その間の半分くらいは、フランスの雑誌『マルチチュード』の編集委員として、緊張感ある諸論争のただ中にいました。日本でしか発表されていない論考も含め、その経験の「ライブ」として受け取ってもらえればと思います。今読むと恥ずかしいところも多々ありますが。


市田良彦さん選書・解説

国家論

国家論

バル-フ・ド・スピノザ、畠中尚志 / 岩波書店
1988/04出版
ISBN : 9784003361566
価格:¥712(本体¥660)

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市田さんコメント
国家になにも期待しない透徹したリアリズムと、およそ不可能な「絶対民主主義」の理想を奇跡的に共存させた書物です。スピノザにとっては、両者のあいだになんの矛盾もありません。これが「神即自然」(『エチカ』)の政治版なのでしょうか。およそ妥協や均衡を図るということを知らない。こんな政治論はほかにありません。この本にどういう態度を取るかで、論者の立場をおおよそ測ることができます。

神学・政治論

神学・政治論

バル-フ・ド・スピノザ、吉田量彦 / 光文社
2014/05出版
ISBN : 9784334752897
価格:¥1,404(本体¥1,300)

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〈上〉市田さんコメント神学プロパー、政治論プロパーというより歴史書です。ユダヤ人の歴史を通して、人間が宗教を経由して国家形成にいたる道筋を辿っているのですが、問題は、この歴史が『国家論』で示される政治論と必ずしも整合的でないところです。私はこれを歴史と政治の関係として考えることができるのではないかと思っています。さらに、経験(の記述)と、それについての理論の関係としても。

神学・政治論

神学・政治論

バル-フ・ド・スピノザ、吉田量彦 / 光文社
2014/05出版
ISBN : 9784334752903
価格:¥1,296(本体¥1,200)

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〈下〉
上巻と同コメント

君主論

君主論

ニッコロ・マキャヴェリ、河島英昭 / 岩波書店
1998/06出版
ISBN : 9784003400319
価格:¥972(本体¥900)

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市田さんコメント
道徳的国家論から政治(学)を自立させた古典的書物。と同時に、哲学的な「深読み」をしたくなる書物です。歴史の「はじまり」や「切断」といった形而上学的問題について。あるいは「経験的方法」と「真理」のあいだに横たわる断層について。さらに「深読み」すると、政治哲学は哲学の一部門であるのではなく、反対に、哲学のほうが政治的思考の下位にあるのではないかと思えてきます。

ディスコルシ 「ロ-マ史」論

ディスコルシ 「ロ-マ史」論

ニッコロ・マキャヴェリ、永井三明 / 筑摩書房
2011/03出版
ISBN : 9784480093523
価格:¥1,944(本体¥1,800)

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市田さんコメント
スピノザの前記二書の性格を併せもった書物です。つまり、そんな二重の試みは可能なのだろうか、と考えながら読むべき書物。『君主論』と矛盾するようなことも言っています。しかしローマの歴史は文句なしに面白い!政体が生命体であることを実感させてくれます。スピノザもマキァヴェッリのこの二書に魅せられていたようです。

僭主政治について

僭主政治について

レオ・シュトラウス、石崎嘉彦 / 現代思潮新社
2006/12出版
ISBN : 9784329004475
価格:¥4,104(本体¥3,800)

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〈上〉市田さんコメント
僭主とは純粋権力者です。法制度や宗教やイデオロギーによって正当化されず、ただ事実として支配者であるにすぎない者。シュトラウスはそんな支配者に政治の純粋な姿を見ているようです。そんな支配者と哲学者を対話させるクセノフォンの古典に、政治と哲学の緊張関係を探ろうとしているようです。さらにこの点をめぐって、シュトラウスとアレクサンドル・コジェーヴが書簡によって議論を交わしています。とにかく刺激的な「政治哲学」の書。

僭主政治について

僭主政治について

レオ・シュトラウス、石崎嘉彦 / 現代思潮新社
2007/03出版
ISBN : 9784329004482
価格:¥4,536(本体¥4,200)

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〈下〉
上巻と同コメント

政治神学

政治神学

カ-ル・シュミット、田中浩 / 未来社
1981/12出版
ISBN : 9784624300135
価格:¥1,944(本体¥1,800)

