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子どもに本を読みがたる(読み聞かせる)あるいは、子ども自身が本を読むことの大切さについては、多くの人が発言しています。その大切さというのは、つづめていえば、本(以下作品)の世界の中でのさまざまな体験を通して、こころが解放される、ことばとこころが育つということでしょう。作品の登場人物は、その行為・行動がことばで目に見えるように描かれています。絵はさらにそれを具象化します。子どもは、その人物の行為・行動を動く絵としてとらえ、ある人物になりきったり、あるいは人物に寄り添ったりして作品世界を生きます。そこには、その行為・行動への共感が生まれます。また、疑問や反発も生じます。そして、こころが育ちます。私たちが子どもに作品を出会わせたいと思うのは、このようにことばとこころが育つからです。
子どもの読書離れがいわれてから長い時間がたちました。さまざまな発言があり、方策もとられていますが、どうでしょうか。読書離れを云々いうまえに、家庭や教室での読みがたりを重視する必要があります。家庭での大人の読みがたりによって、作品のおもしろさを幼い時から体験させる。出発はここにあります。幼い時に母が読んでくれた絵本との再会が、自分を失った中・高生を立ち直らせた話はたくさんあります。
また、教室での教師の読みがたりがどうしても必要です。なぜなら、読みがたりは、読む者と聞く者とが同じ世界を同時に体験しあうことであり、それは、共に体験し合った教師と子どもたちがこころをかよい合わせるということになるからです。それに加えて、子どもたち同士が共に体験し合って仲間意識を育てるからです。このように、教室での読みがたりは想像以上の力をもっていることを、また、読みがたりの実践によってよりよい学級が作られたことを多くの教師が誇らかに語っています。
本のリストは、作成者が10人いれば10通りのものができます。選者の目が十人十色だからです。ここにあげた25冊の絵本は、多くの人の実践の上に選ばれたものばかりです。どんなに評価の高い絵本でも実践していないもの、また子どもたちの反応・評価の低いものは選んでありません。 ご参考になれば幸いです。
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1925年、茨城県生まれ。東京都で39年間小学校教師を勤め、のちに東京学芸大学、日本女子大学講師。現在、この本だいすきの会代表、日本児童文学者協会評議員、日本文学教育連盟常任委員、こどものWAVE運営委員。 |
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1982年3月創立。子どもの本がすき、読みがたりをしている人、しようとしている人なら誰でも入会できる会。3人以上で支部が作れ、2006年2月現在全 国に95支部がある。夏と冬に全国集会を開き、月刊で「通信」を発行。資料請求は90円切手同封の上、下記まで。
〒272-0034 千葉県市川市市川1-26-15 花亀ビル3F TEL・FAX:047-324-5033 |
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『この本だいすき!』
小松崎進【編著】 高文研(1998-01-15出版) ISBN:487498200X |
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『この絵本、読んだら―子どもが喜ぶ絵本の読みがたり』
この本だいすきの会・小松崎進・大西紀子【企画・編】 高文研(2000-05-05出版) ISBN:4874982360 |
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『小学生への読みがたり読みきかせ 低学年編』
この本だいすきの会・小松崎進・平川政男【企画・編】 高文研(2003-01-15出版) ISBN:4874982956 |
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『小学生への読みがたり読みきかせ 中・高学年編』
この本だいすきの会・小松崎進・平川政男・石崎恵子【企画・編】 高文研(2004-11-10出版) ISBN:4874983227
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