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市田さんコメント
「主権者とは例外状況において決定を下す者である」。本書冒頭の言葉はまるで亡霊のように現代世界のあちこちに姿を現し、左右のイデオロギー対立を越えて「シュミット的決断主義」の政治を無視しえない傾向として生みだしています。現代人の常識としてお勧め。付録のカール・レーヴィットによるシュミット論が秀逸です。

政治的なものの概念

政治的なものの概念

カ-ル・シュミット、田中浩 / 未来社
1984/12出版
ISBN : 9784624300128
価格:¥1,404(本体¥1,300)

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市田さんコメント
「決断主義」と並ぶ、もう一つのシュミット的政治論の核であると言ってよい「友敵」理論を展開しています。誰が友であって敵であるかはどうでもよく、とにかく友と敵を作れ、と政治家に勧めている。とすれば、政治は「友愛」で行け、と勧める「哲学」もシュミットの流れかも。万人を潜在的な「友」として扱えと求めることは、裏を返せば、万人は潜在的に「敵」である、と警告しているようなもの?

政治と歴史 モンテスキュ-・ヘ-ゲルとマルクス

政治と歴史 モンテスキュ-・ヘ-ゲルとマルクス

ルイ・アルチュセ-ル、西川長夫 / 紀伊国屋書店
2004/05出版
ISBN : 9784314009454
価格:¥1,944(本体¥1,800)

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市田さんコメント
日本で独自に編まれた論集で、モンテスキュー論と「ヘーゲル-マルクス関係」論を収めています。前者はアルチュセールがはじめて刊行した単行本。後者はレーニン論の付録でした。前者が面白いのは、モンテスキューの新しさとされるところ(三権分立にもとづくリベラルな制度論)が、彼のアナクロな立場(封建貴族の立場)と一体である、と主張する点。つまりリベラリズムは「民主主義」ではなく「寡頭制」の立場だ、と言っている。

マルクスのために

マルクスのために

ルイ・アルチュセ-ル、河野健二 / 平凡社
1994/06出版
ISBN : 9784582760613
価格:¥1,836(本体¥1,700)

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市田さんコメント
現代思想の古典ですが、その中心的テーゼの単純さ(「マルクスはヘーゲルとは根本的に違う」)が災いしてか、いまだにまともに読まれているようには思えません。実はとてもたくさんのことが語られている。たとえば本書に演劇論が含まれていることを、どれくらいの人が知っているでしょうか。もちろん、その演劇論は同時に政治論でもあるわけです。

哲学・政治著作集

哲学・政治著作集

ルイ・アルチュセ-ル、市田良彦 / 藤原書店
1999/06出版
ISBN : 9784894341388
価格:¥9,504(本体¥8,800)

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〈1〉市田さんコメント
アルチュセールの死後に発掘された生前未発表の原稿を集めた2巻。これで、彼のイメージはがらっと変わりました。特に「偶然性唯物論」にかんする晩年の論考とマキァヴェッリ論は思想界に大きな衝撃を与えました。しかし、この2巻に収められた1940年代から80年代までの論考を通読すると、彼はほんとうに「変わった」のだろうかとも思えてきます。つまり、素朴に「マルクス主義」者であったことなどあるのだろうか、あの「マルクス主義」はなんだったのだろうか、と。

哲学・政治著作集

哲学・政治著作集

ルイ・アルチュセ-ル、市田良彦 / 藤原書店
1999/07出版
ISBN : 9784894341418
価格:¥9,504(本体¥8,800)

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〈2〉〈1〉と同コメント

アルチュセ-ルの教え

アルチュセ-ルの教え

ジャック・ランシエ-ル、市田良彦 / 航思社
2013/07出版
ISBN : 9784906738045
価格:¥3,024(本体¥2,800)

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市田さんコメント
1968年から70年代初頭にかけてのアルチュセールを徹底的に批判しています。思想的な書物なのですが、個人的には、一度はこんな政治文書を書いてみたかったと思わせる論争的な書物です。とにかく舌鋒鋭し。その後のランシエールを予感させる「哲学」も含んでいます。

不和あるいは了解なき了解 政治の哲学は可能か

不和あるいは了解なき了解 政治の哲学は可能か

ジャック・ランシエ-ル、松葉祥一 / インスクリプト             
2005/04出版
ISBN : 9784900997097
価格:¥3,996(本体¥3,700)

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市田さんコメント
政治とはコンフリクトだ、とは誰でもたまに思うことであり、本書もまずはそう言っているのですが、本書の独自なところは、いわゆる「意見対立」は政治に本質的なコンフリクトではない、と言い切っているところでしょうか。彼の考える本質的コンフリクト(「不和」)は、敵と「同じこと」を述べることを通じてしか現れない。アルチュセール批判から出発したランシエールが、案外アルチュセール派なんだな、ということも読み取れます。

民主主義への憎悪

民主主義への憎悪

ジャック・ランシエ-ル、松葉祥一 / インスクリプト
2008/07出版
ISBN : 9784900997189
価格:¥3,024(本体¥2,800)

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市田さんコメント
フランスの現代政治は「共和主義」理念の中身をめぐって争われているようなところがあるのですが、本書は現代の「共和主義」がほとんどすべて反「民主主義」だと言ってしまいます。本書も、こういう政治文書を書いてみたいものだと思わせてくれる「鋭い」状況介入の記録です。こんなイデオローグならなってみたい!

コミュニズムの仮説

コミュニズムの仮説

アラン・バディウ、市川崇 / 水声社
2013/11出版
ISBN : 9784891769895
価格:¥3,240(本体¥3,000)

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市田さんコメント
communismをカタカナ書きするのは原著者の意に反するところのある翻訳だと思うのですが、それはさておき、バディウが復興しようとしている「共産主義」は人類大の理想のようなもの。それほど抽象的なのですが、現にそれが動かしている政治があり、かつそれなくして政治に希望を抱くことは諦め(ニヒリズム)につながるという彼の主張は具体的で説得力があります。

マルクスを超えるマルクス 『経済学批判要綱』研究

マルクスを超えるマルクス 『経済学批判要綱』研究

アントニオ・ネグリ、清水和巳 / 作品社
2003/09出版
ISBN : 9784878935596
価格:¥4,968(本体¥4,600)

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市田さんコメント
『資本論』のマルクスと『経済学批判要綱』(『資本論』にいたる準備草稿類)のマルクスは別人だ!と断じる書物。スターリニズムを基礎づけた「科学主義」的、客観主義的なマルクスとも青年ヘーゲル派時代のいわゆる「初期マルクス」とも違う第三のマルクスを『要綱』から取り出そうとします。論証の当否はともなく、そういう読み方が歴史的に存在し、実際の政治的影響力をもったということを真剣に受け止めるべきかと思います。

構成的権力 近代のオルタナティブ

構成的権力 近代のオルタナティブ

アントニオ・ネグリ、杉村昌昭 / 松籟社
1999/06出版
ISBN : 9784879842084
価格:¥5,184(本体¥4,800)

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市田さんコメント
マルクス主義は近代政治思想全般をブルジョワ・イデオロギーと切って捨ててきたわけですが、本書はそれともう一度がっぷり四つに組み、「構成的権力」という概念の系譜を取り出します。そのなかにマルクスもレーニンも位置づけ直す。マルクス経済学が終わっても、近代が続くかぎり終わりえぬマルクス主義の姿がここにはあります。その骨太の構想力には頭が下がります。

野生のアノマリ- スピノザにおける力能と権力

野生のアノマリ- スピノザにおける力能と権力

アントニオ・ネグリ、杉村昌昭 / 作品社
2008/10出版
ISBN : 9784861822032
価格:¥6,264(本体¥5,800)

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市田さんコメント
本書の仏訳はフランスでは一種の「電気ショック」として受け止められました。左翼活動家からではなく、「真面目な」学者たちからです。そんな本を獄中の極左活動家が書いた。哲学的には「構成」という概念に独自の意味合いを与えることに成功した、という点で画期的でした。その点を明快に解説したドゥルーズの前書きを読むためだけにも手に取る甲斐があります。

コモンウェルス 〈帝国〉を超える革命論

コモンウェルス 〈帝国〉を超える革命論

アントニオ・ネグリ、マイケル・ハ-ト / NHK出版
2012/12出版
ISBN : 9784140911990
価格:¥1,512(本体¥1,400)

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〈上〉市田さんコメント
コモンウェルスとはもともとラテン語のres publicaの英訳でした。つまり「共和国republic」の兄弟語。今日では英連邦を指して使われたりもします。ネグリ&ハートはそれを世界大の「共産主義」の別名に変えてしまおうとする。と同時に、これは現代的な反乱論です。毛嫌いすることは簡単な書物ですが、まともに反駁しようとすると、反動的な「お里」が知れることになります。

コモンウェルス 〈帝国〉を超える革命論

コモンウェルス 〈帝国〉を超える革命論

アントニオ・ネグリ、マイケル・ハ-ト / NHK出版
2012/12出版
ISBN : 9784140912003
価格:¥1,512(本体¥1,400)

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〈下〉
上巻と同コメント

意味の論理学

意味の論理学

ジル・ドゥル-ズ、小泉義之 / 河出書房新社
2007/01出版
ISBN : 9784309462851
価格:¥1,080(本体¥1,000)

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〈上〉市田さんコメント
拙著『革命論』が、理論的にはいちばん影響を受けた書物かもしれません。出来事について、また出来事の「原因」について。それぞれ「革命」、「主体」と読み替えれば、『革命論』の中心的テーマが出来上がり、フランス構造主義とそれ以降の思想史を政治論的に読む視点が開けてきます。まだまだ汲み尽くされていない豊かさに溢れています。

意味の論理学

意味の論理学

ジル・ドゥル-ズ、小泉義之 / 河出書房新社
2007/01出版
ISBN : 9784309462868
価格:¥1,080(本体¥1,000)

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〈下〉
上巻と同コメント

スピノザ 実践の哲学

スピノザ 実践の哲学

ジル・ドゥル-ズ、鈴木雅大 / 平凡社
2002/08出版
ISBN : 9784582764406
価格:¥1,404(本体¥1,300)

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市田さんコメント
この疾走感、力強さ、明晰さには圧倒されます。哲学者の肖像を哲学的に描く、という点では一つの精華。「実践」の意味を実存哲学から解放しました。もちろん、だったらどうしろと言うのかという問いはアリなのですが、それを問う前に、どこまでこのスピノザに耽溺できるかが問題だと思います。

マキァヴェリアン・モ-メント フィレンツェの政治思想と大西洋圏の共和主義の伝統

マキァヴェリアン・モ-メント フィレンツェの政治思想と大西洋圏の共和主義の伝統

ジョン・G.A.ポ-コック、田中秀夫 / 名古屋大学出版会
2008/01出版
ISBN : 9784815805753
価格:¥8,640(本体¥8,000)

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市田さんコメント
ネグリ『構成的権力』と表裏一体の関係にある書物です。イタリアからイギリスへ、イギリスからアメリカへと伝わる「共和主義」があり、それこそが共和主義の本流じゃないか、と思わせてくれる。筆者独特のひねった英国紳士風文体と合わせて本書に感染した人は、だいたいシニカルな保守主義者になるのですが、ネグリはだからこそ、その全体を「革命思想」の歴史にひっくり返そうとしたんじゃないだろうか、と思えてきます。

革命について

革命について

ハナ・ア-レント、志水速雄 / 筑摩書房
1995/06出版
ISBN : 9784480082145
価格:¥1,566(本体¥1,450)

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市田さんコメント
これもネグリの『構成的権力』に大きな影響を与えた書物です。フランス型の「社会革命」はスターリニズムに行き着くからダメで、イギリス-アメリカ型の「政治革命」がいい、と言っているのですが、ヨーロッパの「評議会」(ソビエト)運動とアメリカ建国が同質であると言っているようにも読める。もう一つのマキァヴェリアン・モーメント?左翼と言えば「反米」のわが国でこそ、読まれるべきかもしれません。

厄介なる主体 政治的存在論の空虚な中心

厄介なる主体 政治的存在論の空虚な中心

スラヴォイ・ジジェク、鈴木俊弘 / 青土社
2005/09出版
ISBN : 9784791760763
価格:¥3,024(本体¥2,800)

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〈1〉市田さんコメント
ジジェクの理論的なところは本書で足りるような気がします。いつもの「遊び」はあまり見られませんが、それだけに濃密です。これとは違う「主体」論を、私は彼と同じ材料から取り出そうとしてきた気がします。バディウの『主体の理論』がまだ訳されていない日本では、その代替書として読むこともできますが、言うまでもなくバディウよりよほど分かりやすい。

厄介なる主体 政治的存在論の空虚な中心

厄介なる主体 政治的存在論の空虚な中心

スラヴォイ・ジジェク、鈴木俊弘 / 青土社
2007/04出版
ISBN : 9784791763221
価格:¥2,592(本体¥2,400)

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〈2〉〈1〉と同コメント

2011危うく夢見た一年

2011危うく夢見た一年

スラヴォイ・ジジェク、長原豊 / 航思社
2013/05出版
ISBN : 9784906738038
価格:¥2,376(本体¥2,200)

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市田さんコメント
すぐれた時論です。と同時に、なにかジジェクの変化を予感させるようなところがあります。彼には反乱=政治という考え方と、起きた反乱をどう「扱う」かが政治だという問題意識があるのですが、その両者は実はかなり違うことのはず。これから彼はその違いをどう消化-昇華していくのだろうか、と強く思います。

共産主義の理念

共産主義の理念

コスタス・ドゥ-ジナス、スラヴォイ・ジジェク / 水声社
2012/06出版
ISBN : 9784891769123
価格:¥4,860(本体¥4,500)

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市田さんコメント
ロンドンで1000人規模の人を集めたイベントの記録です。共産主義の復活が知的イベントになる! そのことの意味を考えながら読んでいただきたい書物です。議論は玉石混淆ですが。本書にとてもいい論考を寄せているブルーノ・ボスティールスは来年、日本に来ます! 乞うご期待。

アントニオ・ネグリ 革命の哲学

アントニオ・ネグリ 革命の哲学

廣瀬純 / 青土社
2013/12出版
ISBN : 9784791767519
価格:¥2,052(本体¥1,900)

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市田さんコメント
前著『絶望論』で現代の「全共闘」派として旗色を鮮明にした廣瀬さんですが、本書では「存在論=経済学」の立場に向かっています。とにかく、日本語で読めるネグリ入門書としては最適でしょう。ちまちましたインテリ趣味などまったくないのに、「学問的」にも押えるべきところはきちんと押えてあって、脱帽します。

アナ-キスト人類学のための断章

アナ-キスト人類学のための断章

デヴィッド・グレ-バ-、高祖岩三郎 / 以文社
2006/11出版
ISBN : 9784753102518
価格:¥2,376(本体¥2,200)

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市田さんコメント
私はアナキストのように楽観的にはなれないのですが、アナキズムは必要だと思っています。それがなければはじまらない政治がある。本書は現代アナキズムの古典です。しかし、政治を倫理化しようとする傾向が強く、その点ではリベラルな支配的政治と軌を一にしています。「正義」の政治とどこが違うのか。

長崎 浩『結社と技術』(情況出版)
市田さんコメント今では入手が難しい『政治の現象学』とならぶ長崎政治論の古典です。『〜現象学』はその名前からうかがえるように、政治過程を弁証法的に記述しているのですが、本書はその過程が同時に「技術」的なものであると示唆します。つまりヘーゲル弁証法とは違い、長崎弁証法はいつか自動的に終わったりしないのです。個人的には、日本が世界に誇る政治哲学だと考えています。多くの人に再発見してほしい。

ミシェル・フ-コ-講義集成 コレ-ジュ・ド・フランス講義1982-1983年度

ミシェル・フ-コ-講義集成 コレ-ジュ・ド・フランス講義1982-1983年度

ミシェル・フ-コ- / 筑摩書房
2010/04出版
ISBN : 9784480790521
価格:¥6,372(本体¥5,900)

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市田さんコメント
フーコー最晩年の講義で、これまでの仕事をすべて位置づけ直す新しい問題系として「統治」の概念を練り上げようとしています。権力論? 「知」論? 哲学? 倫理学? そのすべてであってどれでもない。フーコーはほんとうに捉まえがたい人です。しかし読みやすい。ほんとうに怪物だと思う。

ミシェル・フ-コ-講義集成 コレ-ジュ・ド・フランス講義1983-1984年度

ミシェル・フ-コ-講義集成 コレ-ジュ・ド・フランス講義1983-1984年度

ミシェル・フ-コ- / 筑摩書房
2012/02出版
ISBN : 9784480790538
価格:¥6,372(本体¥5,900)

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市田さんコメント
前書の続編ですが、ここでは特にギリシャの古典文学の読解がスリリング。「真理」概念は哲学にはおなじみのものですが、ここではその「政治的」起源が問われている、と言ってもいい。「街頭の裸の哲学者」にかんする考察で終わっていることは泣かせます。そんなものを書いて死ぬとは...

債務共和国の終焉 わたしたちはいつから奴隷になったのか

債務共和国の終焉 わたしたちはいつから奴隷になったのか

市田良彦、王寺賢太 / 河出書房新社
2013/09出版
ISBN : 9784309246307
価格:¥2,700(本体¥2,500)

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市田さんコメント
「公共性」と「文化」は知的、政治的にはマルクス主義「終焉」後の二大問題ですが、私たちはとにかくそれに抗って「経済学」の復権をはかろうとしてみました。その中心に「政治」があるような「経済学」。そんな大風呂敷を広げたせいか、世の中からはなかなか相手にしてもらえません(笑)。

金融危機をめぐる10のテ-ゼ 金融市場・社会闘争・政治的シナリオ

金融危機をめぐる10のテ-ゼ 金融市場・社会闘争・政治的シナリオ

アンドレア・フマガッリ、サンドロ・メッザ-ドラ / 以文社
2010/11出版
ISBN : 9784753102846
価格:¥3,456(本体¥3,200)

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市田さんコメント
ヨーロッパの若手左翼たちの論考集ですが、EUにおける金融問題の切迫度は日本とは比べ物にならないくらい強いので、迫力があります。とりわけ「レント」資本主義論への入門書として。こういう中堅層は日本では消えてしまったのだろうか、という感慨を抱かせます。

〈借金人間〉製造工場 “負債”の政治経済学

〈借金人間〉製造工場 “負債”の政治経済学

マウリツィオ・ラッツァラ-ト、杉村昌昭 / 作品社
2012/06出版
ISBN : 9784861823909
価格:¥2,376(本体¥2,200)

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市田さんコメント
前掲拙著『存在論的政治』でも書きましたが、フランスにおけるマルチチュード派内の論争から生まれた書物です。「売る−買う」という関係と「貸す−借りる」という関係は異質であって、後者の拡大が現代資本主義を特徴づける、という点を、ニーチェやドゥルーズを援用しながら語ります。

ヨ-ロッパ、アメリカ、戦争 ヨ-ロッパの媒介について

ヨ-ロッパ、アメリカ、戦争 ヨ-ロッパの媒介について

エティエンヌ・バリバ-ル、大中一彌 / 平凡社
2006/12出版
ISBN : 9784582702606
価格:¥3,024(本体¥2,800)

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市田さんコメント
EUとはなにかを、状況論的かつ哲学的に考察した論考を集めています。「消え去る媒介者」としてのEUという考え方は、一つのEU本質論として各所に深く浸透しつつあります。社会民主主義とも共和主義とも違う「左」からのEU擁護論として、知っておくべき主張です。


「じんぶんや」とは?

jinbunya.gifこんにちは。じんぶんやです。
2004年9月、紀伊國屋書店新宿本店に「じんぶんや」という棚が生まれました。

「じんぶんや」アイデンティティ1
★ 月 が わ り の 選 者
「じんぶんや」に並ぶ本を選ぶのは、編集者、学者、評論家など、その月のテーマに精通したプロの本読みたちです。「世に溢れかえる書物の山から厳選した本を、お客様にお薦めできるようなコーナーを作ろう」と考えて立ち上げました。数多の本を読み込んだ選者たちのおすすめ本は、掛け値なしに「じんぶんや」推薦印つき。
「じんぶんや」アイデンティティ2
★ 月 が わ り の テ ー マ
人文科学およびその周辺の主題をふらふらと巡っています。ここまでのテーマは、子どもが大きくなったら読ませたい本、身体論、詩、女性学...など。人文科学って日々の生活から縁遠いことではなくて、生きていくのに案外役に立ったりするのです。

ご愛顧のほど、どうぞよろしくお願いします。
「じんぶんや」バックナンバー
こちらのページから今までの「じんぶんや」をご覧いただけます。

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【じんぶんや第98講】市田良彦選
反乱の政治を再考する

場  所 紀伊國屋書店新宿本店 3Fカウンター前
会  期 2014年7月1日(火)~7月31日(木)
お問合せ 紀伊國屋書店新宿本店 03-3354-5703

2014.07.11 特集[TOP]